All Chapters of 転生したら王族だった2: Chapter 1 - Chapter 10

17 Chapters

1話 書庫の再会と、無茶苦茶な解決策

「誰なんだろ? 俺にお客様……?」 首を傾げながら、俺は記憶の糸を辿る。俺に会いに来る物好きなんて、この城にいただろうか。しかも「ルナに会いに」と言っていたということは、俺の表の顔ではなく、何らかの深い事情を知る人物なのかもしれない。 リリスとルフィアも顔を見合わせ、不思議そうに俺の後に続く。静寂に包まれた書庫の重厚な扉の向こうで、一体誰が俺を待っているのか。ダンジョンへ向かう前に、どうやら一波乱ありそうな予感がした。♢書庫の再会と、幼馴染の小言 重厚な革表紙の本を捲りながら、書庫の静寂に身を浸していた。ダンジョンへ行く気満々だった体には少し酷な待ち時間だったが、不意に廊下からパタパタと軽やかな足音が近づき、扉が勢いよく開かれた。「レイくん! やっと見つけました……。何度来ても外出中って言われましたので、嫌われてしまったかと思いましたよ!」 聞き覚えのある、鈴を転がしたような透き通った声。そこには、頬をぷっくりと膨らませて、不満げな表情を隠そうともしないフィーが立っていた。お客様って……なんだ、フィーのことだったのか。「えへへっ。あのね~、最近、冒険に出てるんだぁ~」 再会の喜びを込めて笑顔で答えると、フィーの表情は一瞬で複雑なものに変わった。大きな瞳を不安げに揺らし、心配と寂しさが入り混じったような、今にも泣き出しそうな顔で俺を見つめる。「そ、そうなのですか……。それは、危ないのではないのですか? それよりも、王子であるレイくんが冒険をされていて……いいのですか?」 彼女は一歩踏み出し、縋るような視線を向けてきた。確かに、何度も何度も足を運んでくれた彼女からすれば、ようやく会えたと思ったら「命がけの遊び」に夢中になっていたと聞かされたのだ。その心境は察するに余りある。「だよねぇ……。でも、俺、どうしても自分の力で外の世界を見てみたかったんだ」 王子という立場を考えれば、不謹慎なのは百も承知だ。けれど、俺を心配してわざわざ会いに来てくれる彼女の優しさを感じながらも、俺は冒険で得たあの高揚感を忘れることはできなかった。 不満そうに眉を寄せながらも、視線を逸らさずに俺を見つめるフィー。後ろでは、リリスとルフィアが「この人は誰?」と言いたげに、少し警戒した様子で彼女を見つめている。どうやら、ここでもまた新しい「嵐」が起きそうな予感がした。♢予
last updateLast Updated : 2026-01-27
Read more

