All Chapters of 報奨の家が白紙に?よし、完全サボりだ: Chapter 11

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第11話

しかし、口を開くより先に、翔は叔父からの電話に出た。「この馬鹿!お前という奴はどこまで愚かなんだ?慎重に動けとあれほど言っただろう?年度売り上げの査定しに来たのが会長の娘さんだと知っているのか?よくもまあ俺の名前を出せたな。そんなに早く俺を潰したいのか!言っておくが、今回は助けてやれない。会社に残れるかはお前自身の運次第だ。今後はもう二度と俺に連絡するな。お前のせいで、あやうく解雇されるところだったんだぞ!」相手は怒鳴り散らすと、一方的に電話を切った。翔は反論する隙すらなかった。ここでようやく、俺は紬の正体を知った。どうりで彼女は、翔の処分を決定する権限を持っているわけだ。紬は表情を変えず、静かで深淵のような冷たい視線で俺を見た。「後藤さん?」紬は戸惑った様子で、ぎこちなく俺を呼んだ。俺が頷くと、紬は言葉を継いだ。「事態は解決済みよ。あなたが申請した手当については、秘書の鈴木さんに任せてあるわ。会社の発展に貢献してくれて感謝している。我が社は、あなたのような人材を必要としているわ」紬はさらりと俺を高く評価してくれた。荷が重いと感じた俺は、冷静に答えた。「井上さん、もったいないお言葉です。自分はただ、正当な手当を求めただけですから。それに、今回の件が片付いたのは井上さんが冷静に判断してくださったからです。自分は事実をまとめて報告しただけです」この功績を俺が受けるわけにはいかない。紬は無言で頷き、翔の方に視線を移した。「山口支店長にサインさせたら、すぐ警備員に会社から追い出させて。我が社は会社を食い物にする害虫を許容しないわ。見つけ次第、即解雇よ!」続いて美優に声明を作成させ、全社掲示板に投稿させた。翔が行った数々の不正は、あますところなく社内全体に知れ渡った。俺自身も今回の件で一躍有名になった。無事マンション贈呈の申請が通り、なぜか特例で30坪の部屋が36坪になった。紬から届いた祝辞によると、プラス6坪分は今回の慰謝料のようなものだそうだ。会社として、社員の手当を不当に奪うようなことは二度としない。どうかもう一度、会社に機会を与えてほしい。そして、全社員で監督してほしい、という旨が何度も強調されていた。支店長室から出た時、信じられないほど心が軽くなっていた。社内掲示板の通知
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