橘冬生(たちばな ふゆき)と過ごして七年が経った。ある日、私――如月汐(きさらぎ うしお)はこっそりとウェディングドレスを買い、勇気を振り絞って彼にプロポーズしようと決意していた。しかし、その日のパーティーに少し遅れて到着したとき、たまたま彼が友人たちと話している声を耳にしてしまった。「汐?正直、もう飽き飽きだよ」冬生はタバコに火をつけ、気怠そうに笑った。「七年も経てば、誰だって飽きるだろ?」周りの連中もそれに続いて笑い出した。「確かに、七年も経てば天女だってつまらなくなるよな」「でも汐は本当に美人だし、スタイルも抜群だよな。この前、冬生の誕生日に着てたあのロングドレス、あの場の男たち皆、目が離せなかったじゃないか。正直なところ、冬生、お前あれだけ夢中だったんだ、今さら本当に彼女を手放せるのか?」冬生の声は冷たかった。「俺が嘘をつくと思うか?」「じゃあ……俺が汐を口説いても構わないんだな?」「好きにしろよ」冬生は気にも留めずに煙を吐いた。「気持ち悪くならなければな」「たわけが、冬生が飽きた女に手を出すなんて、恥ずかしくないのか?」そう言って、また哄笑が起こった。その夜、私は個室には入らず、頭が痛いと適当な理由をつけて先に帰った。冬生はそれ以上何も聞かず、電話を切った。別れを決意したのは、おそらくその夜、心の中で完全に決まったのだ。……二日も経たないうちに、周りに噂が広まった。冬生が、芸術学部の二年生の女子大生を口説いている、と。若くて瑞々しく、純粋な子だという。彼が人を口説くときの派手さは、昔から桁外れだった。まるで私を追いかけてきたときのように、世界中に知らしめるかのように、家や車や宝石を惜しげもなく与える。あの子がそれらのものを見たことがあるはずもなく、すぐに落ちてしまった。友人が企画した集まりに、冬生はその子を連れて現れた。ドアを開けた瞬間、場内は静まり返った。仲のいい女友達数人が、心配そうに私を見ていた。私は笑って言った。「どうしてみんな黙ってるの?私の顔に何かついてる?」冬生はその子を抱き寄せて腰を下ろし、ようやく私に目を向けた。「汐、ちょうどいい機会だから、はっきり言っておこう」「ええ、どうぞ」「ここ数年、付
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