ベンチは大きなエンジュの木の下にあった。その木はとても高く立派で、樹齢何十年にもなるのだろう。清華と司はそうして歩いては休み、歩いては休みを繰り返し、家に着く頃にはすっかり日が暮れていた。リビングでは航が読書をしており、二人のベビーシッターが夕食の配膳をしていた。清華と司は途中で買ってきたケーキをテーブルに置いたが、航は全く興味を示さなかった。「舟は?」「二階にいるよ」「まだ宿題やってるの?」清華はため息をつきながら二階へ舟を呼びに行こうとした。舟は昔から宿題をやるときはダラダラと時間がかかる。航なら一時間で終わる量でも、舟は三、四時間はかかるのだ。しかし清華が階段に足をかけた瞬間、航が突然本を放り出し、慌てて二階へ駆け上がっていった。「僕が呼んでくるよ!」航がすでに走って行ったため、清華はそのまま引き返した。夕食の時、舟は自分のお茶碗にたくさんのおかずを乗せると、それを持ったまま「食べながら宿題するから!」と言って二階へ戻ろうとした。清華は呆れて笑った。「あなた、いつからそんなに勉強熱心になったの?」「勉強が好きなんじゃないよ。早く宿題を終わらせないと、ボコボコにされるからだよ」「あなた、今までだって数え切れないくらい怒られてきたでしょ?」「だ、だって……ボコボコにされるのは嫌だもん!」舟があからさまに焦ってどもっているのを見て、司が彼の腕を掴み、額を軽く小突いた。「今度はいったい何のイタズラをやらかした?」その言葉を聞いて、舟は露骨に目を泳がせた。「な、何もイタズラなんかしてないよ!パパのえんざいだよ!パパは悪者だ!」「喋り方も表情も不自然すぎるぞ」と司は目を細めた。「僕は……」「僕が彼に約束したんだ。今夜ちゃんと宿題を終わらせたら、三十分だけこっそりゲームをやらせてあげるって」と航が横から助け舟を出した。「そういうことか?」司は片眉を上げた。舟は慌てて何度も頷いた。「お兄ちゃんがゲームさせてくれるって言ったんだもん!怒るならお兄ちゃんを怒ってよ!」そう言い捨てるなり、舟はお茶碗を抱えて二階の自室へ逃げ帰ってしまった。清華と司は視線を交わした。兄弟の間に何か秘密があるのは明らかだったが、いつも冷静でしっかり者の航が知っていることなら、それほど大きな
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