嫌われ淫魔は忌み子の悪魔祓いに堕とされる のすべてのチャプター: チャプター 11 - チャプター 20

23 チャプター

11話

「さぁて、楽しい楽しいお仕置きターイム。手始めに、オナニーしてもらおうか」「誰が、そんなこと……。うあっ!?」 尻尾が勝手に動き、アナルに入る。尻尾は発情毒を注ぎながら、前立腺を刺激していく。「んあ、ああっ♡ な、なんで、勝手に……。ひあああっ♡」「浄化のチョーカーには、色々搭載されていてね。さっき触った時、僕の聖力を注ぎ込んだんだ。それで特殊な薬も注がれ、僕の命令で動くようになったのさ」「悪趣味な、ひうぅ♡ そこ、やめ、ろ……」「悪趣味? 天使と悪魔祓いを犯し合いさせる君に言われたくないな。にしても、ただオナニーしろとしか言ってないのに、そっちをいじるあたり、君は天使や人間を犯すよりも、犯されるほうが似合ってるよ」「う、うるせぇ!」「もういいよ」 ロキが言うと、尻尾は勝手に抜け、ヴェルガーのアナルから発情毒が流れ出る。自分の発情毒は効かないが、発情毒のヌメリがアナルのナカを伝うのが、たまらなく気持ちいい。「んぅ、はぁ……♡」「ふふ、可愛い。ちょうど、従順なペットが欲しかったんだよね」「誰がペットだ!」「キ・ミ♡ 体もがっしりしてて丈夫そうだし、遊びがいあるんだろうなぁ」「ふざけんな!」「はーい、ストリップショーしてー」 ロキは手を叩きながら言うと、ヴェルガーの体は勝手に立ち上がり、ゆっくりと見せつけるように服を脱ぎだした。もちろん、これもヴェルガーの意思ではない。「クソ、お前なんなんだよ! これが悪魔祓いのすることか!?」「あっはっは、なぁに被害者ぶってんの? 君がしてきたことに比べれば、ほんの些細な、可愛いお遊びだろ?」「俺が言いたいのは、そういうことじゃない!」「おしゃべりの気分じゃないなぁ」 ロキは近寄り、ヴェルガーの胸筋を掴む。「んひぃ!?」「おぉ、意外と柔らかい。筋肉だと思ってたけど、おっぱいなのかな? しっとり張り付いて、えっちな触り心地だね。流石は淫魔といったところかな?」「あぅ、んんっ♡ は、ああっ♡ バカ、揉むなぁ!」「とかなんとか言って、気持ちいいんだろ? 腰、揺れてる」「うるせぇ!」「口が悪いなぁ」 乳首を口に含み、甘咬みをし、もう片方の乳首に爪を立てながら引っ張る。「んお、おおおぉっ♡」 獣のような喘ぎ声を上げながらのけぞるヴェルガーに気を良くしたロキは、更に強く咬み、引っ張る。
last update最終更新日 : 2026-04-25
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12話

