All Chapters of 異世界に転生したので裏社会から支配する: Chapter 1 - Chapter 10

11 Chapters

プロローグ

  「ボス。今月の売り上げです」 「あいあい」 豪華に装飾された部屋の一室。ここは各地にある俺の屋敷の一つの執務室だ。 「んあー? この部門の売り上げ落ちてんじゃん。担当だれ?」 「エリザベスです」 あいつか、あんにゃろう。実験狂いでも良いけどノルマぐらいは達成しやがれ。どうせまた実験のしすぎで、仕事を後回しにしてたんだろう。 優秀なんだけどな。自分の世界に入り込みすぎるのが玉に瑕だ。 「あいつに後で手紙飛ばしといて。これ以上仕事が遅れるなら研究費出してやんないぞって」 「かしこまりました」 うんうん。最古参の秘書だけあって、カタリーナは優秀だな。エルフという事もあって緑色の綺麗な髪をした美人さんだし。特に切れ長のキリッとした目がビューティフル。 他の部下達もこれぐらい優秀ならやりやすいのに。いや、みんな優秀なんだけどさ。どいつもこいつも癖がありすぎて苦労するんだ。 馬鹿と天才は紙一重とはまさにこの事だね。 「それと情報部からの定時連絡が届いてます」 「なんか直近で急ぎの報告あったっけ?」 「フレリア王国とスパンダ帝国の戦争が終結したとの事。うちの傭兵部門から出した人材に被害は無し。しっかり戦功を上げて、半年以内に帰還するそうです」 「おぉー。良きかな良きかな。どうでも良すぎてすっかり忘れてたぜ。スパンダ帝国は負けたよね? あれだけお膳立てしたんだし」 「皇族や主だった貴族は全て捕虜にしたみたいですね」 エクセレント! 文句なし! 馬鹿な民衆共に革命を煽った甲斐があったってもんだぜ。 ちょっと昔に帝国には個人的な恨みがあったからな。これで少しは鬱憤が晴れたぜ。 「早速うちの商会と裏の勢力を広げろ。ゴタゴタしてるうちに、俺達が中心の経済圏を確立しないとな」 「既に手配済みです。ホルトとマーヴィンが直々に現地に赴き差配しています」 はい。優秀。もう俺が居なくて良いんじゃないですかね。元からお飾りみたいなもんだけど。俺はその人に合った職を紹介して、良い感じにしといてねってお願いしてるだけだしさ。 「ふぁー、ねむっ。今日の予定ってなんかあったっけ?」 「ボスの本日のご予定は、特にありません。パラエルナ王国の第一王子からパーティーのお誘いはありましたが、お断りさせて頂いております」 あの馬鹿王子か。ほぼ毎日のように何かしらに
last updateLast Updated : 2025-12-03
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第1話 空腹

  「お腹空いた」 俺は何処にでもいるスラムのガキだ。 まだ12歳と成人もしておらず、15歳の成人からなれる冒険者という職に就くことも出来ない。 俺が7歳の頃、俺を産んだ母親が亡くなった。母親は娼婦の仕事をしていたらしく、客との間に出来た子が俺みたいだった。 父親が誰かは分からない。俺も興味はない。食べさせてくれるか、そうでないか。それだけだ。 その点、母親はお世辞にも良き母とは言えなかったがご飯は毎日一食は出してくれた。満腹にはならなかったが、それでもご飯を食べれるだけ幸せだと気付いたのは、流行病で母親が亡くなってからだった。 「お腹すいた」 母が亡くなってからというもの、俺はあっという間に住んでいた場所を追い出され、流れるようにスラムに居着いた。俺と同じように親のいない子供もたくさんいた。 そして、幼い奴からどんどん死んでいく。 最初の頃は仲良くしてた奴が死んで悲しんだものだが、人間ってのは慣れる生き物だ。 感覚が麻痺してきたのか、もう知り合いが死んでもなんとも思わなくなってしまった。 それよりも自分の事で精一杯だからだ。今日生きれても、明日には死んでるかもしれない。 そんなギリギリの生活が何年も続いた。 「お腹空いた」 スラムに居着いて数年が経った。 今日も今日とて、裏通りの安い酒場の残飯を漁る。ここの店主はスラムへの施しのつもりなのか、小汚いガキがゴミ箱を漁っていても、見て見ぬふりをしてくれる。 場所によっては、店の前を通るだけで殺されるなんて事もあるんだ。そのせいもあって、ここはスラムの人間からすると大人気の場所なのだ。 しかし、今日は出遅れたのか、どれだけゴミ箱を漁っても食べ物が見当たらなかった。 「お腹空いた」 昨日も少ししか残飯が無かったので、空腹は極限状態。頭はフラフラとして、正常時なら絶対行かない所までも足を伸ばしてしまった。 そして。 「ガキがっ! ここはお前みたいな奴が来ても良い場所じゃないんだよ!!」 気付いたら食べ物の匂いに誘われて、屈強な用心棒がいる酒場に来てしまっていた。 ここはスラムの闇組織が運営していると言われてるならず者が集まる酒場だ。空腹でぼーっとしていたせいで、こんな所まで流れてきてしまっていた。 「こっちこい!! 二度と馬鹿しねぇようにヤキを入れてやる!」 「ううっ…」
last updateLast Updated : 2025-12-03
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第2話 転生

