「いやいやいや!」 長老は必死に手を振った。「あんたはそう気軽に言うが、戦争するかどうか決めるのは魔王なんだぞ!?」 唾を飛ばしながら力説する。「魔王が! 人間に! 貴重な秘薬の提供など! 許すわけがない!」「いや?」 ゼノヴィアスは首を傾げた。「許すが?」 きょとんとした顔。「あ、あんたの意見は聞いてない!」 長老は苛立ったように叫んだ。「魔王が! 魔王がどう考えるかじゃよ!」「だから」 ゼノヴィアスは、さも当然のように。「余が良いと言っている」「……へ?」 長老の口が、ぽかんと開いた。目を細め、ゼノヴィアスをじっと見つめる。 そこにいるのは、どう見ても二十代の精悍な青年。 ちょっと態度は尊大だが、まあ若者にはよくあること。 でも――――。「あの……魔王様が特別に大丈夫って言ってくれてるんですよ!」 シャーロットが慌ててフォローした。「あんた……」 長老の指が、ゆらゆらとゼノヴィアスを指差した。「魔王?」 まるで、信じられないものを見るような目。「余を指差すな!」 パシン! ゼノヴィアスが不機嫌そうに、長老の指をはたいた。「し、失礼……」 長老は混乱したまま、シャーロットの袖を引っ張った。「ちょっとちょっと、こっち来て……」 テントの隅へと引っ張っていく。「はぁ……」 シャーロットは苦笑いを浮かべながらついていった。「彼は……」 長老が小声で囁く。「魔王の何なの? 息子? 弟? それとも使
Last Updated : 2025-11-19 Read more