Lahat ng Kabanata ng その少女は愛を知る: Kabanata 1 - Kabanata 10

16 Kabanata

001.ルキニア公爵家

――ジャラッ金属がぶつかる音が部屋に響き渡る。その音がした空間に、一人の少女がボロを纏い天井に吊るされるように鎖につながれている。その少女の背中には無数の打ち痕が残り、痕の中には赤い液が滲んでいる箇所がある。「夢…か…」少女は誰に聞かせるでもなく呟いた。確かにあった母の温もり。もう忘れて久しい記憶。「これを人は走馬灯というのかな…」私は知っていた。母の温もりを。感情を。人の好意を。だけどそれは母と死に分かれた時に全てが壊れた。リリス・ルキニア。これが母の名前。母は銀色の髪と青い瞳を持ち、子の私からみてもとても美しいと思えるほどの人だった。母は隣国、アルトア帝国の第三皇女として生をうけた。そしてこの国、トリス国と友好を深める為、当時トリス国の公爵子息である父、オリバー・ルキニア公爵子息と政略結婚したと聞いた。しかし父は男爵家令嬢、現在私の義母にあたるミレニアと恋仲であった。一度は駆け落ちまで考えたみたいだが、国王の勅命によりその計画はあっけなく頓挫した。貴族の義務を果たせ…この世で唯一父が反抗できないであろう叔父、父の兄に言われたそうだ。叔父は傾きかけていたルキニア公爵家を立ち上げ直したその腕を見込まれ、現在は宰相の地位にいる。本来であれば叔父がルキニア公爵家の当主となるはずだったのだが、宰相の仕事に専念したいとの事で父に当主の座を明け渡したそうだ。しかし実質権限をもっているのは叔父に他ならない。この公爵家では叔父に逆らう事はできない。そんな叔父からの命で母と結婚した父は、ミレニアを愛人として囲い、別邸に住まわせた。母はその事実を知っているみたいだったが、特に怒りもせず現実を受け入れていたようだった。父は月に数度、義務を果たすために母のいる本邸に帰ってきていたが、基本的には別邸に帰宅し、そして私が生まれてから父は一度も本邸に戻ってきた事がない。母は私をとても愛してくれていたと思う…。そんな母が亡くなり、喪があけたと同時に父は別邸に住まわせていたミレニアと私とは異母妹弟となる二人の連れ子を本邸に連れて戻ってきた。この時私は初めてミレニアと対面した。ミレニアはいかにも貴族らしい金髪、金瞳をしており、私を見た時のあの威圧的な瞳…口元は笑っていたが、激しい恨みを映したあの瞳は今も忘れられない。妹となる少女
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002.ルキニア公爵家

舞踏会が終わり、部屋着に着替え終わった頃、ドアがノックされた。 先程着替えを手伝ってくれたミリーナが戻ってきたと思い、中から返事をしたのだが… ドアの向こうにいたのは珍しい…いや初めての事だ。 そこには義母が立っていた。義母は部屋にゆっくり入ってきて、私の目の前で止まり…そこで私の記憶は飛んだ。私は意識を取り戻した時、何が起きているかわからなかった。 目覚めた先は地下室。 私の手は鎖につながれて、頭は酷く痛く、背中も痛かった。頭は恐らく殴られたのだろう。 意識が戻った今でも聴覚がおかしい。そして背中は…鬼の形相で私を何度も何度も鞭で打ちつける義母の姿が視界の端でとらえられる。 戻ってきた聴覚には呪詛のようにずっと「お前さえ生まれなければ」と何度も何度も叫ぶ義母の声。私の背中に無数の鞭打ちの痕がつき、背中が血まみれになった頃には、義母の怒りが収まったのか、はたまた疲れたのか、鞭がしなる音が止んだ。 そして義母は去り際に私に言った。「お前は私から大切な人を奪った。生きているだけでありがたいと思いなさい。」義母の瞳は酷く淀んで見えた。 これが13歳の春の出来事。 義母は恐らく舞踏会や夜会、お茶会などで自身と母を比べられたときに【教育的指導】の名のもと、私に鞭を振るう。 最初の頃は痛くて泣き叫んでいた私だが、これが年単位で続き、私の涙は涸れ果てた。 そしてここからの人生は下り坂だった。義妹は成長するにつれ、とても我儘になっていった。 もちろん蝶よ花よと父と義母に育てられた為でもあるが… 私の部屋を荒らす程度で今まで済んでいたのが、やはり親子か… ある日突然、暖炉に鉄の棒を差し込み、熱したのを私の腕に突き立てた。「フフ。お母さまがあんたに地下室でやってること知ってるんだから。だから私もやってもいいと思わない?」義妹はそれは楽しそうに目を細めて、よく通る綺麗な声で言う。「本当はあの灰掻き棒で広範囲でやりたかったけど、それはさすがにダメだとお母さまに言われたから…喜びなさい。あなたの為にこの小さな棒を特注したの!」 「この小さな紋章はこの家の家紋よ。それをあんた如きが体に刻めるなんて光栄に思いなさい」この時から冬は暖炉を使い、私に熱した棒を体のどこかに押し当てるのが義妹の趣味となったらしい。 しかし、私が苦悶の表情のみで
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003.変わらぬ朝

