周りが見えないくらいに冷静さを手放したミハエルは満足したようにラビリンスから離れていく。このままではこれ以上の事をしてしまいそうになり、歯止めが効かなくなってしまう。本来の彼は人に見せつけるような趣味は持ち合わせていない。ゆっくり離れていく二人の唇には離れるのを嫌がるように一つの糸が繋がっている。 ミハエルが気を抜いた瞬間にルルが攻撃をしかける。彼の体内で練りに練った髄海溶液をネックレスにかける為に、シュンシュンと音を隠して飛び込んでいく。何かの気配を感じたミハエルは正気に戻ると、体制を整えようとした。 ガキィィィン、と刃と刃がぶつかる音が鳴り響く。ルルを守る役目を担ったラリアは矛先を自分へ向けようと誘導していった。一瞬の早業で何が起こったのか分からないミハエルは、自分を守る事に必死のようだ。そんな二人が戦っているのを見ているラビリンスは叫ぶ。 「やめてください、どうしてそんな事を……」 二人に向けた言葉をかき消すようにルルは人間の姿を模倣し、主人の目の前に現れた。まだ五歳くらいの少年に見える子供が、ラビリンスを抱きしめながら、自由を奪っていく。 「何するの……」 「ごめんね、姫様。すぐ元に戻すから我慢してて」 姫様と呼ぶ少年はあどけない表情を見せつけながら、今まで見ていた事実を思念でラビリンスへと送信する。巻き戻されていく時間軸があっと言う間に、こうなった真実を解放させていった。人間の脳の回転速度を超えた彼の回想は思ったよりも衝撃的になっている。全てを理解したラビリンスは言葉を失い、その場で力を抜かし、地べたへ吸い寄せられていく。 「貴方はルル、なのね……どうしてこんな事」 「僕が送ったものは時期消滅するよ。姫様の記憶には何事もない日常へと書き換えられていくと思う。お願いだから、僕を信じて」 「……うう」 魅入られてしまって
ปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-10 อ่านเพิ่มเติม