  前世の俺はまぁ、可もなく不可もなく? ブラックな企業に勤めてる訳でもなく、不遇な幼少期やイジメにあったとかもない。極々普通に大学まで進学し、それなりの企業に勤めていた。 結婚はしていなかったみたいだが、それなりに人生を謳歌していたと思っている。なんで転生したのかは謎。死んだのかね? 最後の記憶は良い感じに酔っ払って、気持ちよくベッドに入ったところなんだけど。 「特に主人公属性とかないと思うんだけど。異世界に転生するにしても、もっと面白い人材が居ただろうよ」 体が全く動かないので、寝転がり空を見上げながら呟く。腹減ったなぁ。身体痛いなぁ。そして、痛みを紛らわす為に独り言を呟きまくる。 また屈強な男達に殴られたら堪らないから、小声でだけどね。 「こういう時の定番はっと」 前世で読んでいた転生物の記憶を掘り返す。書籍を買って読む程では無かったけど、無料投稿サイトで毎日の更新を楽しみにしてるぐらいには読んでいた。 「ステータス」 ☆★☆★☆★ 『名 前』 レイモンド 『年 齢』 12 『種 族』 ヒューマン 『レベル』 1/999  『体 力』 F/S 『魔 力』 G/S 『攻撃力』 G/A 『防御力』 F/A 『素早さ』 F/S 『知 力』 G/S 『器 用』 G/A 『恩 恵』 鑑定 複職 『職 業』 選択可  『属 性』 無 光 闇 ☆★☆★☆★ 「ふむ。見れたな」 ほえー。ファンタジー。まさか本当に出てくるとは思わなかったよ。少年の記憶にはステータスとか無かったからダメ元で言ってみたんだけど。 「この少年の体の名前はレイモンド君か。中々かっこいい名前を頂いちゃって」 中々不遇な少年時代を過ごしてるけど。 日本でぬくぬくと育ってきた俺には考えられないぐらいハードモード。ボコボコにやられて道端で転がされるなんてありえない事だからな。 貴重な体験をさせて頂いております。 「このレイモンド君は強いのでは? ステータスを信じるのならばだけど」 レベルは最低だけど、能力値はSばっかりだし? 職業やら恩恵やら良く分からない事もあるからちょっと調べていこうか。 どうせ動けないしね。 「ふむふむ? 鑑定さんは便利ですな。やっぱり異世界で一番のチートは鑑定さんだよ」 ステータスを更に鑑定してみて、より詳細が分
last updateLast Updated : 2025-12-03
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第3話 職業

