新しく入ったインターンが、初日からやらかした。なんと、会社のブレーカーを落としたのだ。全員が残業して作っていたデータは、一瞬にして消え失せた。怒り心頭で問い詰めると、張本人の安西玲奈(あんざい れな)はさも被害者のような顔をして言った。「だって、皆さんが遅くまで残業してて可哀想ですから……早く帰らせてあげようと思っただけなのに。なんでそんなに怒るんですか?」幸い、私の上司であり恋人でもある江川健太(えがわ けんた)のパソコンには、全員分のバックアップが保存されているはずだ。私はすぐに彼の元へ向かったが、健太はただ首を横に振った。「このプロジェクトの責任者はお前だろ?俺に頼るなよ。それに、玲奈もみんなのことを思ってやったんだ。悪気はないんだし、許してやれよ」その言葉に、私はブチ切れた。このプロジェクトが会社にとってどれほど重要か、彼は知っているはずだ。それなのに玲奈は、鼻で笑い、小馬鹿にしたように言い放った。「たかが社畜の分際で、経営者気取り?会社の犬になって、そんなに気持ちいいわけ?」あまりの言い草に、怒りを通り越して笑いが出てきた。私はスマホを取り出し、社長にメッセージを送った。【お父さん、プロジェクトがダメになりそう。今回は健太のことも庇わないから】送信ボタンを押した瞬間、スマホが床に叩きつけられた。健太が玲奈の前に立ちはだかり、眉間に深い皺を寄せて私を睨みつけている。「高橋悦子(たかはし えつこ)!お前、やりすぎだろ!玲奈は今日が初出勤なんだぞ、ミスくらい誰にだってあるだろ。それにわざとじゃないって言ってるじゃないか。こんな些細なことで社長にチクるなんて、器が小さすぎるぞ!」彼女はさっき、自分の口ではっきり認めたのに。健太の背後に隠れた玲奈からは、さっきまでのしおらしい態度が嘘のように消え失せていた。彼女は顎を突き出し、強気な口調で反論した。「私はただ、皆さんが働きすぎだから休ませてあげようと思っただけです!何か間違ってますか?今の職場って、あなたみたいな意識高い系のせいでブラック化してるんですよ。私はこの悪い風潮を変えようとしてるんです!」私は怒りで吹き出しそうになりながら、周囲で押し黙っている同僚たちを指差して声を荒らげた。「悪い風潮
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