博之は思った。文月を彼らに近づけないでいるより、こちらから付き添ったほうがいい。彼女が一人で危険な目に遭うのを防ぐためだ。博之の瞳を見つめ、文月はふと、彼にどう向き合えばいいのかわからなくなった。なんだか……彼に迷惑をかけすぎている気がした。「やっぱり、私一人で行くわ」「だめだ!」博之は即座に否定した。「どうしても行くと言うなら、僕も一緒に行く。深津のこともある。この件を、こんなに簡単に終わらせるわけにはいかない」蒼介がここまで画策した以上、博之が何もなかったことにするはずがない。彼がそこまでするなら、博之としても落とし前をつけさせる必要があった。萌々花の入院先を調べ、二人は病院へと向かった。病室を突き止めると、文月は自ら博之の手を握った。視線を落としてその手を見た博之は、背筋を伸ばした。「文月……」病室の前に着くと、文月は周囲を見回したが、蒼介の姿はなかった。近くの看護師に声をかけ、二人は病室へと入った。物音を聞きつけ、萌々花はすぐに振り返った。その瞳には期待が宿っていた。「蒼介、やっと来てくれたのね……」だが、文月と博之の姿を認めた瞬間、言葉は途切れ、表情が一気に凍りついた。「どうしてあなたなの?何しに来たのよ。蒼介を奪っておいて、まだ気が済まないの?星野、自力で逃げ出したくせに、なんでわざわざ私に会いに来るわけ?私を侮辱しに来たとでも言うの?」「私が逃げたことを知っていたのね?白石さん、あなたが以前したことは水に流してもいいわ。そんなに敵意を剥き出しにする必要はないでしょう」その言葉を聞いて、萌々花は鼻で笑った。そして、文月が博之の手を握っているのを見て、皮肉たっぷりに言った。「あなたはいい気なものね。だって、周りに男が絶えないんだから!蒼介がいなくなっても、北澤さんがいるものね。星野、あなたに私の苦しみなんてわかるはずがないわ」チャンスを掴まなければ、自分は無一文になってしまう。そんな恐怖を、文月が理解できるはずがない。それなのに、説教するつもりなのか?文月は眉をひそめて彼女を見た。言いたいことはわかるが、同意はできなかった。「白石さん、私が来たのは一つだけ確認したかったからよ。あなたが無事かどうか、それだけ。あなたが妄想しているような意図は一切ないわ」「ふん!」
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