  とにかく身体を回復させて移動したいので、魔法使いを選択した。すると、ステータスの職業欄が魔法使いになった。 あ、魔力と知力がGからFになった。就いた職によって能力値も変わるのか。なんかゲームみたいだな。 「痛い…。けど、記憶が逆流してきた時程じゃない。これなら耐えられる」 魔法使いの情報が頭に叩き込まれる。 もう痛覚が麻痺してるんじゃないかね。 痛みに鈍感になってきた。これが良い事なのか悪い事なのか。現状は楽で助かってるけど。 「なるほど、魔力操作。体内にある魔力を操作して魔法を使わないといけないのか。じゃあ、まずそれの練習からかな」 とりあえず使い方は分かった。後はとりあえず動ける程度まで回復させて逃げるべし。 俺は寝転びながら、魔力操作の練習を始めた。 「魔力って一回認識すると分かりやすいな。体内に血液以外の何かが流れてる感じか。現代人からしたら違和感しかないけど、熟達したら気にならなくなるのかね」 練習を始めて1時間程が経過した。 とりあえずは魔力を自分の意思で動かせるようになったと思う。 「ヒール」 おお!? 魔力がごっそり無くなった感覚。あんまり気分が良いもんじゃないな。それに、燃費が悪すぎる。 「治ったか、これ? 微妙なラインだ」 なんか折れた骨が繋がったような繋がってないような。中途半端に治った感じ。身体の痛みも微妙にマシになったように思える。 後何回かヒールをかけたら、とりあえず動けるようにはなりそうだ。 魔力がなくなる気持ち悪い感覚を何回も体験しないといけないけど致し方なし。俺は気持ち悪さと戦いながらも、なんとか動けるようになるまで回復した。 「身体はマシになったけど腹がやばい。ぼーっとするぞ、これ」 少年の記憶から安全な場所を思い出し移動した後。次の問題は空腹だ。 ………やっぱり、残飯を漁らないといけないのか。 記憶の中では残飯漁りをしていた。だが、現代人に残飯を漁って傷んだ食べ物を食べるのはかなりの抵抗がある。 「となると…。奪うとかの選択肢になるんだけど」 残飯を食べるか泥棒をするか。どっちも現代の基準が抜けてない俺からすると、やばい事なんだけど…。 ってか、果たしてレベル1のひょろひょろの少年が泥棒やらを出来るのだろうか。現代でも盗みとかをした事はないから分かんないぞ。 「盗賊とか暗
last updateLast Updated : 2025-12-03
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第4話 予定

  空腹からの脱却。異世界に転生してから一番の天国と地獄を一日目で達成したかもしれん。 まさかご飯を食べて涙を流すとは。多分これは一生忘れらない経験になるだろう。 「でも一時凌ぎなんだよなぁ」 これからどうすれば良いんだよ。奪った食料だって保存出来て節約して食べるとはいえ長持ちはしない。早急になんとかしないといけないんだが。 「冒険者になれるのは後3年かかる。いや、年齢詐称してなる事も出来るのか」 親もいないガキがどうやって稼げと。絶対にシステム間違ってるだろ。この世界は子供に優しくありませんな。俺、子供好きなのに。 「ふーむ。これを15歳で通すのは無理か」 ガリガリヒョロヒョロちんちくりん。 自分の姿を客観的に見て、15歳と言い張るのは無理そう。 小学校6年生が中学3年生って言う感じだもんな。相当大きく成長してなきゃ厳しい。スラムのガキがそんな成長出来る訳ないね。 「その場凌ぎで食料を持ってそうな奴を殺していく? 出来れば悪人を。まだなんの罪もなさそうな人を殺す度胸はないしさ」 そういえば、吐いたり空腹だったりですっかり忘れてたけどレベルが1上がっていた。特に強くなった感じはしないけど、人を殺してもレベルが上がる事は確認出来たな。 「冒険者になって立身出世していくのが王道なんだろうし、俺もやってみたい気持ちはあるけど」 現状は厳しい。人を殺して食料を奪うって考えしか思い付かないあたり、既に思考が異世界になってる。現代じゃ絶対考えない事だったのに。 あ、後は光魔法を使ってヒールでお金を稼ぐって手段があるな。でも、なんかラノベでは教会とかと揉めたりしてるから、これはやめておいた方が賢明かね? 「ひたすらお店を回って頭を下げて下働きさせてもらうのもありか」 職業を変えれるんだし。そのお店に合った職に就けばそれなりに働けるだろう。 「果たしてスラムのガキを受け入れてくれる優しいお店はあるのかね? そんな仏みたいな人、そうはいないと思うなぁ」 それに働けたとしても奴隷みたいな環境で四六時中馬車馬の様に働かせられるのがオチだろう。 それならスラムと大して変わらん。いや、安全な寝床があるのは良いかもしれんが。  やっぱりコソコソと隠れて人殺しする方が強くてなるし良いのでは? ゆくゆくはスラムを支配して裏社会を仕切るみたいな。 「マフ
last updateLast Updated : 2025-12-03
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第5話 魔物との戦い