「お前、本当になんなんだよ……」「天使みたいに可愛い可愛い悪魔祓いだよ」 いきなりアナルに指を入れられる。脳天にまで突き抜けるような快楽に、声も出ない。「立ってるのもつらいだろ。おしりをあげて寝てもいいよ」 そんな屈辱的な格好などしたくないのに、体はロキの言葉に従ってしまう。「いいこと教えてあげるよ。本来、天使や悪魔祓いが持つ聖力は、悪魔や淫魔に取って毒でしかないんだけど、すこーし性質をいじると、媚薬になるんだ」「何、言ってるんだ……?」「ゆっくり、体で覚えていけばいいよ」 ロキは持ってきた籠の中から、銀のボトルを出す。「これは聖水だ。このまま使うと……」 聖水がふくらはぎに垂らされる。焼けるような痛みに目を見開く。「ぐああああっ!」 のたうち回りたいのに、体はぴくりとも動かない。「けど、僕がすこーし手を加えれば……」 ロキが両手でボトルを持ち直すと、ボトルが淡い光を帯び始めた。今度は聖水をアナルのナカに直接注ぐ。「んぐ、お、おおぉっ♡」 訪れたのは焼けるような痛みではなく、今まで味わったことのない強すぎる快楽。キャパオーバーの快感に、ヴェルガーは目を白黒させる。「ふふ、効いてる。最高の媚薬になっただろ?」 思考がショートしてしまったヴェルガーに、ロキの言葉は届かない。「聞いてないか。寂しいなぁ。構ってよ」「ぎゃうぅ!?」 顔にそぐわない巨根を一気に押し込まれ、悲鳴を上げる。ロキは容赦なく、激しく奥を何度も突く。「んぎぃ♡ おほぉ♡ あが、んひいぃ♡」 理性はとっくに溶け、意識も混濁した体は、獣のような喘ぎ声を出し続けるだけ。「ゆるゆるなのかと思ったけど、案外締まるな」「お、おおぉっ♡ ひぎっ、んおぉ♡」「あっはは、すっごい声。乳首引っ張ったら、どうなるかな?」 乳首を引っ張ると、ヴェルガーはアナルをきゅうぅっと締め付ける。それは意図的なものではなく、メスの本能だ。「うわ!? ちょっと、そんなに締めたら、出ちゃうって……! くぅっ!」 ロキは慌てて陰茎を奥に叩きつけ、射精をする。毎日聖水を飲んでいるロキの精液を体内に流し込まれたヴェルガーは、そのまま失神してしまう。「はぁ、びっくりした……」 陰茎を引き抜くと、ヴェルガーを見下ろす。意識はないというのに、体は未だに痙攣し、アナルからは発情毒と精液が混ざっ
last update最終更新日 : 2026-04-26
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13話

 翌朝、ロキが教会の地下室に行くと、彼らの嬌声が聞こえてきた。「朝からお盛んだとこ」 苦笑しながらレコルスがいる独房に入ると、彼は自分の陰茎をしごいていた。「あ、あぁっ♡ こんなのじゃ足りません……。ヴェルガー様ぁ♡」「天使をここまで堕とすとは、流石は淫魔といったところか……」 レコルスの前に座ると、彼はうっとりした目でロキを見る。「んあぁ? 誰? 誰でもいいから、犯してぇ♡」「では、まずはキスから」 ロキの言葉に、レコルスははしたなく舌を伸ばす。ロキは聖水を口に含むと、聖力を口内の聖水に込めてから、口移しで飲ませる。「んんっ♡ んっ、はぁ……」 口を離すと、レコルスの紫色の瞳が、徐々に若草色に戻っていく。興奮で赤らめていた顔が、青白くなっていく。「わ、私は、ジュードになんてことを! いいえ、ジュードだけではありません。レイにまで……」「正気が戻ったようで何よりです」 声をかけると、レコルスははっとしてロキを見る。瞳が潤んでいき、涙が彼の頬を伝う。「あなたは、ロキ様、ですね? 私は、とんでもないことを……」「天使に様をつけられるのは、むずがゆいですね。ロキでいいですよ。所詮人間ですし、あなたの仲間の命を奪った者ですから」「ですが、あなたは誰よりも力を持っています。それに、きっとあれも事故なのでしょう?」「えぇ、まぁ」 苦笑すると、レコルスは柔らかな笑みを浮かべる。先程まで淫欲に溺れていた者とは思えない、清廉な笑みだ。「でしたら、あなたに罪はありません。罪深いのは、私です……」「懺悔の前に、治すのが先でしょう。僕の聖力を、あなたに注ぎます」「うぅ、はい……」 これからされることを察したレコルスは、上半身をベッドに預け、おしりを突き出す。「理解がはやくて助かりますよ」 ロキはローブを脱いでテーブルの上に置くと、レコルスの後ろに膝立ちをし、彼のアナルに自分の巨根をねじ込んだ。「あがっ! んぐぅ……」 それは嬌声ではなく悲鳴。聖力をまとったロキの一部が体内に入ることで、穢れが浄化されていくのだが、穢れはレコルスの体に浸透してしまっているため、痛みが生じる。「ふふ、痛いですよね。でも、我慢してくださいね」「ひぎっ、ぐうぅ!」 返事をする余裕すらないレコルスは、ただ痛みに耐え、悲鳴を上げるだけ。ロキは冷めた目で彼を見下
last update最終更新日 : 2026-04-26
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14話