2話 桃色のひざ枕と、甘い人払いの理由

「う、うん……フィーは、一緒に来たいんだね~。野営ができて、両親の許可を得たら考えようか」 苦肉の策でそう答える。あれほど溺愛されて育てられた彼女だ。ご両親が「はいそうですか」と首を縦に振るはずがない……という確信に近い期待があった。万が一、放任主義で「行ってきなさい」なんて言われたら、それこそ恐ろしい事態になるけれど。 すると、フィーは何かを思い出したようにハッとして、背後に控えていたお付きのメイドと護衛たちを振り返った。「あ……そうですわ。あなた達はこちらで待機していてください」 凛とした声で指示を出すと、彼女は俺の方を向き直し、今度は林檎のように頬を赤く染めて視線を彷徨わせた。「お茶にしましょ?」 ……お茶に誘うだけで、どうしてそんなに恥ずかしそうにするんだろう。久しぶりに二人きりになって、積もる話でもしたいということだろうか。背後ではリリスとルフィアが「二人きり?」と耳をそばだてているのが気配でわかる。 窓から差し込む午後の光が、書庫の埃をキラキラと輝かせている。フィーの熱を帯びた視線に、俺は少しだけ落ち着かない気分になりながらも、差し出されたその穏やかな提案を拒むことはできなかった。♢秘めやかな談話室と、柔らかな沈黙 談話室へ移動すると、控えていたメイドたちが鮮やかな手並みで準備を始めた。空間魔法を用いて取り出された最高級の茶器に、湯気と共に立ち昇る芳醇な茶葉の香り。彩り豊かなお菓子が並べられ、あっという間に贅沢な茶席が整えられた。「下がっていいわ。大事なお話をしますので……」 フィーが凛とした声でメイドたちに指示を出す。扉が静かに閉められ、室内には俺と彼女の二人きりの静寂が訪れた。大事な話? 彼女の顔を見ると、その表情は硬く、今にも心臓の音が漏れ聞こえてきそうなほど緊張している。……なんだろう。改まってそんな顔をされると、こっちまで胃のあたりがソワソワしてくるじゃないか。 すると、フィーはおもむろに立ち上がり、対面ではなく俺のすぐ隣へと腰を下ろした。「ど、どうぞ……」 消え入りそうな声と共に、彼女は少しだけ顔を傾け、俺の方へと頬を寄せてきた。潤んだ瞳が上目遣いに俺を捉え、微かに震える唇が期待と不安を物語っている。その仕草の意味をようやく理解した瞬間、俺の緊張はふっと温かな苦笑いへと変わった。「ビックリしたぁ……。大事な話と
last updateLast Updated : 2026-01-27
Read more

3話 再びダンジョンへ

 転移をして、リリスとロディーにセラフィーナとルフィアと一緒にダンジョンへ来た。「さぁ〜て、冒険の始まりだよ♪」レイニーが、嬉しそうに言った。するとリリスとルフィアが嬉しそうに俺の腕を掴み進んでいく。「ちょっとぉ〜! 待ってくださーい。ボクが前衛ですよぉー!」慌てたロディーが先頭に出て、最後尾はセラフィーナが付いてきた。 1階は低級の魔物が現れてトラップも少なく容易に通過した。それに、自分でトラップや魔物の配置をしたんだから容易に進めて当然だよね。ロディーは頭がいいんだしさ♪ 2階へ下りると森林エリアでリリスとロディーにセラフィーナと出会った場所だ。 ここの階も問題なく魔物をロディーが倒し進んで行く……。あっという間に、初の3階へ下りてきた。そこは薄暗く水没したお城の地下室のようなエリアで足下には水が流れていた。廊下にはご丁寧に一定の間隔でランタンが薄暗い通路を照らしてくれていた。「わぁー!? なにここ?」と、ロディーを見つめて聞いた。「ここは、水のエリアですよ。大掛かりなトラップは無いですけど、急に深い場所があるので勝手に動き回らないでくださいね」さすが、元ここのダンジョンの管理者だね。 ロディーの後ろをつけて進み、振り返るとセラフィーナがズルをして中を浮いて移動をしていた。「ちょっとぉ〜それ、ズルいよぉ〜」セラフィーナを見て文句を言った。「ズルじゃないですよ。自分のスキルを使っているだけですよ♪ レイニーくんも、ご一緒しますか?」ニコっと笑った。そう言えば……他の仲間も飛べるんじゃないの? リリスも宙に浮いてたし。ルフィアは……うん、俺と飛べない仲間だ! 「うぅ〜ん……べつにいいもん。冒険だしっ」と思い先に進んだ。 途中で、スライムや魚型の魔物が現れたが、ロディーとリリスが難なく倒し4階へと下りた。そこは……炎のエリアで冷え切った体でも熱く感じるエリアだった。 マグマ溜りがあり、天井からマグマが流れ落ちている箇所もあった。「ここは、炎のエリアです。ここもトラップはありませんが……マグマに気をつけてくださいね」ロディーが説明をしてくれて、進むと……異変が。 ガルゥゥゥ……と威嚇をする声が聞こえてきた。ロディーが、急に顔色を悪くさせ慌てた様子で怯えていた。「あ、ダメです。ここ……忘れてました! リリス様に押し付けられたペットを放って
last updateLast Updated : 2026-01-27
Read more

