七年間、陸川辰巳(りくかわ たつみ)と恋愛してきたが、彼には絶えずスキャンダルがあった。だが、彼のスマホは私が自由にいじれたし、出張先に確認の電話をしても嫌がらなかったので、私は誰かと一線を越えた証拠が一度も見つからなかった。私たちの婚約の日までそうだった。司会者は、辰巳がどうやって私の好きな白いバラをわざわざ海外から取り寄せたと語った。その後、本来なら私たちの七年間の思い出映像が流れるはずのスクリーンから、突然赤ん坊の大きな泣き声が響いた。映像には、病室で新生児を抱く辰巳の姿が映っていた。その肩にもたれかかるのは秘書の小林詩乃(こばやし しの)で、その薬指には私と同じシリーズのダイヤの指輪が光っていた。彼女は泣きながら、誤解だと私に弁解した。辰巳も冷ややかな表情を浮かべた。「詩乃はシングルマザーなんだ。上司としての義務で面倒を見ただけだ。お前もそこまでしつこく追及しなくてもいいだろ?」会場は水を打ったように静まり返り、皆が私が取り乱すのを待っていた。しかし、私は穏やかに指輪を外し、彼に差し出した。「もちろんそんなことはしないわ。むしろお二人の幸せを願うわ」この言葉を口にした途端、会場は凍りついたように静まり返った。これまで一度も私と辰巳を応援したことのないマーケティング部のマネージャーたちは、口を押さえて忍び笑いをした。彼らの軽蔑の視線が鋭く胸を刺し、私の心が締め付けられるように痛んだ。私は暗い顔の辰巳を見た。彼も彼らの視線に気づいていたが、注意する気配はなかった。私は鼻で笑い、マイクを取って客たちに向かって言った。「今日の婚約式はこれで終わりです。皆さんはご自由にお食事やお酒を楽しんでください。贈り物やご祝儀は退場時に陸川社長と小林秘書からお受け取りください。もちろん、この機会にお二人が婚約されて、めでたく二重の喜びとなるのなら、私は喜んで祝福いたします」マイクを置いて舞台を降りようとした瞬間、辰巳が私の手首を掴んだ。「蘇我由依(そが ゆい)、大事な日に何をふざけているんだ?恥ずかしくないのか?」「ふざけてる?」私は手を振りほどき、彼の怒りに歪んだ顔を見つめた。「私がふざけてる?じゃあ、小林の薬指につけてるダイヤの指輪は何?彼女の娘がしていたブレスレットは何?」辰
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