「では、まずはジュードからお願いしますよ」「はい……」 ロキはレコルスに聖水が入ったボトルを渡すと、ジュードがいる独房のドアを開けた。「んあぁ、こんなんじゃ、足りないよぉ……」 首輪で行動範囲を制限されたジュードは、古びたベッドの上で壁に背を預け、足を大きく開き、自分のアナルに指を入れ、乳首をつまんでいた。「ジュード……」 レコルスは呆然とし、悲しみで翼を震わせる。ふたりが入ってきたことに気づいたジュードは、締まりの無い笑みをこちらに向ける。「レコルス、こっちきて、おっきいちんぽ入れてよぉ♡ そこの君も、舐めさせて? 僕、舐めるの上手って、ヴェルガー様に褒められるんだ……♡」「ジュード、私のせいで……」「しっかりしてください。彼を浄化するのは、あなたの役目です」「はい……。そう、ですね……」 ロキがレコルスの肩に手を置いて声をかけると、彼は聖水を握り直し、ジュードに近づく。「健闘を祈りますよ」 そう言い残し、ロキは独房のドアを閉めた。ドアの向こうからは、ジュードの悲鳴が聞こえる。「さてと、僕も行こうか」 ヴェルガーがいる独房の前に立つ。耳を澄ませてみるが、動く気配はない。「いい子にしてるのか、脱獄したか……。まぁ、あの状態で脱獄は無理か」 ジュードとレイは首輪しかつけていないが、ヴェルガーは首輪だけでなく、手枷と足枷もつけてある。更に全身を鎖でベッドに固定しているため、逃げることなど出来ないはずだ。 ドアを開けると、ヴェルガーは不機嫌そうに天井を見ていた。ロキが入ってきたことに気づくと、睨みつける。「お目覚めかい?」「ちっ、殺せ」 ヴェルガーはそれだけ言うと、そっぽを向く。ロキはそれが面白くてベッドの端に座ると、彼の頬に触れる。「殺さないよ。せっかく手に入れたおもちゃなんだから」「だいたい、お前は何者なんだ?」「気持ち良すぎて忘れちゃった? ロキだよ」 おどけて言うと、ヴェルガーはこめかみに青筋を立てる。(怒りっぽくて面白いな、この悪魔) どうおちょくってやろうか考えながら、次の言葉を待つ。「名前を聞いてるんじゃねぇ。あの力、他の天使や悪魔祓いにはないものだろ」「脳筋バカかと思ってたけど、意外と頭まわるんだね」「てんめぇ!」「褒めてるんだよ」「んで、テメェは何者なんだ?」「うーん、そうだなぁ……」
last update最終更新日 : 2026-04-26
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15話

