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第十一話 番の共鳴

周りが見えないくらいに冷静さを手放したミハエルは満足したようにラビリンスから離れていく。このままではこれ以上の事をしてしまいそうになり、歯止めが効かなくなってしまう。本来の彼は人に見せつけるような趣味は持ち合わせていない。ゆっくり離れていく二人の唇には離れるのを嫌がるように一つの糸が繋がっている。 ミハエルが気を抜いた瞬間にルルが攻撃をしかける。彼の体内で練りに練った髄海溶液をネックレスにかける為に、シュンシュンと音を隠して飛び込んでいく。何かの気配を感じたミハエルは正気に戻ると、体制を整えようとした。 ガキィィィン、と刃と刃がぶつかる音が鳴り響く。ルルを守る役目を担ったラリアは矛先を自分へ向けようと誘導していった。一瞬の早業で何が起こったのか分からないミハエルは、自分を守る事に必死のようだ。そんな二人が戦っているのを見ているラビリンスは叫ぶ。 「やめてください、どうしてそんな事を……」 二人に向けた言葉をかき消すようにルルは人間の姿を模倣し、主人の目の前に現れた。まだ五歳くらいの少年に見える子供が、ラビリンスを抱きしめながら、自由を奪っていく。 「何するの……」 「ごめんね、姫様。すぐ元に戻すから我慢してて」 姫様と呼ぶ少年はあどけない表情を見せつけながら、今まで見ていた事実を思念でラビリンスへと送信する。巻き戻されていく時間軸があっと言う間に、こうなった真実を解放させていった。人間の脳の回転速度を超えた彼の回想は思ったよりも衝撃的になっている。全てを理解したラビリンスは言葉を失い、その場で力を抜かし、地べたへ吸い寄せられていく。 「貴方はルル、なのね……どうしてこんな事」 「僕が送ったものは時期消滅するよ。姫様の記憶には何事もない日常へと書き換えられていくと思う。お願いだから、僕を信じて」 「……うう」 魅入られてしまって
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最終話 未来へと

思った以上に共鳴の力は強大だった。その反動で意識が朦朧としていたラリアはどうにか部屋へ辿り着く。ゆっくりとラビリンスをベッドに横たわすと、寄り添うように隣に沈んでいく。頭の中に2つの光が見えた。その光はまるで自分達を現しているように思える。瞼の裏で展開されていく世界は古代の世界だった。何を見せようとしているのかと、近づいていくが、中々その真相に辿り着く事が出来ない。 全ての意識がプッツリと消えたラリアはいつの間にか少年のような寝顔を見せ、ラビリンスと向かい合っている。二人の様子を転写魔法で見ていたサイレンスは映像を落とすと、二人が眠ったのを確認し、全ての明かりを消していった。 「終わりましたか?」 「どうにかね」 「……貴女の仕業でしょう? サイレンス様」 「何が言いたいのかしら」 大きな丸い石で出来たテーブルを介して突き詰めようとするミミコット。今回のミハエルが起こした行動は疑問点が多い。彼の使用した魔術道具あれは元々がこの宮殿に保管されている太古の道具。この道具を動かす権利を持っているのは国王と王妃の跡を次ぐ第一王女であるサイレンスのみ。他の立場の人間は使用する事は愚か、触れる事も出来ないはずだった。 「何故あれが彼の手に渡ったのですか……それとどうして彼が動かす事が出来たのかを説明してください」 気になってしまった事はどんな内容でも追求してしまう、それがミミコットの癖だった。ラビリンスに危害を加える可能性もあったからこそ、余計に隠している情報を提示するように求めていく。そんな彼女を微笑みであしらおうとすると、タイミング悪く転移結界が発動し始めた。ルルに使用権限を与えていた事を思い出したミミコットは、一端話を打ち切ると、その瞬間に合わせて全ての映像を消去していった。 「この映像を彼に見せる訳にはいきませんからね」 「良い判断ね」 ぼ
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