「フィルエット様、おはようございます。」専属メイドであるミリーナが一日の始まりを告げる。「ミリーナ。おはよう」「さぁ。本日から学園が始まりますから、急いで準備をしましょう」ミリーナは本当に働き者だな~と私はまだ眠い目をこすりながら、ベットからゆっくりと立ち上がる。基本的に寝起きが悪いほうではないのだけど、昨夜は地下室で義母に叩かれ、背中の痛みのせいで寝つきが悪かった。「フィルエット様、本日はこちらに朝食をお持ちいたしますか?」「いえ、食堂でとるわ…今日はあの人もいるのでしょう?」ミリーナは昨夜私の身に何が起きていたのか既に知っている。義母が部屋に戻り、義弟が私を一通りいじくった後、ようやく私は部屋に帰る事ができる。そして部屋に帰ると必ずミリーナが包帯や薬をもって待機しているのだから。だからか、ミリーナは毎回朝食は別にとるように促してくる。それもそのはず。慣れたとはいえ、背中の傷はクッションがない食堂の椅子に腰かけるのはとても痛い。自室の椅子にはミリーナや執事長が私の為に柔らかいクッションを揃えてくれ、少しでも痛みにより休めない…とならないように工夫してくれている。食堂などに行かずに自室でゆっくりと食事をしたいというのが本音ではあるが、あの父がいる時は、本当に体調を崩した時以外はなるべく食堂でとるようにしている。なぜなら欠席してしまうと義母のみならず、義妹も欠席したのを理由に色々仕掛けてくる。「あの人がいるのならば、出なくてはまた義母に打たれる可能性もあるし、あそこではひたすら胃に物を詰め込むだけだから大丈夫よ」痛いのは別に慣れているし、今更何をされようと問題はない。正直な所あとでどうなろうと、我が家のシェフが作った食事をゆっくり堪能したいと思う。昔から料理長は変わらず、私と母が好んだ味を今でも私の皿に出してくれている。なので食事の時間だけは昔に戻った感覚に陥るのだ。だけど私自身がそう思っていても、ミリーナはそうではない。体を傷つけて戻ると、泣きそうになりながらも治療をしてくれる。どんなに遅い時間でもミリーナは必ず治療する為に待機していてくれるのだ。「しかし…」「ミリーナ…いつもありがとう。ミリーナが私の変わりに泣いたり笑ったりしてくれるから、またいつか私もそんな風に感情を表に出す事ができると信じる事ができるわ」
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004.変わらぬ朝2

「ミリーもとうとう高等部か。勉強がますます難しくなるだろうが、公爵家の人間なのだから頑張りなさい。」 「もう!わかってますわ、お父様!」 「ふふ。ミリーゼは今までも頑張ってきたのですから大丈夫ですわ。あなた。」 「それもそうだな。」 ミリーゼはつい先日高等部に進学したばかりで、今日から本格的に授業が始まる。 中等部の制服から高等部の制服へと衣替えをし、髪形も以前はツインテールにしていたのだが、髪を腰まで流し、ワンポイントに真珠の髪飾りをつけている。 「そういえば、お父様。この前入学祝にいただいたこの髪飾り、つけてみましたのよ?いかがですか?」 「うん。ミリーに似合っているよ。」 「本当。ミリーゼの髪の色に合いますわね」 …入学祝い…そうかそれが… フィルエットは少し前にミリーゼが自分の部屋に来て、入学祝いをもらったとかどうとか…くだらない事を言いにきていたな。 っと思い出していた。 ――あの時はそれだけで終わったから何事かと思っていたけど…自慢したかっただけか… 「ミリーゼ姉さん。容姿が変わっても中身が変わらないと意味ないって知ってる?」 「おだまり!オルカ!!」 「だって本当のことじゃないか」 「あなたはもっと女心を理解した方がよろしくってよ!そんなんじゃ社交界でモテないし、婚約者だって無理じゃないかしら…」 「姉さん喧嘩売ってるの?」 ――また始まった… ミリーゼとオルカはとにかく仲が悪い。 よくこうした場で姉弟喧嘩をしている。 「二人とも、行儀が悪いですよ!」 「オルカ。お前ももう少ししたら高等部だ。気を引き締めて学んできなさい」 「わかってますよ。お父様」 「もう!お父様はオルカに優しすぎますわ!!せめてオルカが殿下みたいに誠実な人なら私も姉として誇らしいのに!」 「それをそっくりそのままミリーゼ姉さんに返すよ。社交界の花と言われているセレナ・ウィルソン公爵令嬢みたいにおしとやかにしてほしいね」 「なんですって…」 「なに?」 「二人ともいい加減になさい!学園に遅刻してしまいますよ!」 二人の言い合いが続き、少し騒がしい朝食の席だが、フィルエットは黙々と目の前に出された食事を胃の中に詰め込んでいた。 ――この味…さっぱりしていてとても食べやすいな。
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005.変わった朝