4話 レイニーの武器が召喚された同時期に……

 レイニーが武器を召喚した頃に闇の王宮で事件が起きていた。  闇の王の王宮は、その名にふさわしく威厳と恐怖を感じさせる存在だった。この黒い石で築かれた巨大な建造物は、夜空に浮かぶ影のように見え、高くそびえる塔がいくつも立ち並んでいる。塔の頂には常に暗雲が立ち込め、闇の火が燃え盛り周囲を照らし出していた。宮殿の門には重厚な鉄の扉があり、その威圧的な姿は訪れる者に畏敬の念を抱かせる。 宮殿の内部に足を踏み入れると、黒と赤を基調とした豪華な装飾が目に飛び込んでくる。壁には黒曜石とルビーが嵌め込まれ、煌びやかな反射が美しい広がりを見せた。広いホールには豪華なシャンデリアが吊り下げられ、闇の火によって妖しく輝いている。大理石の床には複雑な模様が刻まれ、各部屋の入口には重厚なカーテンが掛けられていた。 王宮は豪華さだけでなく、厳重な警備が施されていた。闇の魔力によって強化された衛兵が宮殿の各所に立ち並び、無言で鋭い目を光らせていた。宮殿全体には強力な魔法の結界が張り巡らされ、侵入者を拒む仕組みとなっており、結界に触れる者はその場で強力な呪いを受ける危険がある。 さらに、王宮の内部には闇の王の魔法によって作られた監視の目が設置されており、不審な動きを感知すると即座に警報を発し衛兵を呼び寄せる。廊下や部屋の随所には隠された罠が仕掛けられており、毒矢や落とし穴、呪いの魔法など多岐にわたる罠が侵入者を待ち受けている。また、闇の王が飼っている巨大な護衛獣も存在し、王宮の特定の区域を守っている。これらの護衛獣は闇の魔力を帯びており、通常の武器では対抗できない。 このように、闇の王の王宮はその豪華さと同時に、非常に厳重な警備が施されている。その威厳と恐怖を感じさせる環境は、魔王さえも近づくことをためらう場所となっている。 だがある日突然、闇の王が忽然と姿を消した。侵入者がいればすぐに見つかり消し去られるし、王が外出する際には護衛が大勢付き、圧倒的な力の差を見せつける兵を引き連れるはずだった。しかし、その日を最後に、闇の王を目撃した者はいなかった。 魔界では、さまざまな噂が飛び交っていた。魔王が暗殺を企て成功したとか、闇の王が王の暮らしに飽きて放浪の旅に出たとか。 実際は、レイニーの詠唱に反応した闇の王の槍が突如黒炎に包まれ、手にしていた闇の王を取り込み吸収していた。 そ
last updateLast Updated : 2026-02-27
Read more

