親友が大富豪になって自分を養ってくれる。そんな夢を毎日見ていた。ところが、彼女が株で本当に4000万円もの大金を稼ぎ出した。欲望の渦巻く歓楽街。その中心にあるクラブで、彼女は湯水のように金を使い、極上のホストたちを横一列にはべらせてみせた。カーテンが開くと、入ってきた男たちは誰もが息を呑むような美男子ばかり。柳原瑞希(やなぎわら みずき)は興奮して私の腰をつついた。「どう、最高にイケてるでしょう?」望月拓海(もちづき たくみ)の平然とした視線が私に止まった。その冷たさに、私は体が震える。最高に決まっている。だって、彼は私、浅井琴音(あさい ことね)の彼氏なのだから。……彼氏である拓海とほとんど連絡が取れなくなって一年。私は彼が「絶対に入るな」と言っていたクラブに足を踏み入れた。瑞希は水を得た魚のように生き生きとしている。彼女は私の手を引いてボックス席に押し込み、慣れた手つきでお酒を注文した。「待ってて」瑞希は私の耳元に顔を寄せ、声を潜めながらも、隠しきれない興奮を滲ませた。「サプライズはもうすぐよ」彼女の囁きに、胸の奥がざわつき、心臓がドクンと大きく跳ねた。その時、安っぽいスパンコールが散りばめられたカーテンが動いた。カーテンの隙間から、まず片手が差し出された。すらりと伸びた指、節の張った男らしい骨格。突き出た手首の骨のそばには、三日月のような形をした古傷が刻まれていた。キーン。頭の中が真っ白になる。あの傷跡は私が噛みついた痕だ。付き合い始めたばかりの頃、拓海と喧嘩をした。カッとなった私は、彼の手を掴んで思い切り噛みついた。彼はうめき声を漏らしたが、手を引こうとはせず、そのまま私に噛ませていた。口の中に血の味が広がるまで。口を離すと、血の滲んだ歯型の跡を見て、私は怖くなって大泣きした。拓海はもう片方の手で私の涙を指先で掬い取ると、掠れた声で囁いた。「印をつけたんだ。僕が君のものだって、一生忘れられないようにね」後に傷は癒えたが、この薄い痕が残った。それは焼き印のようでもあり、小さな三日月のようでもあった。カーテンが完全に開けられた。拓海は他のホストたちと一緒に部屋に入ってきた。彼の視線が静かにこちらに向けられ、私の顔で止まる。底知れぬ静
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