いますぐにでも梨花を見つけ出して、離婚協議書のことを問い詰めたかった。こっちは離婚に同意した覚えはないのに、あいつはサインを偽造するなんて。翼はエレベーターに向かいながら、梨花に電話をかけた。しかし、聞こえてきたのは冷たい機械音だけだった。「おかけになった電話番号は、現在使われておりません」翼の体がこわばる。まさか梨花に着信拒否されたのか?心臓を鋭い刃物で貫かれたような、激しい痛みが走った。エレベーターのドアが開き、翼はゆっくりと我に返った。車で家に戻り、隅々まで梨花の姿を探した。いつもなら玄関で出迎えてくれるはずの彼女の姿が、今夜はどこにもなかった。翼は眉をひそめた。落ち着かず、どこへ梨花を探しに行けばいいのか、まったく分からなかった。梨花は15歳の時に彼に引き取られてから、ずっとそばにいた。実家の鈴木家とは、ほとんど連絡を取っていないはずだ。そういえば……あいつには、友達もほとんどいなかったはずだ。何かを思いついたのか、翼は電話を取り出した。そして、梨花の親友で、弁護士をしている女性に連絡をとった。けれど、返ってきたのはさっきと同じ機械音だった。あの女にまで、着信拒否されている。梨花が本気で自分から去ろうとしている。翼は、その事実を初めてはっきりと突きつけられた。激しい動揺に襲われ、体がふらつく。そのとき、首の傷がずきんと痛み、手で触れると、ぬるりとした感触がした。いつの間にか傷口が開いてしまったらしく、血がどくどくと流れ出ていた。一瞬ためらったが、車を走らせて病院に向かった。ひどく出血していたうえに、気持ちが高ぶっていたせいだろう。病院に着いたとたん、翼は意識を失ってしまった。次に目を覚ますと、もう翌日のお昼だった。ベッドのそばでは、亮太が心配そうな顔で付き添っていた。翼が目を覚ましたのを見て、亮太はぱっと顔を輝かせた。「社長、ようやくお気づきになりましたか」「会社は、どうなってる?」翼の声は低くかすれていて、弱々しかった。「会社は大丈夫です。株価は下がるどころか、むしろかなり上がりました」亮太は視線をさまよわせ、翼の表情をうかがった。翼の青白い顔は、落ち着いたままだった。株価が上がったと聞いても、嬉しそうな様子はない。「続けろ」「奥さんが……」亮太は言いかけて
Baca selengkapnya