ゼロから会社を立ち上げた彼氏・深沢悠樹(ふかざわ ゆうき)が、やがて一流の実業家になった。だが彼は公私混同を嫌い、会社の成功に私が半分貢献していても、私・白石琴音(しらいし ことね)の入社を認めようとはしなかった。私の母・白石幸子(しらいし さちこ)が病気になり手術費が急に必要になった時も、悠樹は一切首を縦に振らなかった。「採用の話といい金の話といい、俺の立場を考えたことがあるか?示しがつかないだろう」仕方なく彼に頼るのをやめた私は、家に残っている物を全て売り払い、なんとか手術費をかき集めた。だが支払いの窓口で、看護師に制された。「その腎臓はもう他の方に。もう少し待っていただくことになります」頭が真っ白になった次の瞬間、悠樹が木村日向(きむら ひなた)を連れて手術室へ入っていくのが見えた。私が必死に順番を待っていた腎臓を、彼は何でもないように彼の後輩に譲ってしまったのだ。食い下がろうとした私に、悠樹は警察を呼んだ。留置所に二十四時間拘留された私は、母の最期に間に合わなかった。日向の手術が成功した後、悠樹は街中に花火を上げてあの女の回復を祝った。私はひとり、霊安室で泣き崩れた。彼の「公私混同しない」という信念は、揺るぎないものなどではなかった。ただ、私には適用されなかっただけだ。……私は母の死後の手続きを、ぼんやりとしながらこなしていた。外では花火がまだ上がり続けていた。つい一昨日、悠樹は2万円すら貸してくれなかったのに。それだけでなく、全社員の前で、私を怒鳴りつけた。「そんな自分勝手なことを言うな!こんな大きな会社で、お前のためにだけ特別扱いできるわけないだろう」恥ずかしさで頭が真っ白になり、泣きながらその場を飛び出した。それが今、たった一日の間に彼は人脈と金を使い、日向の治療を手配した。一億円もの花火を打ち上げて、日向の回復を祝った。体が震えて、息をするたびに胸が痛かった。スマホには着信が何件も入っていたが、一つも出る気になれなかった。後ろから急ぎ足の足音が近づいてきて、悠樹が私の腕を掴んだ。「琴音、なんで電話に出ないんだ?お前、一体俺が……」言いかけて、私の顔を見た瞬間、その場で固まった。私の涙の跡を見て、彼の表情に罪悪感がよぎった。だがすぐに私と目が
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