「残念でちたー、君に僕は殴れましぇーん」「こんの野郎!」「いいから、悪魔と淫魔の違いについて説明してよ。アイツらが悪魔をザクザク殺しちゃうから、君らの違い、全然分かんないんだよね。拒否するなら、君も祓っちゃうぞ♡」 おどけた顔から一転、ロキはため息をつき、うんざりしたように言う。「話せばいいんだろ、話せば。けど、俺は説明とか得意じゃないんでな」 ヴェルガーはそう前置きをすると、悪魔と淫魔の歴史について語り始めた。 悪魔は心が弱っている人を見つけ、その弱さに漬け込み心を喰らう。そしてお互いの縄張りを尊重し、ちょっかいをかけることなどない。 一方淫魔は見境がなく、人間の心が弱ってるかどうかなど気にしない。性欲は誰にでもある。子供でさえ、知識があれば興味を持ち、興味は性欲に変わっていく。そして彼らは縄張りなど気にすることもなければ、尊重をすることもない。淫魔は誰彼構わず淫欲に溺れさせ、人間の魂を喰い散らかしていった。 そのせいで悪魔は飢餓に苦しみ、餓死する者、衰弱したせいで天使や悪魔祓いに狩られる者が増えていった。 幸い、淫魔にも弱点がある。それは彼らが傲慢で怠惰であること。彼らは隷属にした人間の家に居座り、抱きたい時に人間を抱き、寝たい時に眠る。それには、昼も夜も関係ない。 悪魔達は人間の家で寝ている淫魔を見つけては殺しまわり、殲滅したという。「更に昔は、淫魔も悪魔もお互いの違いなんて気にしないで、交流してた。だから、悪魔と淫魔の子供なんて珍しくなかったそうだ。今いる悪魔のほとんどには、淫魔の血が流れてる。そのせいか、時々いるんだよ。原祖返りする奴が」「原祖返り?」「突然変異って言ったほうが分かりやすいか? 悪魔がいきなり、淫魔になるんだよ。俺みたいにな」 ヴェルガーは自嘲する。ロキはまじまじとその顔を観察した。目の前にいるのは、天使や人間を淫欲に突き落とした恐ろしい淫魔のはずなのに、寂しがりの子供のように見えた。「どういう風に変わるんだい?」「それぞれ違う。寝てたらとんでもなくエロい夢を見て、起きたら淫魔になってたって奴もいるし、俺みたいに少しずつ変わってった奴もいる」「少しずつ? 具体的に教えてよ」 ヴェルガーは目を閉じ、息を吐く。まるで覚悟を決めるかのように。「最初は、ちょっとした違和感だった。メシが、人間の恐怖が、前より美
last update最終更新日 : 2026-04-26
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16話

「君はどうして教会を乗っ取ったわけ? 少なくとも、悪魔は教会に入ると気分が悪くなるみたいだけど、君達はそうじゃないの?」「別に、あちこち移動するのが面倒だから、腰を落ち着かせる場所がほしかっただけだ。気分が悪くなるのは、淫魔も変わらない。けど、天使を隷属にすれば問題ないと思ったから実行した」「結果は?」「天使を隷属にしたら、快適だった」「そっか。実に興味深い。にしても、随分すらすら喋ってくれるね」「んなもんちらつかせてるからだろ!」 声を荒げるヴェルガーを、ロキはにっこりしながら見下ろしている。ロキは後ろ手に銀のナイフを持っていたのだ。銀には悪魔を祓う力がある。それだけでも彼らにとっては恐ろしいものではあるが、銀は聖力を通しやすい。聖力を持たぬ一般人に銀のナイフで刺されても重症で済むことが多いが、聖力を持つ悪魔祓いに銀のナイフで刺されれば、聖力は毒となり、悪魔の体を蝕み、死に至らしめる。「あっは★」「お前本当にムカつくな!」「抜かりないって言ってよ」「んで、これからどうするんだ?」「何が?」「何がって、俺のことだ。祓わないのか?」「言っただろ。対話で相手を知ることが大事だって」「仲良くお茶しましょってか?」「お茶もいいね。聞きたいことは、まだまだあるし。ちょっと待ってて」「あ、おい!」 ロキはヴェルガーの制止も聞かずに独房から出ていってしまう。「んだよ、アイツ……。調子狂う……」 呆れ返り、ため息をつく。だが、不思議と悪い気はしなかった。「対話が大事、ねぇ……」 目を閉じ、過去を振り返る。悪魔の頃は、家族と多くの仲間がいた。仲間達と人間の魂を食べ、笑い合っていた。家族との仲も悪魔にしては良好な方だっただろう。 悪魔も人間のように恋をし、結ばれ、子をもうける。必然的に家族になるが、人間と違い、子供が自我を持ち、魂を狩れる頃合いになると、魂の狩り方を教える。個人差はあれど、1,2回お手本を見せてさよならが一般的だ。その後に会うことはあまりない。 だがヴェルガーは、親と時々会って近況報告をし合ったりしていた。 悪魔の中には人間の食べ物に興味を持つ者がいるが、ヴェルガーと両親は、その中でも誰より人間の食文化に夢中になっていた。だから時折会っては、どこで何を見つけたか話したりしていたのだ。 ヴェルガーが淫魔になるまでは。 
last update最終更新日 : 2026-04-27
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17話

