と、今まで黙っていたアコがすがるような視線を向けながら、 「八島くん……」 小さく、俺の名を呼んだ。 「アコ……」 「私はね、八島くんの態度にいつも傷ついていたんですよ」 「な、何を言うんだよ、俺は……」 「私はね、確かに悪霊なんですよ。自分の我欲のために一人の男の子に取り憑いて、自分の目的を達成させるために迷惑をまきちらして、学校でも一緒にいたいがために戸籍の偽造だってしちゃう、悪い子なんです。そしてこのことに私はなんら罪悪感がないんです」 「そんな、アコ……」 それはアコの本音だった。 初めて聞いた、アコの本音。 「私はいい子じゃないです。それにね、八島くんだって悪いんですよ。自分の意志とか、自分の意見とかをいつもためらう、いつも伝えてこない。私にぶつかってこない。私、いつも空気を触っているみたいで、凄く傷ついていたんですよ、八島くんは私なんかいなくても別にどうでもいいんじゃないかなって」 そんなことを言われたら、俺としても、本音で語らないといけないな。 「違う、そんなことはない! 俺はアコが、いや、アコでないとダメなんだ」 言ってて恥ずかしいだろうか。いや、不思議と全く恥ずかしくない。 それは緊張感と、不安と、そして――苦しみ。 様々な感情が入り交じり、錯綜し、それが羞恥心を消してのけたのである。 さて、どう返すか。 「確かに私が押しかけて、私が一方的に自分の気持ちを伝えて、私のエゴを振りかざしているかも知れない。でも、嫌いなら嫌いだと言えばいいし、こうしてお焚き上げして貰おうとする私を無視してしまえばよかったのに、君はいつだって中途半端に私に接する。その優柔不断な態度がどれだけ私を傷つけてきたか、わかりませんか?」 なるほど、そうきたか。 なら――俺だって! 「俺はアコに告白したじゃないか! あの気持ちに嘘はない! 嘘は、ないんだ……」 「嘘ですよ。だって君は、人間である私を好きになったのであって、イヤホンである私を好きになったわけではないのだから。人間のフリをしたのは失敗でした。君はイヤホンの時の私と、人間の時の私とで態度が
Terakhir Diperbarui : 2026-06-01 Baca selengkapnya