十四歳のあの日、幼馴染で唯一のダンスパートナーだった鈴木星哉(すずき せいや)と私・高橋香乃(たかはし かの)は、共に拉致された。私は命を懸けて彼を逃がし、助けを呼ばせた。その代償に、犯人から半殺しの目に遭った。彼が両親と警察を連れて戻ってきた時、私はもう二度と立ち上がれず、ダンスを踊ることなど永遠にできない身体になっていた。彼は泣きながら誓った。一生私を大切にすると、私が世界で一番素敵な女性だと言った。それから私は、星哉の恋人となり、婚約者となった。私を少しでも貶める者には、星哉は必ずや容赦なく報復した。けれど、彼の「一生」がたった十年なんて、思いもよらなかった。二十四歳の今、彼が新しいパートナーとインターナショナルダンス選手権大会で優勝した動画が、タイムラインに流れてきた。彼はその子を高く抱き上げると、彼女は片手にトロフィーを抱え、もう片方の手で星哉の首を抱きしめ、その頰にはっきりと口紅の跡を付けていた。そして星哉は、まぶしいほど輝く笑顔で彼女を見つめ返し、その眼差しにはあからさまな愛が満ちていた。私の負けが決まった。ここで身を引く時が来たのだ。……「香乃、行きたいなら行きなさい。お父さんはいつでも味方だ」私はデザイン留学を決意すると、父が背中を押してくれた。父の目には、十年間変わらぬ慈しみと痛ましさが浮かんでいた。「鈴木の小僧だけが全てじゃない。なにかあっても、父さんと母さんが必ず香乃を守るから、安心しろ」私はうなずき、電動車椅子を操作して自室へ戻った。ドアが閉まる瞬間、それまで保っていた平静の仮面が剥がれ落ちた。スマホの画面はまだ明るく、あの刺さるような動画が再生されたままだった。自虐的に、私はそれを何度も繰り返し見続けていた。動画のコメント欄は、すでに熱狂的な祝福と無関心な残酷に埋め尽くされていた。【あああ星雨CP結婚しろ!尊すぎて死にそう!!】【これが真の王者コンビ!運命で結ばれた最高のパートナー!】【鈴木選手の菅原選手見る目…もう完全にラブラブやん】もちろん、私に言及する残酷な声も、当然のように混ざっていた。【鈴木選手に障がいある婚約者いたよね?まだ覚えてる人いる?】【↑その災厄タグはやめてくれよ。あの女さえいなけりゃ、星哉様は十年前に優勝してた】
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