「お待たせ」 ノックもせずにドアが開けられ、ロキが戻って来る。だが、お茶を取りに行ったはずの彼の手にはなにもない。「おいおい、お茶するんじゃなかったのか?」「あぁ、そうだよ。だから上で準備してきた」「何?」「さ、行くよ」 訝しむヴェルガーのことなど気にもせず、ロキは彼の拘束を解いていく。自由が近づく感覚は心地よいが、それ以上にロキが不気味だ。「何故拘束を解いた」「だって、そのままじゃお茶できないだろ?」 きょとんとするロキに、言葉も出ない。「もしかして、拘束プレイがお好きだった? 言ってよ」「ちげぇよ!」 縛り直そうとするロキに一喝すると、彼はつまらなそうに拘束具を片付けていく。「君には、浄化のチョーカーがついてる。だから、僕に刃向かえない。見た目は脳筋だけど、それくらい弁えることができる知能はあるみたいだし」「いちいちムカつくな……。じゃあなんで昨日は縛ったんだ?」「パフォーマンスの一種だよ。僕ひとりじゃ、君達を地下牢に運べない。だから、街の人達に手伝ってもらったんだ。彼らを安心させるために、君を拘束してたってわけ」「ご苦労なこった」「さ、行こう。美味しいお菓子があるんだ!」「おい、引っ張るな!」 ロキに腕を引っ張られ、よろけそうになる。昨晩彼に激しくされたせいなのか、ひと晩拘束されていたせいなのか、体が思うように動かない。「なっさけないなぁ。その筋肉は飾りなの?」「んなわけあるか!」「じゃ、キビキビ動く!」 華奢な見た目の割に、ロキの力は強く、地上に引っ張られていく。「こっちだよ」 引っ張ってこられたのは小さな食堂だ。真っ白なテーブルクロスがかけられた長テーブルの上には、キャンドルと十字架がある。見てるだけでも気分が悪い。十字架を指先で倒すと、ロキは小さく笑った。「淫魔も十字架は嫌いなんだね」「見ててなんとなく不快なだけだ」「へぇ、そうなんだ」 ロキはティーポットを持ち、ふたつのティーカップに紅茶を注ぐ。華やかな香りが広がり、少しだけ気持ちが落ち着いてくる。「はい、どうぞ」 ヴェルガーの前に紅茶を置くと、ロキは彼の向かいに座り、クッキーを1枚かじった。「うん、美味しい」「はぁ、お前は緊張感とかねーのか?」「必要ないでしょ」「この妙なチョーカーがあるからか?」「それもだけど、僕、強いし」「
last update最終更新日 : 2026-04-27
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18話

