All Chapters of 一度王子を殺した秘書官、今度こそ愛を誓います: Chapter 11 - Chapter 12

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第11話 ティナの作戦

「なぁ、ところで──」  ディンブラ殿は耳に顔を近づけると声を潜ませて聞いてきた。 「どうやって、今回のお忍び視察、王や大臣連中を説得したんだ?」 「ああ、それなら。『万が一にも王子の身に危険が及ぶことがあれば、賊と賊に繋がる全ての者を殺し尽くした後《のち》に私がその首を持って償わせていただきます』、とベルテーン現国王に述べることで、無事に王子の提案した無理難題を解決することができました」  前のときと同じ手法だ。  本当は王子の視察自体を阻止したかったのだが、王子はあれでもなかなかの頑固者。フリーダと相談して、前回同様視察を行うことにしてフリーダと力を合わせて王子を守ることを決めた。  ……前の記憶通りなら、このあと王子は賊に襲われる。ただの賊ではなく、もっと恐ろしい怪物《フォボラ》に。  フォボラが出現するのはほぼ間違いない。だから私たちの作戦は、王子に危害が加えられないように身を挺して守ること。私の剣とフリーダの魔法、そしてディンブラ殿の<重槍の紋章>があればフォボラを退けるのはたやすい。  王子の命は守られ、この先の展開もおそらく違ったものになるはず……。  私が考えを巡らせていると、ディンブラ殿はぽかんと大口を開けて理解できない、といった顔をしていた。 「……何か?」 「いや。アールグレン秘書官──おっと、ここからはティナだな。ティナのその手腕に感心しただけだ」 「はぁ……」  感心しないでほしい。心の中では今、必死なんだから。フリーダはあんな調子だし、これから起こることを止める算段を考えなきゃいけないし
last updateLast Updated : 2026-01-29
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第12話 黒い影

「いやいや、久しぶりに王宮の外に出るとすげぇ人手だな。王子なんてさっきから目につくもの食べまくってるぜ」 「王子は味を確かめているのだと思います。王宮で口にするものは、もう一流のシェフによって作られた料理。それも市民が食べないような高級品ばかりです。こうして市民が食べるものを自ら食することで、その質と安全を確かめているのです」  たぶん……フリーダのやつ、王子にあんな近づいて。手渡しで食べ物を…それに「あーん」まで!?  わ、私だって隣にいたら……。あらぬ妄想をしそうになった私の思考をディンブラ殿の言葉が止める。 「ふーん、そんなもんかね。俺はてっきりお固い行進が面倒くさかっただけなような気がするが。おっと、つい王宮や王子の話をしちまう……そうだな。ティナは、確か市民出身だったか? 城下町の説明をお願いしてもいいか? 下手におしゃべりするよりかはその方がいいだろ」 「承知しました」  ディンブラ殿の言うことも最もだった。共通の話題と言えばどうしても王宮か王子の話題になってしまう。それに、フリーダに向いてるこのどす黒い気持ちもごまかせるかもしれない。 「では、まず城下町ですが、主に3つの区画に分かれています。一つは、ここ商業区。市民の台所とも言える場所でありとあらゆる食品とともにその他の品物を取り扱っています。二つは、ギルド区。職人たちのエリアですね。冒険者御用達の場所でもあります」 「王宮で扱う武具や紋章なんかも、ここから仕入れてるって聞くぜ。まあ、俺たちは与えられた武器をただ使うだけだが。……おっと、うまそうなステーキがあるぞ。おっさん、この肉はいくらだ?」  ガハハハハ、と笑いながら牛肉のステーキを購入すると、分厚い肉にフォークを刺してその場で食べ始める。
last updateLast Updated : 2026-01-31
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