「ミリーゼ姉さん…朝からうるさいよ。」オルカと私はミリーゼの後を追うように玄関を出て、悲鳴をあげたミリーゼの目線の先を追った。「あれは…」ルキニア公爵家の玄関先に待機していたのは、自分達が乗る為の馬車ではなく、別の家の家紋が入った馬車がとまっていた。そしてその隣には戸惑うようにルキニア公爵家の御車二人がいた。そう。現在我が家の前に停まっている馬車の家紋を有するのはウィルソン公爵家の馬車だからだ。ウィルソン公爵家はこの国の四代公爵家の1つである。もちろんルキニア公爵家もその内の一つではあるが、歴史はウィルソン公爵家の方が古い。我が家は公爵家の中ではまだ新参者の部類だ。だからといって家同士の仲が悪いわけではないから驚く事ではないのだけど、ミリーゼ自身が嫌っている人物がウィルソン公爵家にいる。固まっているミリーゼを横目に、ウィルソン公爵家の馬車から降りてくる人物を私は確認した。「あら…朝から騒々しい…まったくもっと令嬢としての自覚をお持ちになったらいかがですの?」「あぁ…それとも…そんな事もできない脳みそお花畑さんでいらしたのなら申し訳ない事を言いましたわ…この通り、謝罪いたしますわ」「なんですって…朝から喧嘩うってくるなんて、いい根性していますわね!」「セレナ・ウィルソン!!」中から出てきたのはウィルソン公爵家のご令嬢セレナ・ウィルソンであった。薄い赤色の髪を緩く巻き、赤い瞳には明らかに侮蔑の色を浮かべている。しかし、それはその視線を向けられているミリーゼからみたセレナ・ウィルソンの印象だろう。はたから見ると、とても優雅な仕草で容姿も整っている為、一つの絵画をみてるようだった。社交界から【赤薔薇の君】と言われるのに納得がいく。だがそれは彼女の本当の姿を知らない者たちが、彼女に理想を重ね美化しているからだと私は思っている。本来の彼女は敵とみなしたものには攻撃的で、かなり汚い言葉使いになる。逆に心を許した相手にはどこまでも優しい。現状、少なくてもミリーゼを敵とみなしているのは明らかにわかる。「別に私…あなたなんかに興味ありませんわ…寧ろ関わらないでくださる?」「本当は視界に入れるのも嫌なんですの…あぁ…舞踏会とかも壁の花になってくださると、私とても助かりますわ!」セレナは頬に手をそえ、首を少し傾け、表情は困ったように眉尻
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006.馬車での一時