5話 ケルベロス

「わぁ……ケルベロスかぁ〜カッコいいじゃん。」ケルベロスを黒炎で攻撃しちゃうと消えちゃうかなぁ? 同じ闇属性同士だから効果がないかも? 倒さずに俺のペットになってくれたりしないかな。取り敢えず……俺のほうが強いって分からせれば良いはずだよね。犬の場合の対処法だけどさぁ…… 俺も負けずに威圧感を放ちケルベロスに近づくと、慌てたように立ち上がり後退りを始めた。さすが伝説級の魔獣で、相手の実力や威圧感を感じ取れるだけの能力はあるみたい。「れ、レイニー様、それ以上近寄ると……キケンですよっ!」慌てた様子のあーちゃんが叫んだ。あーちゃんは、ケルベロスを知っているっぽい?過去に悪さをして、攻撃されてたりして〜「ん?そうなの?」ケルベロスが後退りをしつつ戦闘態勢をとり体を低くして、攻撃と回避を出来る体勢で威嚇をしている。さすがだね〜「魔王城の宝物庫の番犬に配置されるくらい耐久と攻撃を兼ね備えている存在ですよ……勘弁して下さいよぉ」と言ってきた。それを知ってるって事は……過去に忍び込もうとしたんだ?「あーちゃんも、悪魔の最上位の悪魔じゃなかったの?ワンコくらいで怯えてて良いのかなぁ?」肩の上に乗っているあーちゃんを見つめて言った。「わざわざ戦わなくても良いじゃないですかぁ……。わたしは、悪魔であって戦士じゃないんですがぁ!」あーちゃんが文句を言ってきたが、その通りだなと思ったけど……ケルベロスをペットにしたいんだもんっ♪ 普通の威圧じゃ怯えるだけで、効果は薄いかぁ……。そう言えば俺って、闇の王の称号も手に入れてたんだっけ?全然、自覚もないし……なった覚えもないんだけど。 最近覚えた負のオーラを放ち、威圧を加えてみた。すると闇の王の威圧となり、炎のエリアで赤やオレンジ色に輝いていたエリアが薄暗くなり、黒い靄が辺りを覆い不気味な雰囲気になった。 ケルベロスは戦闘態勢から完全に戦意を失い、伏せの状態になっていた。いわゆる……服従の状態だ。「ケルちゃん、俺と従者契約しない?」笑顔でケルベロスに話しかけた。「ワフッ!」と鳴き、威嚇ではなく返事を返してきたっぽい。その鳴き声には敵意や殺意が消えていた。「……はい?えっと……ケルベロス?お前は……いや、仕方ないか、レイニー様だしなぁ……お前の気持ちもわかる!うん。仕方ないよなぁ……」あーちゃんがケルベロスに話しかけてい
last updateLast Updated : 2026-02-27
Read more

6話 獣人村の守護獣

 ダンジョンから獣人族の村へ転移してきた。村からは少し離れた場所なので、ケルちゃんを見て驚かせるのは回避できた。「着いたよ。ルフィアとセラフィーナで村長を読んできてくれるかな。俺は、ケルちゃんとここで待ってるよ」知らない人が見れば魔物だと思って大騒ぎになって攻撃されたら……この森から生き物が居なくなる気がする。 しばらく待っているとルフィアとセラフィーナが村長さんを連れてきた。   獣人族の村の村長にケルちゃんを紹介をすると青褪めて固まっていた。明らかにボス級の魔物で、ライオンの2倍の大きさはあり、睨まれたら絶望し動けなくなる。 村の護衛で盗賊や敵意のあるものを喰らい、守護してくれる存在で、村人には危害は加えないと説明をした。だが、からかって攻撃をすれば……話は違い敵だと判断され攻撃を受けるのは当たり前だと話した。 何もしなければ村の守護獣として働いてくれると理解してくれた。 その後は、村で買い物をして過ごしていると……はぐれてしまった。残ったのはリリスと二人っきりになってしまった。 森の中、レイニーとリリスは村の近くを歩いて転移をしてきた場所へ戻ってきた。「あのさぁ、二人で迷子になっちゃったね~」レイニーは首を傾げて可愛くリリスに話した。 リリスは腕を組みながら、少し怒ったような表情で答えた。「もう、レイニー様。どうしてこんなところで迷子になるのよ。」 しかし、すぐに顔を赤らめながら続けた。「でも、まぁ…二人っきりって悪くないわね。」「もう少し二人で散歩をしない?二人だと気まずいとかかな?」 レイニーは首を傾げて可愛く聞いた。「え、そ、そうね。別に気まずいわけじゃないわよ!」 リリスは少し顔を赤らめながら、照れくさそうに目をそらす。「散歩くらい、別に問題ないわ。二人で歩くのも……悪くないわね。」「じゃあ、行きましょっか。ちゃんとついてきてよね、レイニー様!」リリスは少しツンとした口調で、でも楽しそうに先に進んだ。「え、ちょっと待ってよぉ~。おいて行く気なの?リリス~」レイニーは目を潤ませた。 リリスは振り返り、慌てた表情で戻ってきた。「な、泣かないでよ、レイニー様。そんな顔しないでってば!」リリスは手を差し伸べた。「まったくもう……ちゃんとついてくるなら、一緒に歩いてあげるわよ。」リリスは少し照れくさそうに微笑んだ。
last updateLast Updated : 2026-02-27
Read more

