All Chapters of 七年の空白と、六歳の息子: Chapter 11

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第11話

力の入れ方は、骨が砕けそうなほどだった。声は震え、もはや言葉の形を保っていない。「母さん……!なぜ、お前だったんだ?お前が、俺と千尋を引き裂いたんだ!お前が、金で……俺と子どもの父子の縁を断ち切ったんだ!」蓮の言葉は、一つ一つ、歯の間から絞り出すようだった。蓮の母は揺さぶられ、ほとんど立っていられなくなる。顔色は一気に青ざめ、目を泳がせ、息子の苦痛に満ちた視線と向き合えない。空気が凍りつき、響いているのは、蓮の荒い息遣いと、声にならない轟音のような糾弾だけだった。彼女は、ひたすら謝り続けた。あまりにも見るに堪えず、私は颯真に目配せし、先に立ち去ろうとする。だが、私が背を向けたのを見た途端、蓮はなりふり構わず飛びついてきた。私の足にすがりつき、ほとんど崩れ落ちるように、許しを請う。初めてだった。あれほど高慢だった男が、自ら誇り高い頭を下げたのは。跪き、私に振り向いてほしいと懇願し、私に許してほしいと繰り返し、私と颯真が離婚してほしいと泣き叫び、息子を実の子のように扱うと約束した。だが、その必死な姿を前にしても、私はただ、ゆっくりと一歩下がった。そして、蓮に告げる。「蓮、私たちの関係は、もう七年前に終わったの。誰も、ずっと誰かを待ち続けることなんてできない。私には、もう新しい生活がある。だから私と、私の家族を邪魔しないで」そう言って、背を向け、歩き出した。背後から、男の抑えきれない嗚咽が聞こえてくる。私は立ち止まらず、息子の手を、しっかりと握りしめた。私は、私の人生を生きる。……帰宅後、今日起きた出来事は、すべて意識の外へ追いやった。それから三か月後。経済ニュースで、桐谷グループが破産清算に入ったという報を目にする。同時に、桐谷家の跡取り・桐谷蓮が、メディアのカメラの前で錯乱し、スーツを脱ぎ捨て、シャツを引き裂き、よろめきながら外へ走り出し、私の名前を呟き続けている映像が流れていた。蓮が、これから何をしようとしているのか。私は、もう関心がなかった。ところが、ある日、蓮の母が突然、私を訪ねてきた。私の前に跪き、涙ながらに懇願する。蓮を説得してほしい。考え直させ、家業を立て直してほしい、と。そのとき私は、夫である颯真の肩にのんびりと寄りかかり、旅行雑誌をめくっていた。
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