「そこまでです、エンビディア」「サフィリス、お前……!」 忌々しげに相方の天使を睨むエンビディアに、リシャールは困惑する。「これは、どういうことだ?」「陛下、しばらく留守にして申し訳ありません。わたくしが、真実をお伝えします」「おい、待て」 サフィリスが水晶の前に行こうとするのを、エンビディアが阻止する。誰もが冷たい目でエンビディアを見た。「エンビディア、あなたは潔白なのでしょう? なら、恐れることなどなにもないはずです。そこで皆様と、わたくしの話を聞きなさい」「ぐっ……」 エンビディアは悔しそうに下がり、リシャールの隣に立つ。それを見届けると、サフィリスは今度こそ水晶の前に立つ。「あれは、サフィリス様だ!」「ご無事だったのね」 国民は守護天使の姿に、安堵の息をもらす。それはリシャールも同じ。だが、エンビディアだけは浮かない顔をしている。「皆様、ご心配をおかけして申し訳ございません。私は王都を守護する天使、サフィリス。確かに先程まで演説をしていたのは、エンビディアの偽物です」「やっぱりあれは偽物か」「エンビディア様を陥れようとするなんて、死罪よ!」 人々はどよめき、エンビディア達に声が届かぬことなど気にせず、偽物を死刑にするよう声を上げた。その声は通信機器などなくとも、城の中にまで届いてくる。「国民は偽物の死罪をお求めですよ。まぁ、当然ですな」 エンビディアは勝ち誇ったように笑う。それでもサフィリスの冷たい目は変わらない。「ですが、彼の言葉は真実です。私は、長年エンビディアと組み、王都を守ってきました。もちろん、エンビディアを心の底から信頼していました。ですが彼は、あろうことか、彼は私を裏切ったのです」「デタラメだ! お前も偽物だな!?」 サフィリスは軽蔑の目をエンビディアに向け、光魔法で小さな玉をいくつも作り出し、すぐに消す。「黙りなさい、エンビディア。無実というのなら、私の話を最後まで聞いたらどうですか?」「くっ」「エンビディアは、淫魔をふたりも捕まえ、地下研究所に閉じ込めています。あろうことか、私に淫魔の発情毒を飲ませ、街を襲わせました。私を助けてくれたのは、ロキ様です」 サフィリスはロキの手を引き、水晶の前に立たせる。これには国民もリシャールも困惑した。 ロキは今回の事件の犯人とされていた。それに、彼は天
Terakhir Diperbarui : 2026-05-04 Baca selengkapnya