7話 獣人族の村で買い物をした

獣人族の村に遊びに来たレイニーとルフィアは、村の広場で一休みしていた。空は青く澄み渡り、心地よい風が吹いていた。「ねぇ、ねぇ。美味しいお肉が食べられるお店あるかな~?」ルフィアは村の人に聞いた。村人は親しみやすい笑顔で答えた。「もちろんあるよ!村の広場にある『獣神の食堂』がオススメだよ。新鮮な獣肉料理がいっぱいで、評判もいいんだ。」「わぁ、美味しそうなお店だね!お兄ちゃん、行ってみようよ♪」ルフィアは目を輝かせながら言った。レイニーは微笑んで頷いた。「いいね、ルフィア。まずは少し村で買い物をしようか?」「いいね、お兄ちゃん!買い物って楽しいよね!」ルフィアは明るい笑顔で答えた。「どこに行くの?お菓子屋さん?それとも雑貨屋さん?」ワクワクしながら尋ねる。「ルフィアの新しい服を選ぼうか~?」レイニーは提案した。「本当?お兄ちゃん、ありがとう!」ルフィアは明るい笑顔で答えた。「どんな服がいいかな~?可愛いドレスとか、動きやすい服とか、いっぱいあるよね!」「普段着が良いんじゃないかなぁ。どんなのが良いかな?可愛いのが似合いそうだけど……」レイニーはルフィアを見つめながら言った。「ありがとう、お兄ちゃん!」ルフィアは明るい笑顔で。「普段着なら、動きやすくて可愛い服がいいな。例えば、ふわふわのトップスとか、軽やかなスカートとか。」ワクワクした表情で考えている。「お兄ちゃん、一緒に選んでくれる?どれが似合うか教えてね!」ルフィアは期待に満ちた目で言った。「それ、かわいい!」レイニーはニコッと微笑みながら購入を決めた。 村人から『獣神の食堂』の情報を得たレイニーとルフィアは、楽しそうに話しながら食堂へ向かった。「お兄ちゃん、お肉好き?」ルフィアは好奇心いっぱいの目で尋ねた。レイニーは微笑んで答えた。「うん、大好きだよ。ルフィアは?」「私も大好き!特に焼き立てのお肉がたまらないよね。」ルフィアは嬉しそうに答えた。「ジューシーで香ばしい香りが最高だもん!」「じゃあ、今日はいっぱい美味しいお肉を食べようね。」レイニーはルフィアの手を優しく握りながら言った。「うん!お兄ちゃんと一緒に食べるお肉、最高に美味しそう!」ルフィアは目を輝かせて答えた。二人は歩き続け、ついに『獣神の食堂』に到着した。店内からは美味しそうな香りが漂い、温かい雰囲気が広がっていた。
last updateLast Updated : 2026-02-27
Read more

