ひとしきり説明を聞いた紐育が、俺の肩に手を回しながら興味深そうに頷いた。 「へえ、そんなことが」 「そうなんですよぉ。およよよよ」 「泣くフリしない」 俺は紐育の腕をどかし、ぺしっとアコのおでこを叩く。軽くな。 さて、これらの話を聞いて紐育も呆れたことだろう。俺は紐育の方を向きながら―― 「でさあ、紐育からも……紐育!?」 「へーへーへー」 「なんか、目が輝いてるんですけど!?」 予想外の反応だった! 紐育の双眸はまるで夜景のようにキラキラとしていて、全く想定していない顔である。 すると紐育がアコの手を両手でがっしと掴みながら力強く言う。 「実はね、私音楽好きなんだよ!」 「へえ」 俺は思わず声を漏らした。 「でもほらうち神社じゃん? だから大音量でスピーカー鳴らそうとすると怒られるし、そもそもお母さんが聴覚過敏だからスピーカーダメって言うんだよ」 「はあ」 それは知らなかった。紐育ってそういやあまり家のこと話さないもんな。神社の娘ってことくらいしか知らんし、あまり紐育の家にはいかないし。神社に行ってもすることないもんな。 と、紐育が何故かしょぼんと肩を落とす。 「でもイヤホンじゃ音楽楽しめなくて」 「何聴くの?」 俺は何気なく訊ねた。 「メタル」 「……紐育さん、あんたって人は……」 なるほど、それじゃ自宅で聴けるわけない。 メタルが鳴り響く神社を想像した。参拝客からぶっ飛ばされそうだった。 「デスメタルもパワーメタルもプログレッシヴメタルもメロディックスピードメタルもシンフォニックメタルもゴシックメタルもスラッシュメタルも大好きなんだよ」 「さっぱりわからん」 しかしアコはわかったようで、今度は彼女が目を宝石のように輝かせる番だった。 「へえへえ! それは素晴らしいです! 紐育さん! 是非私で聴いてください!」 「でもアコちゃんイヤホンでしょ?」 紐育の言に、アコは目をつむりながら人差し指をメトロノームのように
Terakhir Diperbarui : 2026-05-01 Baca selengkapnya