私とセレナを乗せた馬車はまっすぐ学園へ向かった。 「おはようございます。フィルエット」 「おはよう。セレナ」 かなり今更だが、私たちは馬車の中でお互いに挨拶を交わした。 「ところでフィルエット、我が家の馬車の座り心地はいかが?」 「えっ!とてもふかふかで…そういえば走行中の揺れの衝撃があまり感じない…かも?」 「まぁまぁまぁ!!それは良かったですわ!あの使えない人達もたまには役に立ちましたわね。」 セレスが言う【使えない人達】の顔が頭に浮かんだが、さすがのセレスもそんなことはしないだろう… と私は考えを捨て、セレスにとって別の【使えない人達】であるのだろうと考えなおした。 つまりきっと、私が知らない人達… 「それにしても馬車一台丸ごと新調したかいがあったというものですわ!」 「それってどういうこと?」 「これからこの馬車は私とフィルエットが学園に通う間、ずっと使う為にこの春休みにあの人達に作らせた物ですわ」 「えっと…セレナの為…だよね?」 「いいえ。【私とフィルエットが】ですわ。さらに正確に言うと【フィルエット専用馬車】ですわ」 「え????」 ――わけがわからない…。 セレナとは幼い頃からの友達で、いわゆる幼馴染だ。 母が生きていた頃からの付き合いなので、セレナは私の母の事も知っている。 それにセレナは社交界で堂々とした母の姿に憧れて、日々令嬢としての振る舞いを勉強し、自分を磨いてきた努力屋さんだ。 セレナの事は他の人よりは知っているつもりだし、たまに突拍子もない事をしたりするが… だけど今回はなぜ私の為に馬車を新調したのかがわからなかった。 そもそも、馬車にはウィルソン家の家紋が入っていたので、明らかにセレナの馬車だと思うのだけど… そう考えつつ、私は先程から疑問に思っていた事を言葉にした。 「セレナ…まずセレナが言う【使えな人達】は誰の事か聞いても…?」 「そんなの決まっていますわ!クーリア殿下とフリッツの事ですわ!」 ――あぁ…やっぱりか…。 フリッツも私とセレナの幼馴染だ。 フリッツは母の故郷である隣国アルトア帝国のバードン公爵家の次男である。 そして私の母とは従姉弟同士でもある。 その縁でよくバードン公爵夫妻が旅行でこの国にきた時、フリッツを我が家で預か
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007.輪の中心には…

私とセレナは馬車から降り、校門の前に何かを囲むように女生徒の人だかりができている事に気づく。「あれは…」 「まったく…鬱陶しいですわね…害悪・害虫。それとも発情した雌豚と言えばよろしいかしら?」 「セレナ…それお母上が聞いたら卒倒してしまうからやめなね…」 「安心してくださいまし。私、以前より更に外面はよくなりましてよ。そんな凡ミスしませんわ。」セレナは扇で口元を隠し、目だけは笑っているので、近くにいた私以外先程の言葉は聞かれもしなければ、口の動きで読まれもしない。 確かに完璧ではある… そしてセレナは扇を閉じ、私の腕に自身の腕を絡めてきた。「さぁ早く行きましょう。あんな輪なんか私が一蹴してやりますわ」 「お手柔らかに…ね…?」そして私達も校門へと近づいて行った。数人、私達が近づいてきた事に気がついた者達がいた。 その女生徒達は素早く輪から抜けていった。――そうね。そうした方が賢明よね。私はその者達の危機察知能力を心の中で称賛した。「さて…蹴散らしますわね」セレナはそう呟くと、私の腕に絡めていた自身の腕を引き抜き、姿勢を正した。 まさに令嬢の鏡と言われるセレナ。 完璧なたたずまいで、目を惹かれる。 そんなセレナもまた、周りの視線を一身に浴びていた。「ここで何をしているのです!通行止めになりましてよ!」セレナがよく通る声で一言発した瞬間、今まで何人もの女生徒の声が響いていたその輪に沈黙がおりた。「あなた方はこんな校門近くに止まり通行を妨げ、大声で話し、時には悲鳴をあげ…」――パチンッ「他人への迷惑を考えませんの?それでも教育を受けた貴族ですの??」セレナは手に持っていた扇を反対側の掌に勢いよく叩きつけ、通行の妨げになっていた女生徒達を睨みつけた。 女生徒達はセレナの勢いに飲まれてか、顔色が悪くなった者もいれば、誰かの陰に隠れてその場から退散する者もいた。 しかしセレナはそんなに甘くない。 逃げ出そうとしていた女生徒達の名前を次々に呼び、満面の笑顔で宣告した。「私、物覚えは良い方ですの。今度このような事がありましたら、皆々様のご両親に学園での事をお伝えしておきますわね。」――次はないからな…ってあたりかな…。私はセレナから一歩下がった所で様子を見ていたが、女生徒達に少し同情した。 セレナは本当に記憶力がい
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008.フリッツとクーリア1

