上司である鳴神暁(なるがみ あかつき)との秘密の恋、五年目。ようやく私は実績を積み重ね、昇進の機会を手に入れた。これで彼と肩を並べられる......そう胸を躍らせていた祝賀パーティーの夜、私は信じられない光景を目にした。本来なら私のものだったはずの功績が、すべて会社のインターン生である柳瀬詩織(やなせ しおり)に横取りされていた。周囲の人々は皆、グラスを掲げて歓声を上げ、二人がお似合いのカップルだと囃し立て、その美しさを称賛していた。しかし、私の全身はまるで冷水を浴びせられたかのように凍りつき、その場に立ち尽くすことしかできなかった。心は凍てつき、世界は色を失ったようだった。彼が私を愛していないという事実を突きつけられ、私はただ静かに一本の電話をかけた。「江戸川社長、御社への転職、そしてアメリカでのキャリアアップを希望するわ」「湊、本気かい?それならすぐにアメリカで歓迎パーティーを開くよう手配するよ!」私の幼馴染、江戸川臨(えどがわ りん)は私の言葉に一瞬驚いたものの、すぐに採用を決めた。電話越しでも、彼の興奮が手に取るように伝わってきた。その後、彼は口調を変えて言った。「やっぱり鳴神のやつは見る目がないな。君があいつのそばにいるなんて、完全に才能の無駄遣いだよ!これからはうちの会社で、一緒に大きく飛躍しようじゃないか!」私は小さく「ええ」と頷いた。レストランのガラス窓越しに、囃し立てられながら詩織と腕を組んで酒を飲み交わす暁の姿が見えた。彼の顔には微塵も嫌がる様子はなく、むしろ蜜を味わうかのように、その瞳には深い愛情と甘さが満ち溢れていた。臨も私の周りの賑やかな雰囲気を察し、いつアメリカに飛べるのかと尋ねてきた。心臓にぽっかりと大きな穴が開いたようだった。私は自虐的に、二人がキスを交わし、離れがたい様子を見つめ続けた。そして、ズキズキと痛む胸を押さえながら、臨に告げた。「二日だけ時間をください。こちらの仕事の引き継ぎを終えたら、アメリカへ向かうわ」臨は嬉しそうに電話を切った。私は手を下ろしたが、体は無意識に震えていた。真夏の夜だというのに、暁の浮気を目の当たりにした私は、まるで氷の牢獄に突き落とされたようだった。レストランでは、賑やかな笑い声が何度も響き渡り、暁と苦楽を共にしてきた仲間たちも、
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