All Chapters of 世界が巡っても、二度と逢わない​: Chapter 11

11 Chapters

第11話 ​

かつての私は、彰人のために、それこそ塵芥のように卑屈になって尽くしていた。​電話を切る直前、彰人のそばでガラスが砕けるような音が聞こえた。​「全部、俺のせいだ……俺がお前を失くしたんだ……」​その電話のことは、特に気に留めない。​生まれ変わった瞬間に、彼との縁は完全に断ち切られたのだから。​それに、今の私には、もっと大切な悩み事がある。​結婚式だ。​三ヶ月後、二つの人生を経て、私は初めて結婚式を挙げた。​白無垢に身を包み、厳かな空気の中、ゆっくりと神前へと進み出る。​和婚は洋式よりも神聖な雰囲気が感じられる。​黒い着物に身を包み、目元を潤ませている目の前の男。​そして、その隣で大粒の涙を流して泣いている父。​前世のあらゆる苦しみは、今この瞬間の幸せを際立たせるためのものだったのかもしれない、と私は思った。​数年後になって、ようやく当時の小さな騒ぎについて知ることになった。​式当日、美々が突然乱入しようとしたという。その時、彼女の腰にはまだ採尿バッグがぶら下がっていた。​「豊松純菜、あなたは私の人生をめちゃくちゃにしたのよ!どうしてあなただけがそんなに幸せそうなの?​あなたのせいで、彰人は私を捨てたのよ!私の人生を返して!」​彼女は狂ったように中へ押し入ろうとした。​だが、聡が雇ったボディガードたちが動くよりも先に、彰人が彼女を連れ去ったという。​実は、彰人もずっと神社の外から私の結婚式をこっそり見ていたのだ。​美々は激昂して地面に膝をつき、必死に手を合わせた。​「彰人、お願い、私を見捨てないで。もう一度だけチャンスをちょうだい!​示談書を書いてくれたら、また元通りにしてくれるって言ったじゃない!」​彰人は鼻と口を覆い、彼女の体から漂う尿の臭いに顔をしかめた。​「お前が先に純菜を罠に嵌め、嘘をついて俺と結婚しようとしたんだろう。どの面下げて許しを請うつもりだ?お前のような汚らわしい人間は、この世に生きてる価値さえない。​反吐が出る」​彰人は容赦なく脚を上げ、美々を地面に蹴り飛ばした。​「二度と純菜の邪魔をするな。分かったか?」​彰人は美々に一瞥もくれず、神社の隅に隠れて、中で結婚式を行っている私をじっと見つめていた。​美々は表情を歪め、ポケットからナイフ
Read more
PREV
12
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status