静月の誕生日は親しい友人や家族だけを招いて開かれた。両家の両親がようやく顔を合わせ、院徹の母の周防和恵(すおう かずえ)は静月に腕輪を贈った。以前なら何とも思わなかっただろうが、今は離婚を控えており、こんなに高価な贈り物を受け取るのは気が引けた。院徹は静月の気持ちを察し、手を握り、腕輪を外すのをやんわりと制した。静月が今夜、離婚話を切り出すのではないかと予感していた。だから、いつ子供を作るのかと聞かれた時、先手を打って答えた。「静月がうんと言ってくれさえすれば、いつでも」静月は意味ありげに笑い、否定しようとしたその時、一人の男が突然ナイフを持って乱入してきた。突然の出来事に誰もが反応できなかった。男はまっすぐ静月に向かって突進し、ナイフが肩に振り下ろされようとしたその時、悲鳴の中、院徹は身をかわし、静月を腕の中に抱きしめた。瞬く間に血が飛び散った。静月は全力で院徹の体を支えたが、ゆっくりと崩れ落ちていった。男は狂ったようにナイフを振り上げた。「お前のせいだ!お前が俺の婿を奪ったんだ!もうすぐこの男の財産を手に入れるはずだったんだ。お前がいなければ、あの金は全部俺のものだったんだ!」静月はその声を聞き、顔を上げてようやく男が誰かがわかった。雅乃の父親だった。健一は静月を守ろうとして、手にも怪我を負った。危機一髪のところで、文哉が遠くから駆け寄り、手近にあったスタンガンを男の腰に押し当てた。その後、他の人々も駆け寄り、ようやく男の手からナイフを奪い取り、地面に押さえつけた。警察と救急車は同時に到着した。父と院徹を救急車に乗せた後、静月は同行せず、警察署で事情聴取を受けることにした。「容疑者との関係は?」静月は一部始終を説明した。雅乃の父親は酒を飲んでおり、取り調べ中もひたすら静月を指差して言った。「このクソ女が俺の娘の旦那を奪ったんだあの男は俺の娘と結婚するはずだったんだ。あいつがいなければ、俺はあの男の舅になって、金の半分は俺のものだったんだ」警察は静月の指示通り、院徹が雅乃に用意した住居へ向かったが、すでに雅乃の姿はなかった。雅乃は逃げた。その知らせを聞いた時、玄蔵は静月よりも激しく動揺した。「あのクソ女、一人で金を持って逃げやがったのか!」それまで何も話
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