All Chapters of 仇敵の妻〜私を救い出した夫は黒幕〜: Chapter 11

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第11話

あの時、私は運命を恨み、何もかもが嫌で、これさえも憎んだ。まさかいつか、この箱を抱いてこんなに泣き崩れることになるなんて。箱の中には黒い小さな壺があり、そこには我が子の骨が入っていた。震える手でそれを持ち上げ、名前を呼びかけようとする。けれど何と言えばいいのか、どうしても言葉が見つからなかった。この子には、名前がなかったから。ずっと「書陽」と呼んできたけれど、その名前はこの子のものじゃなかった。この子の顔を見ることも、名前をつけてやることも、叶わなかった。「安(あん)……お母さん、あなたを安と呼ぶわね。あちらの世界では、どうか……安らかに過ごせるようにと願って……」私は骨壺をぎゅっと抱きしめた。ごめんね。私の人生は悲しいことばかりだった。どうか来世では、私と離れて幸せになって。どこか優しい家の子に生まれ変わって。……「奥様」いつのまにか、塗景のそばにいた護衛が背後に立っていた。護衛は塗景のようにため息をつき、長い間黙り込んでいた。「実は……塗様がおっしゃっていた言葉は、本心ではありませんでした。お子様は、生まれた時にはもう息をしていなかったのです。塗様は、奥様が悲しまないように、別の子を連れてきたのです。お子様を捨てたと塗様は言っていましたが、ずっと大切に遺骨を守り続けていたのです。毎晩のように、独りぼっちで眠れぬ夜を過ごしていました。それに、奥様のお甥様を殺してなどもおりません。塗様は……奥様に憎まれてでも生き続けてほしかったのです。そうしなければ、奥様は生きる気力を失うと知っていましたから」護衛はこれまで隠されていた事実を、一つずつ教えてくれた。最後には言葉を詰まらせたが、その重い告白が、一つ一つ私の心に突き刺さった。「塗様は、すでに奥様が生きていく道を用意されていました」私は視線を動かし、壺の隣に置かれた分厚い土地の譲り状と金を見た。それは塗景が一生かけて稼いだ、全財産だと護衛は言う。少しだけ祁絮にあてた以外は、すべて私に遺したのだと。書類の束のそばには、丁寧な布に包まれた袋もあった。中には、五百両分の銀票が入っていた。永泰(えいたい)37年の発行だ。ちょうど12年前のこと。……塗景を殺して、私は喜ぶべきだと思っていた
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