8話 獣人村の森の奥で

 その後は、村の広場でルフィアとレイニーは穏やかな午後を過ごしていた。レイニーは膝の上に座っているルフィアを優しく抱きしめながら、微笑んだ。「こうしてるとさ、出会った頃を思い出すね。ルフィアが話を掛けてきて、宿を紹介してもらってさ。みんなで部屋で話をしてたよね~。」 ルフィアは柔らかい笑顔を浮かべ、思い出に浸りながら頷いた。「うん、あの時のことを思い出すと、ちょっと懐かしいなぁ。初めてお兄ちゃんに話しかけた時、ちょっと緊張してたんだよ。でもお兄ちゃんが優しくしてくれて、すごく安心したの。」 彼女の言葉に、レイニーは微笑んで応えた。膝の上に座っているルフィアを優しく抱きしめると、彼女は幸せそうに身を預けた。「みんなで部屋で話してたのも楽しかったね。あれからずっと一緒に冒険してきて、本当に嬉しいよ。お兄ちゃんとの時間、大切にしてるんだぁ」レイニーはその言葉に深く感動し、さらにルフィアをぎゅっと抱きしめた。「俺も同じことを思ってるよ」 ルフィアはその抱擁に安心感を感じ、優しく微笑んだ。「お兄ちゃん……ありがとう。わたしもお兄ちゃんが大好きだよ。これからもずっと一緒にいようね。お兄ちゃんと一緒なら、どんな冒険でも怖くないよ」 二人はそのまましばらくの間、温かい時間を共有しながら、村の広場でのひとときを楽しんだ。 ケルちゃんの事を思い出し、ルフィアと別れて別行動し見回りに行った。 ケルちゃんは村の守護獣なので、繋がれてはおらず村の外を好き勝手に歩き回っていた。 ケルちゃんと目が合うと、嬉しそうに駆け寄ってくるが……。あれ、ちょっと……迫力があって怖いかも、それに身体が大きすぎぃ……。このまま飛びつかれると、俺、耐えられる自信がないんですけど。 案の定、前足で飛びかかられ……地面に押し倒され3つの頭が代わる代わるに俺の頬を舐め合っていた。他から見れば、襲われているように見えると思う。かなりの恐怖映だろうなぁ…… ケルちゃんが落ち着くと、上半身を起こしてケルちゃんの頭をガシガシと撫でて可愛がった。嬉しそうに「くぅ~ん、くぅ~ん♪」と鳴いていた。「ちゃんと、魔物や盗賊から村を守ってね」と3つの頭を撫でながら言うと「お任せ下さい。主殿」頭に響いてきた。「ん? あぁ……これって、契約したから会話が出来るようになったのかぁ、便利で良いね♪」と喜んでいる
last updateLast Updated : 2026-02-27
Read more

9話 ミーニャという名前を

 この村では、盗賊や魔物、魔獣が度々村を襲い孤児が多いと思っていたけど……盗賊が幼い子供を拐って目立たなかった。それに子供を拐われた親が孤児を育てていると村長が話してくれた。 今回のような事は、多くあるんだろうなぁ……。可哀想だからといって助けて保護をしていたら、うちが孤児院になっちゃうしなぁ……。それに、村の事は村長の仕事だよな……村長の立場が悪くなるでしょ。「そっかぁ……名前がないのは不便だよなぁ」悩んだ表情をすると、キラキラした期待をした目で見つめられた。あれ? これって、俺が名前をつけると思ってる?? え? 俺が命名をして良いの?「あ、あのさぁ……俺が名前を付けても良いの?」少し同様をした表情で聞くと、「べ、べつに……だいじょうぶ」残念そうな表情をして地面を見つめた。 えっと……どっちの大丈夫なの? 残念そうだから……名前を期待してたんだよね。えっと……猫族で「にゃんこ」「ねこちゃん」とかしか思いつかないってば。俺なら拒否するね……。俺、ネーミングセンスは皆無だし……ケルベロスが「ケロちゃん」だよ? ディアブロなんて悪魔だから「あーちゃん」だし。ん……「ミーニャ」とか……どう? うん。これ……俺っぽくて良いんじゃない?「えっと……ミーニャってどうかなぁ?」恐る恐る聞いてみた。  にぱぁ……と満面の笑顔で頷いた。「わぁ……それ、わたしの名前!? ねぇ? わたしの名前?」何度も確認をしてきた。「う、うん。気に入ってくれたら嬉しいかなぁ……」隣りに座る少女が、俺の膝を揺らして聞いてきていたので答えた。「うん。かわいい名前……ありがとぉ♪」名前をつけてから無表情だったミーニャが、ずっと笑顔で嬉しそうだった。 はぁ……この感じだと、俺が保護しないとじゃないの? 名前をつけて、気を付けて帰ってね! で、済むとは思えないし……情が湧いてる気がする。とりあえず本人の意思を聞いてみるか。「ミーニャは、俺と一緒に住みたいとか思う?」真面目な顔をして聞いた。「……お兄ちゃんは、ミーニャとすみたい? じゃまじゃない?」ミーニャが自分の名前が気に入ったのか、さっそく自分をミーニャと呼んで話してる。それに、俺の心配をしていた。「うん。一緒に住みたいな。邪魔って思ってたら聞かないってばぁ」ニコッと笑顔で答えた。「そっかぁ……べつに、いいよ」嬉しさを我慢してい
last updateLast Updated : 2026-02-27
Read more

