大学を卒業してすぐ、私は遠藤浩介(えんどう こうすけ)と結婚し、「完璧な妻」という役割に、心地よく馴染んでいた。彼は外で働き、私は家を守る。それが私たちの役割分担だった。しかし、親友の岡山理沙(おかやま りさ)が浩介と共同で会社を立ち上げてから、状況は一変した。二人は残業や出張を共にし、あらゆる種類のパーティーに一緒に出席するようになった。私は浩介の瞳の中に、理沙に対する隠しきれない賞賛の光を見るようになったのだ。ある夜、打上げの喧騒の中、理沙が何気なく尋ねる声が聞こえた。「今日の打上げ、どうして真由美(まゆみ)ちゃんを連れてこなかったの?」浩介は反射的に眉をひそめ、その声には隠しきれない不快感が滲んでいた。「真由美は何も知らないただの専業主婦だ。連れてきても、正直場違いで面倒なんだよ」その隣から、私の弟、島村健司(しまむら けんじ)の声が聞こえてきた。健司も浩介の意見に同調した。「そうだよ、姉さんはただ運が良かっただけだよ。義兄さんと結婚できたから今の生活があるんだ。姉さんは何もできない、ただの専業主婦だ。理沙さんみたいに、着こなしも上手で、仕事の能力も桁違いなのとは比べ物にならないよ」浩介が飲みすぎて胃を悪くしないようにと、私はわざわざ酔い覚ましのスープを届けに行った。その結果、私は夫と、そして実の弟の心の奥底にある本音を聞いてしまった。宴会場から逃げるように飛び出すと、胸がひどく痛み、道端にしゃがみ込んでしばらく泣き続けた。それからやっと携帯を取り出し、母に電話をかけた。電話が繋がるやいなや、私は泣きながら尋ねた。「お母さん、私って、本当に役立たずで、何もできない人間なの?」母はすぐに否定した。「誰がそんなことを言ったの?うちの娘は素晴らしいわ。役立たずなわけがないでしょう!」私はむせび泣きながら尋ねた。「そうなの?具体的には、どんなところ?」「真由美は顔も心も美しくて、気立ても最高じゃない」少し慰められたと思ったのもつかの間、母の次の言葉が私を再びどん底に突き落とした。「真由美が家を完璧に守ってくれたからこそ、浩介さんは今日の成功を収められたのよ。料理も上手で、働き者で、家事もテキパキこなして、子供の面倒もよく見てる。これって、他のどんな女性よりもずっと優れているのよ!」
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