  「そりゃそうだよな」 夜になって外に出る為に、闇を纏う練習をしたり過ごしてるとあっという間に日が暮れた。 人通りも少なくなってきて、そろそろ行くかと門へ歩いて到着すると門は閉まっていた。 「うんうん。閉めるよね。何の為の門だよってなるし」 マジでどうすっか。 ……とりあえず隠れ家に戻ろう。 なんか夜になると危ない雰囲気の人が増えてきた気がするし、レイモンド君の記憶でも夜はほとんど出歩かないようにしてた。きっと危険って事なんだろう。 「よし。帰って今日は隠れ家で記憶を整理しながら寝よう」 思えば、今日は中々に波瀾万丈に過ごした。体は子供なんだし、休める時にしっかり休まないと肝心な時に動けない。 おお。なんかそう思うと一気に体が重くなってきたな。 俺は急いでスラムの隠れ家に向かい、すぐに睡眠を取るのであった。 「地下水道か」 翌日。俺は空腹で目が覚めた。 因みに俺の寝床は隠れ家なんて言ってるけど、実際は誰も使っていない空き家を勝手にそう呼んでるだけだ。少し表通りと近い故にスラムの人間が寄り付きにくく、表の人間も近付かない。 そんな所を、俺がありがたく拝借してる場所になる。 で、昨日寝る前に軽く記憶整理をしていると、この街には地下水道がある事がわかった。まぁ、少年の記憶は少な過ぎるし、限定的すぎるしで、整理するまでも無かったんだけど。街規模なら地下水道ぐらいあるわな。 それで、どうやら地下水道には、ネズミ型の魔物やらスライムが居るみたいなんだよね。 俺は干し肉に齧り付きながら考える。 地下水道はスラムからでも入れるし、ネズミやスライムが強いとも思えない。これは魔物戦をするには持ってこいじゃなかろうか。 「そうと決まれば早速行こう。その後どうするかは強くなってから考えます」 この街の人の能力値やレベルを見た感じ、そんなに強くなさそうなんだよね。少し魔物を倒して、レベルと能力値を上げる事が出来れば、裏の世界ぐらいすぐに牛耳れるのではと思ってる。 俺はそんな楽観的思考になりながらも、ルンルンで地下水道に向かった。 「くっさ! えっぐ!」 舐めてた。匂いが半端ない。既に引き返したい気分だ。薄暗くて視界も悪いしさ。 「光魔法で浄化とか使うべき? いやいや、ただでさえ少ない魔力量なんだ。ここは我慢。ここから出る時に使おう」 ま
last updateLast Updated : 2025-12-03
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第6話 しばらくして

  「やべぇ。スラムの匂いが心地良く感じる」  スラムも結構きつい匂いしてるんだけどな。 とりあえず、地下水道から脱出して、すぐに光魔法で浄化を使った。使えるか不安だったけど、問題なく俺の思った効果通りに使えた。 魔力はこれでほとんど空になったけどね。 「とりあえず隠れ家に戻ろうか。ポケットがジャラジャラだ」 俺が着てる服は貫頭衣みたいだけど、下半身にはポケットが二つついている。 そういえば、この世界の季節はどうなってんだろうな。今は過ごしやすい感じだけど、もし寒くなるなら冬支度とかも考えないといけない。 「ふむう。昼を少し回ったところかね」 時計なんて上等な物があるわけもなく、太陽の位置を見て判断。 さて、これからどうするか。 「これからの一日のルーティンとしては、朝に地下水道でレベル上げ。午後は魔法の練習やら職業の確認。後は情報収集って感じかな」 とりあえず食料は一日一食で耐えれば、1週間は持つと思う。携帯食料が腐らなければだけど。 その後はどうしようか。コソコソ盗むか、また誰かを殺さないといけないのか。 出来れば殺すのは最終手段にしたいところ。スラムでは人の生き死にが珍しくないから、そこらに死体が転がったりしてても、不思議には思われないけどさ。大人が何人も殺されていれば、流石に警戒もされるかもしれない。 まあ、それは盗みをしても一緒だけどさ。 俺の心情的にも、まだ盗む方が罪悪感は少ない。まぁ、自己満足ってやつだね。死にそうならなりふり構ってられないけど。 もしかしたら、いつかネズミを食う事になるかもな。 「いよし! やっとレベルが上がったぞ!」 初の魔物狩りから三ヶ月が経過した。狩りもスムーズに行えるようになり、今では隠れ家に魔石が溢れ返っている。まぁ、小さな石ころが散らばってる感じだけど。 ☆★☆★☆★ 『名 前』 レイモンド 『年 齢』 12 『種 族』 ヒューマン 『レベル』 5  『体 力』 F/S 『魔 力』 E/S 『攻撃力』 G/A 『防御力』 F/A 『素早さ』 E/S 『知 力』 F/S 『器 用』 F/A 『恩 恵』 鑑定 複職 『職 業』 盗人 『属 性』 無 光 闇 ☆★☆★☆★ やばくない? 三ヶ月毎日午前中に休む事無く戦ってやっとレベル5なんだぜ。弱すぎて全
last updateLast Updated : 2025-12-04
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第7話 エルフ