10話 ミーニャと買い物

 デザートも食べ終わり、満足げな表情で幸せそうなので、俺も嬉しい。さっき話をしていた服屋の前を通りかかると、やっぱり女の子なのか気になるらしく掴まれていた服が重くなった。「わぁ、あの服可愛いかもぉ〜。ちょっと見ていっても良い?」ミーニャに声を掛けた。「う、うん。ごちそうに……なったし、いいよ」仕方なさそうな言い方だったけど……しっぽは嬉しそうに動いてるよ? さぁ〜て、どうやって……ミーニャの服を買おうかなぁ……。ミーニャの目線を見て、気になっていそうな物を選んで購入をした。「これ、ミーニャに似合いそうだね♪」と手に取り、ミーニャに見せながら反応をうかがった。「うぅ〜ん……いらなぁい」シッポと耳は正直に動いてるよ〜。「そうなの? 俺が着るとなぁ〜完全に女の子になっちゃうしなぁ〜」というか、サイズが……小さすぎるって。 残念そうな表情をした。「せっかく買ったけど……着る機会がなさそう〜。ミーニャが着ないなら他の子に着てもらおうかなぁ」と言うと、チラチラと俺を見て俺にピッタリと付いて小さな声で囁いた。「きても、いいよ……それ」と言ってくれた。「わぁ、ほんと? ミーニャに似合いそう!」気が変わらないうちに試着室のような場所に入って着替えさせた。 白のフリルが付いたワンピースで可愛い。それにリボンも付いていて可愛いお嬢様って感じになった。他にも色々と購入して着てもらった。よし! 作戦成功〜♪ ついでに防具屋にも寄って、動きやすい防具も購入した。これは、警戒されなかったが、喜びもされなかったが……一緒に行動するなら必要だし。「これ、……ひつようないよぉ? なにするの?」かわいく首を傾げて聞いてきた。「俺たちは、冒険者だから……ケガをしないようにかな」冒険者じゃないけどさぁ。「ふぅ〜ん、じゃあ、いるぅ。かっこいい」理由がわかり嬉しそうにしてくれて、積極的に選んでいた。 普段着、部屋着、パジャマ、冒険用の服、下着、防具、双剣、ナイフも購入して収納しておいた。 あとは……村長にミーニャを保護すると言いに行った。村長も気にはしていたようで、俺なら信用できると任せてくれた。王国のように手続きがある訳じゃなく本人と村長の許可があれば問題ない。前回、ルフィアの事で知っていた。「ミーニャと名付けてもらったのか? 良い名だな……。ミーニャは、レイニー様と共に暮らす事に
last updateLast Updated : 2026-02-27
Read more
PREV
12
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status