安置所を出て、律はアパートに戻った。ドアを開けると、カビの臭いと冷気が顔を打つ。部屋の中は真っ暗で、街灯の頼りない光だけが差し込んでいた。律が電気をつけると、古びた電球がチカチカと点滅してからようやく点灯した。目に飛び込んできたのは、荒れ果てた部屋の惨状だった。床には彼が一昨日癇癪を起こして割った茶碗の破片が散らばり、テーブルの上には食べ残したカップラーメンの汁が、厚く白い油の膜を張っていた。部屋の隅にはいくつかの大きなゴミ袋が積まれ、中には空のペットボトルや古新聞が詰め込まれていた。彼が私に無理やり拾わせたものだ。律は狭い寝室へと入った。ベッドの上の布団はぐしゃぐしゃで、枕カバーは洗濯を重ねて黄ばんでいた。彼はベッドにどさりと座り込んだ。ベッドの板が悲鳴のような音を立てる。彼は以前、このベッドを一番嫌っていた。石のように硬くて腰が痛くなると文句を言っていた。だから寝る時はいつも、私を肉布団代わりにしたり、一晩中マッサージをさせたりしていた。今、彼は枕を抱きしめて体を丸めた。「柚……柚、どこにいるんだ?出てきて俺を罵ってくれよ、頼むから」私は彼の頭上に浮かんでいた。律は突然何かを思い出したように、部屋中をひっくり返す勢いで探し始めた。ボロボロの靴箱の中から、一冊の小さなノートを見つけた。私の家計簿だ。律は震える手で最初のページを開いた。そこには、びっしりと細かい支出が記録されていた。【1月1日。律の風邪薬1,400円、豚バラ肉700円。私の食事(パンと漬物)300円。今日は不用品を売って400円稼いだ。原付まであと15,000円。】【2月14日。バレンタインデー。律がチョコレートを食べたいと言った。高すぎて買えないから、スーパーの試食コーナーに三回並んで、二つ持ち帰った。彼は不味いと言って吐き出した。ごめんなさい、私が無能なせいで。】【6月20日。律が胸が痛いと言う。輸入薬が必要。母の形見のブレスレットを質に入れて、50万円になった。これで病気が治りますように。彼が元気なら、私は何でもする。】【12月30日。寒すぎる。手があかぎれだらけ。律が手がざらつくと言って触らせてくれない。ドラッグストアで一番安いワセリンを買った。少しは良くなるかな。明日は配達でもっと稼がなきゃ。お
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