紅葉は驚いて目を見開いた。「あ、あなた、今あの子とどういう関係だって言ったの?」寧々は深く息を吸い込んだ。「まず、光博さんはもう立派な大人です。ご両親とはいえ、彼の意思を無視して海外へ送る、ましてや軟禁するような権利はありません。それに、彼は決して救いようのない人間じゃありません。私は彼をとても良い人だと思っています。私たちが彼を信じて、ちゃんと愛情を注いで向き合えば、彼は必ず立ち直れるはずです」自分の息子を「とても良い人」と表現した人間は、紅葉にとっておそらくこの女が初めてだった。彼女は信じられないものを見るように寧々を見つめ、さらにはこの女の頭がおかしいのではないかとさえ思い始めた。「あの子は人殺しになりかけたのよ。今のうちに隔離しておかなければ、遅かれ早かれ取り返しのつかない悲劇を起こすわ」「『なりかけた』だけで、実際には殺していません」「これから先も絶対に殺さないと、あなたが保証できるの?」寧々は口を噤んだ。他人の未来の行動など、どうして保証できようか。「……さっき、あの子の婚約者だと言ったわね?」「実は、それは……」寧々は慌てて「ただの冗談です」と弁解しようとした。しかし、紅葉の口から出たのは予想外の言葉だった。「いいわ、あなたたちの結婚を認める」寧々はパチパチと瞬きをした。「……私と彼が結婚するかどうかは、彼を海外へ送るかどうかとは何の関係もない話ですよね」「大ありよ。もしあなたが光博と結婚するなら、私たち夫婦はあの子の身柄をあなたに完全に引き渡すわ。今後、あの子がどんな事件を起こそうとも『第一の責任者』は妻であるあなたになる。親である私たちは、もう一切の責任を負わずに完全に手を引けるからね」寧々は耳を疑った。「……自分の息子を厄介な『お荷物』扱いして、他人に押し付けさえすれば、自分たちは身軽になれるって本気で思っているんですか?」紅葉は無表情に頷いた。「そう思ってもらって構わないわ」寧々はこれまで、これほどまでに自分の子供を忌み嫌い、責任から逃れようとする親を見たことがなかった。この瞬間、彼女は光博の心の闇を理解し、彼をひどく不憫に思った。「……分かりました。私が彼と結婚します。彼を私に任せてください」その言葉を聞いて、紅葉は心底ホッとしたように大きなため息をつ
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