友人・伏見健一(ふしみ けんいち)の結婚式で採用されたのは、かつて私が自分のために練り上げたウェディングプランだった。あの頃、私は半年もの時間をかけて式のすべての流れを計画したのに、神前元紀(こうさき もとき)はそれをわずか一分で却下した。形式だけの適当な式の後、元紀は私にこう約束した。「外でどんなに女遊びしても、俺の本当の妻はいつまでもお前だ」そして今日、彼はこの結婚式に若い愛人を連れて現れた。私が会場に足を踏み入れた瞬間、四方八方から刺すような視線を浴びせられた。面白がるような目、品定めするような目、そして……同情の目。元紀だけが相変わらず涼しい顔で言った。「来たか」彼の腕に馴れ馴れしく絡みつく少女、日笠梨々花(ひかさ りりか)を一瞥し、私は静かに頷き返した。結婚して七年、元紀の浮気は今に始まったことではない。そんなことは、とうに慣れっこだ。健一も気まずそうだ。明らかに、この事態は想定外であろう。「清子さん、よく来てくれたんだ。さあ座って、遠慮しないで」私は控えめな笑みを浮かべ、その場を取り繕ってくれた彼に心の中で感謝した。本来私が座るはずだった席は、既に埋まっている。あろうことか、私の席を奪ったその招かれざる客を、元紀が守っている。彼は私をちらりと見ただけで、悪びれる様子もなく言い放った。「席が埋まってるから、別のところに座れ」長年にわたり全てを飲み込み、耐え忍んできた私は、従順であることが骨の髄まで染み付いてしまっていた。「……わかったわ」席に着いた瞬間、周囲の視線がいっそう遠慮のないものに変わったのを感じた。健一は申し訳なさそうにしているが、中座する際にも家族に私への気遣いを頼んでくれた。夫である元紀よりも、友人の彼の方がよほど私の気持ちを案じてくれている。結婚式は予定通りに始まった。新婦は私がデザインしたウェディングドレスを身に纏い、私がコーディネートしたバージンロードを歩んでいく。私が手に入れられなかった幸せのもとへと、嫁いでいくのだ。何もかもが、かつて私が夢見た通りだ。ただ一つ、その夢を叶えたのが私ではないという事実を除けば。元紀の腕に寄り添う梨々花は若く、その表情は天真爛漫そのものだ。「元紀さんから聞いたけど、清子さんって花道が得意よね?
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