「ボス。今月の売り上げです」 「あいあい」 豪華に装飾された部屋の一室。ここは各地にある俺の屋敷の一つの執務室だ。 「んあー? この部門の売り上げ落ちてんじゃん。担当だれ?」 「エリザベスです」 あいつか、あんにゃろう。実験狂いでも良いけどノルマぐらいは達成しやがれ。どうせまた実験のしすぎで、仕事を後回しにしてたんだろう。 優秀なんだけどな。自分の世界に入り込みすぎるのが玉に瑕だ。 「あいつに後で手紙飛ばしといて。これ以上仕事が遅れるなら研究費出してやんないぞって」 「かしこまりました」 うんうん。最古参の秘書だけあって、カタリーナは優秀だな。エルフという事もあって緑色の綺麗な髪をした美人さんだし。特に切れ長のキリッとした目がビューティフル。 他の部下達もこれぐらい優秀ならやりやすいのに。いや、みんな優秀なんだけどさ。どいつもこいつも癖がありすぎて苦労するんだ。 馬鹿と天才は紙一重とはまさにこの事だね。 「それと情報部からの定時連絡が届いてます」 「なんか直近で急ぎの報告あったっけ?」 「フレリア王国とスパンダ帝国の戦争が終結したとの事。うちの傭兵部門から出した人材に被害は無し。しっかり戦功を上げて、半年以内に帰還するそうです」 「おぉー。良きかな良きかな。どうでも良すぎてすっかり忘れてたぜ。スパンダ帝国は負けたよね? あれだけお膳立てしたんだし」 「皇族や主だった貴族は全て捕虜にしたみたいですね」 エクセレント! 文句なし! 馬鹿な民衆共に革命を煽った甲斐があったってもんだぜ。 ちょっと昔に帝国には個人的な恨みがあったからな。これで少しは鬱憤が晴れたぜ。 「早速うちの商会と裏の勢力を広げろ。ゴタゴタしてるうちに、俺達が中心の経済圏を確立しないとな」 「既に手配済みです。ホルトとマーヴィンが直々に現地に赴き差配しています」 はい。優秀。もう俺が居なくて良いんじゃないですかね。元からお飾りみたいなもんだけど。俺はその人に合った職を紹介して、良い感じにしといてねってお願いしてるだけだしさ。 「ふぁー、ねむっ。今日の予定ってなんかあったっけ?」 「ボスの本日のご予定は、特にありません。パラエルナ王国の第一王子からパーティーのお誘いはありましたが、お断りさせて頂いております」 あの馬鹿王子か。ほぼ毎日のように何かしらに
最終更新日 : 2025-12-03 続きを読む