  「俺の下水道マスターの称号も近いな」 今日も今日とて朝から下水道探索。 毎日通ってるから、構造も結構理解してきた。 一応、角に短剣で壁を削りA-1とか印はつけている。 「スライムとネズミじゃレベルが上がらんな。倒しても倒しても減らないのはありがたいけど」 能力値も相変わらず変化無し。 まっ、毎日おんなじ事をして成長するかって言われたらしないよね。いや、レベルはそのうち上がるだろうし、能力値も上がるんだろうけど。 もっとハードな経験も必要なんじゃなかろうかと最近思ってます。 ゲームじゃ、序盤にひたすら狩りをしてレベル上げして後半楽をするみたいなのがよくあるけど。 ここは現実ですし。お寿司。 「あ、寿司食いてぇ。今のままじゃ夢のまた夢だろうけど」 米があるのか酢があるのか。それすらも知らないし。てか、まず文字が読めん。 言葉はレイモンド君の記憶のお陰で、なんとかなってるっぽいけど。 文字は少ししか分からない。誰か教えてくれる人を探さないと。 「ビーム」 指先から光魔法で光線みたいなのを出す。 最近はこれにハマっている。なんたって、魔法スピードが速い。ネズミを確実に仕留められる。魔力量は規模に比べたらそれなりだけど、ネズミ相手にはこれが一番だ。 スライムには極小のダークボールで仕留めてるけど。魔力節約。大事だと思います。 「ん? 血?」 最近ようやく慣れたネズミの解体をしていると、少し離れた所に血痕があった。 薄暗くて見にくいけど、どうやら這って動いたように痕が続いている。 「長い事地下水道探索してるけど、こんな事は初めてだな」 ネズミとかじゃなくて、明らかに人っぽい痕跡。 ここは匂いが酷すぎるのか、スラムの奴らですら近寄らない。って事はですよ。 「厄介事ですかねぇ」 こういうのは関わらないが正解。現に、今でも子供達には関わらないようにしてるんだ。 大人には偶に会うけど。お互い不干渉。こっちも今は関わりたくないから助かっている。 でも俺は何故か自然に足を動かしていた。 後から思えばこの選択は大正解だと思うが、現状は悪手でしかない。 「好奇心か? やめろよな。そんなの今は求めてないんだってのに」 ヒソヒソと独り言を呟きながらも歩みは止めない。そして終着点で待っていたのは、横たわっていて今にも死にそうな大人の
last updateLast Updated : 2025-12-05
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第8話 精霊

