これから午後九時半までの間に多目的ホールをもとの状態に戻すバラシが行われる。だいたい仕込みと逆の順番で行われるが、見栄えやお客さんの安全を考える必要がないので仕込みより少し楽だった。客席がなくなり、音響卓がなくなり、舞台装置を運び出していくとどんどん多目的ホールが非日常から日常へと戻っていく。その様子はなんだか寂しかった。けれど満足感や達成感を感じてもいて、次はいつ始まるんだろう、という期待が芽生えた。 最後に照明を天井から下ろすと、いつもの多目的ホールに戻った。時刻は午後九時を少し回ったくらいだ。それから部員全員で打ち上げへ行くことになった。近くにあるチェーン店の居酒屋だ。 二十数名の打ち上げなので、事前に予約していたらしい。掘りごたつのついた長テーブルが二つ並んだ席に案内された。各テーブルに十人くらい座れるようになっている。 「はい、それではみなさん、お疲れ様でした!アンケートはまあ、これから読むとして。お客さんの反応も良かったですし、全公演ほぼ満席になったということで、成功と言っていいと思います。乾杯!」 『かんぱ〜い!!』 舞監の山口さんが音頭を取り、打ち上げが始まった。僕もビールを注がれたジョッキを持って乾杯する。このころの成人年齢はまだ二十歳で、僕は十八歳だった。いままで正月とかにお神酒とかを飲んだことはあったけど、お酒を飲もうと思って飲むのは初めてだ。当然、飲酒は認められていない。一杯くらいなら飲んでもいいかな、と思ってしまった。強要されたわけではない。なんとなくそんな気分になっただけだ。 初めて飲んだビールは苦かった。炭酸もとくに好きというわけではない。好んで飲もうと思うようなものではないな、というのが感想だった。生まれたときから肝臓が悪かったので、たぶん僕はお酒に弱いのだろう。でも酔っ払った感覚がするかというと、よくわからない。一杯ではそんなに影響がないのかもしれない。でも今日はこれ以上飲むのはやめておこうと思う。 僕は話をするのが得意ではないので、酔っ払って大きな声で話している部員の話を聞きながら笑っているうちに、居酒屋の予約時間は過ぎた。飲み会では一食に三千円もかかるのか。ふだんは学食や生協で一食四百円くらいですませている。高校を卒
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