「おぃおぃ!待てよ!」 私とセレナが二人を通り過ぎ、先に校舎に向かおうとしていた所、フリッツが呼び止める。 だがセレナは聞こえない事にして、止まる気配がない。 「セレナ…フリッツが呼んでるよ?」 「……。」 「セレナ…私…二人にお礼言いたいな…」 さすがに二人を無視するのはよろしくない… 特に王太子を無視するのは… それに馬車を購入してくれたと聞いたからにはお礼を言いたい。 昨日、母に打たれた背中の痛みがあまり感じられなかったから、初めて馬車が快適だと思った。 御車の技術ももちろんの事だが、中に使用されていた椅子の素材は本当に柔らかかった。 振動を吸収しやすい素材だったのだろうか… 「まったく…フィルは律儀なんですから…そんなこと言わなくてもよろしいのに…」 セレナは私の顔を見て、ため息をつき、なにやら呟いている。 小さな声で近くにいる私でさえも聞こえないほど小さな主張。 セレナは再び私の腕から自身の腕を引き抜き、扇を広げ口元が隠れるようにしてからフリッツと殿下の方を向いた。 「これはこれは…フリッツ様にクーリア殿下、ご機嫌麗しく。存在に気がつかなくて大変申し訳ございません。 いかんせん…まさか生徒の見本となるべき方々が、まさか他生徒の迷惑になるような事を窘められないなんて、私考えが及ばず…お恥ずかしい限りですわ」 セレナは満面の笑顔で平然と嫌味を言っている。 「お前な…俺は同じ家格だから大目に見るが…クーリアはこの国の王太子だぞ?もう少し礼儀をわきまえたらどうなんだ?」 「ここは学び舎ですわ。もちろん社交の場であればきちんといたしましょう。ですが、それを言うならなおのこと、先程のあの騒ぎはさっさと治めてほしかったですわ。」 「ぐっ…それはそうだが…だけど…」 フリッツの主張も一理あるのだが、セレナの主張も正しい。 ここは学園で、ある程度は貴族社会より緩い。 それは貴族や平民など差別なく育て、国を良くしていこうという信念の元、このマカフィオラ学園は創設されたからだ。 しかし貴族と平民の差別は学園にいるからといっても変わらない。 昔は階級に関わらず、全員同じクラスにしていたらしいのだが、何事もうまくはいかない。 色々な問題が多発してしまった事により、貴族と平民、さらに貴族は家格でク
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009.フリッツとクーリア2

◆◆◆「終わりか?」セレナとフリッツがお互いの勢いが収まった時を見計らい、殿下が終わりの合図を言う。「よくまぁ。そこまで言い合えるものだな」 「クーリア…お前よく言われっぱなしでいられるな…」 「興味ないからな。それにセレナ嬢の気の強さは今更だろ。」 「いや…そうだが…」今までセレナとフリッツから距離をとっていた殿下と私は二人に近づき、それぞれに声をかける。「セレナ。大丈夫?」 「大丈夫ですわ。それよりフィル…早く校舎に向かいましょう。」セレナは思い出したかのように、私を再び校舎に入るように促す。 フリッツは今回止めようとはせず、後ろから大きなため息が聞こえてきただけだった。 そんな二人に再びセレナは振り向き、閉じた扇の先を二人に突き付けた。「ついでです。そのままそこに留まり、今からやってくる脳内お花畑ちゃんの足止めをしてくださいませ」 「はっ?」 「それぐらいやってくださいまし!せっかく私が出会わないように早めに走ってもらった意味がなくなりましたわ!責任をとりなさいな!」 「何をいってるんだお前!?」フリッツは心底セレナの行動の意味がわからず、また喧嘩をし始めようとしたが、クーリアがフリッツの肩をつかみ制止した。 そしてクーリアの目線の先には一台の馬車が到着した所だった。 そしてその馬車の家紋はルキニア公爵家だった。 つまりその中に乗っているのが義妹ミリーゼなのが明らか。「わかった。今回は引き受けよう…」 「あぁ…わりぃ…」クーリアは全てを悟ったように引き受ける旨の返事をし、フリッツも遅れて悟り、自身がセレナと言い合ってしまったが為にこれから起きる事を予想し、頭を抱えた。「それではよろしくお願いいたしますわ」セレナはクーリア達に背をむけ、フィルエットと共に校舎に入っていった。 その場に残されたクーリアとフリッツは二人が校舎に入ったのを確認し、校門の前に停まった馬車から少女が勢いよく降りてきたのを横目でみつつ笑顔の仮面を自身の顔に貼りつけた。「クーリア…悪い…」 「いや。仕方がない。セレナ嬢がフィルエット嬢と共に登校してきた時に気がつけなかった私も悪い。」 「まったく…これじゃ本当にセレナが言う通り。使えない人間じゃないか…」 「まったくだ。私もまだまだ王太子としてもっと
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