  「おはようございます」 「うっ」 二度目の睡眠から目が覚めてもやっぱり、例のエルフは存在した。 夢であってくれなかったらしい。 「ご安心を。命の恩人に手を出す事はしません」 「そ、そうですか。……ん?」 なんかおかしいな。うん。おかしいよ。 まず、なんでここにいるのか。そして、なんで俺が助けた事がバレてるのか。 「では、最初からご説明させて頂きます」 エルフの人、カタリーナさんは俺が戸惑ってるのが見て取れたんだろう。ぼろ家の地べたに座ってたけど、居住いをすっと正して丁寧な言葉で説明してくれる。 今は亡きマザー?  エルフが傲慢で他種族を見下してるってのは、本当なのかい? こんなクソガキに滅茶苦茶下手に出てくるけど。 俺が命の恩人だからってのもあるんだろうか。 「まず自己紹介から。私の名前はカタリーナ。見ての通りエルフです。歳は101歳。100年経ってからエルフの国を追い出されました」 「追い出された?」 鑑定で見た通りだな。あ、いや、それよりも。 「あ、俺の名前はレイモンドです」 こっちも名前ぐらい言っとかないと。礼儀としてね。エルフがいつ癇癪起こすか分からんし。俺は未だに丁寧エルフを信用してませんよ。 まぁ、逃げ場はないし、逃げれるとも思わないけどさ。 「追い出された理由はまた後で。まずは、レイモンド様。助けて頂きありがとうございました。正直死ぬだろうなと思っていましたが、まさか生き延びれるとは思っていませんでしたよ」 「いや、光魔法使っただけだし」 その後は放置だからね。なんか微妙に居た堪れない気持ちになる。 「それで私が何故ここにいるか、何故レイモンド様の居場所が分かったかですが」 それね。気になってたよ。匂いとかだろうか?  一応地下水道から出たら毎回浄化はしてるんだけど。その前にカタリーナさんは気を失ってたはずだよね? 俺が分かるはずないと思うんだけどな。 「実は私は生まれた時から精霊が見えるんです。この世界の至る所に精霊はいますが、本当に見える人は今まで私以外には知りません」 む? それは言っていい秘密なのかね? なんか爆弾発言されてるような?  厄介事の気配をひしひしと感じるぞ? 「エルフ? って精霊が見えるのが当たり前なんじゃないの? イメージ的にだけど」 「精霊信仰しているのでそん
last updateLast Updated : 2025-12-06
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第9話 確保

「ラノベかよ」 「? らのべ?」 カタリーナにあそこで倒れてた訳を聞いたんだけど、その内容はラノベでよくある展開そっくりだった。まぁ、想像してた厄介事よりはマシな雰囲気で良かったな。 「そいつらは今どうしてるの?」 「分かりません。こちらも必死だったので、もしかしたら勢いあまって殺してしまった可能性もあります」 カタリーナはエルフの国を追放されてからとにかく遠くへ行こうと、約一年かけてスパンダ帝国にやってきたらしい。 因みにここはスパンダ帝国のペテス辺境伯領らしい。初めて知りましたね、はい。辺境伯って結構上の爵位じゃなかったっけ? しみったれた街だと思ってたけど、もしかして結構広いのかね? で、この辺境伯領は魔物が多いという事で、皇帝から辺境伯に防衛を任されてる街らしく、魔物が豊富に存在して、冒険者の仕事が多いらしい。 その割には全然見かけないなと思ったけど、俺はほとんどスラムから出てませんでしたね。 「って、あの時夜に外に出なくて良かったな。死ぬ所だったかもしれん」 「外に出ようとされてたんですか? 出なくて正解ですよ。ましてや夜なんて。ここは魔力溜まりが多いので魔物の質は高く、量も多いみたいです」 ふぇー。門が閉まってて助かったー。なんならここ最近は少し遠回りして外壁に穴がないか探してたからね。スライムとネズミばかりの生活に飽きてきてたからさ。空いてなくて良かったぜ。 カタリーナはこの辺境伯領にやって来てから、すぐに冒険者になってソロで活動してたらしい。 エルフで美人という事で一悶着あったそうだけど、この領には他にも少数だけどエルフがいる。 わざわざ国を出る変わり者エルフは、カタリーナに興味を向けるでもなく、挨拶程度の関わりしかない模様。追放されたとか言わなきゃ分からんだろうしね。 しかし、思った以上に魔物が強くてソロでの活動に限界を感じていた頃に、一組のパーティーからお誘いを受ける。 カタリーナは丁度良かったので、このパーティーに臨時加入。昨日が初日だったらしい。 「で、冒険から帰ってきた夕食の席でクスリを盛られてあわや奴隷行きの危機だったと」 「危ないところでした」 カタリーナは強力な睡眠薬を、自分の足に短剣を刺す事で対抗して、食堂で戦闘になったらしい。修羅かよ。 意識が朦朧とし
last updateLast Updated : 2025-12-07
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