「じゃあさ、本来の姿のままで、羽根と尻尾を消すことってできる?」「あ? まぁ、できるけど……。それがなんだってんだ」「僕単体で出歩いても目立つのに、人目で悪魔だって分かる君が隣にいたら、目立つでしょ」「だから俺は淫魔だ!」「あっはは、ごめんごめん。人間からしたら、淫魔も悪魔も区別つかないんだよ。今のは一般論だよ、一般論」「ったく、どこまでも不愉快な野郎だ」「褒められちゃった♡」「褒めてねぇ! 照れるな !気色の悪い。というか、お前は俺を連れ出すつもりなのか?」「そうだよ。まぁ、僕はこの街に加護を与えないといけないから、そう長い間離れることは出来ないんだけどね」「そういや、テメェの話、いい加減聞かせろよ」「へぇ、積極的だね」「気色悪いこと言うなって言ってるだろ!」「あはは、ホント、からかいがいあるよねぇ」 ロキはひとしきり笑うと、紅茶を飲んで小さく息を吐く。「じゃあ、話そうかな。その前に、君は人間の子供が加護を受ける話は知ってるかい?」「いや、知らねぇ」「じゃ、そこからだね。僕達人間は、7歳になったら自分の住んでる街にいる天使から、加護を与えられるんだよ。人間が恐怖というものを理解し始めるのがだいたいその辺だから。悪夢を見て、悪魔が入りこまないように、天使は子供に加護を与える」「テメェみたいなイカレ野郎にもか?」「そうだよ。どんな子供にも、加護は与えられる。孤児でさえも。僕も7歳の頃、加護をもらいに教会に連れられたんだ。だけどね、僕は天使を殺してしまった」 ロキは天使の形をしたクッキーを、紅茶の中に落とす。まるで当時を再現するかのように。「殺した? 天使って殺せるのか?」「僕にも何が起きたのか分からなかったよ。天使フィニトスも、いつものように加護を与えてたつもりだったんだろうね」「待て、フィニトスだと!?」 驚きのあまり、ヴェルガーは勢いよく立ち上がる。彼が座っていた椅子が大きな音を立てて倒れる。「フィニトスを知ってるのかい?」「バカ、お前……! フィニトスを知らねー奴なんか、人間でも悪魔でも淫魔でもいねーだろ!」 ロキの出身地でもあるアルマディナを守護していた天使、フィニトスは、全能の天使と呼ばれていた。神に最も近い天使として名を馳せていた彼は、元々王都を守護していたのだが、ある日未来を見たと言い、王都を他の天使
last update最終更新日 : 2026-04-27
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19話

 数日後の真夜中。ロキは机に向かい、一心不乱に資料を作っていた。その後ろでヴェルガーがあくびをする。「いつまでやるんだよ、それ」「納得するまで、かな」 ロキが書いているのは、淫魔と悪魔の違いについて。少しでも彼らの生態などを知り、多くの人に広めたい。そのために今回ヴェルガーを生け捕りにしたのだ。「飽きずによくやるぜ」「君は寝てたら?」「俺達は夜行性なんでね。お前も知ってんだろ」「あぁ、そうだったね」 悪魔も淫魔も、夜に動く。そして彼らも睡眠を必要とする。そのことを知る人間など、ほとんどいないだろう。「で、テメェは俺達のこと知ってどうするんだ? 皆殺しにしようってか?」「そんなことしないよ、めんどくさい。それに僕は、悪魔も淫魔も必要悪だと思ってるから」「必要悪?」 ロキはペンを置くと、体ごとヴェルガーに向ける。その顔には、疲れが滲んでいた。「今人間同士で戦争がないのは、君達のおかげだと思ってる」「は?」「人間っていうのはね、同じ敵がいると仲良くなる生き物なんだよ。今は悪魔と淫魔という強大な敵がいるから、人間同士で争わず、助け合ってる。けど、君達の脅威がなくなったら、戦争が起きるだろうね」「けどよ、今うまく行ってるんなら、問題ないんじゃねぇのか?」「だったらいいんだけど……。助け合ってるなんて言ったけど、正確には、弱小国を大きな国が守ってる状態なんだ。環境で植物が育たない国もあるし、発展途上国だってまだまだある。それに、これは自業自得っちゃ自業自得なんだけど、環境は良くても、国民性が怠惰で発展しない国もある。今は大きな国がそういう弱小国に食糧を与えたり、技術を提供したりして守ってる。弱小国は見返りとして、土地を一部貸したり、人手を貸したりしてる。助け合いというには、あまりにも不釣り合いなんだ」「へぇ……」 人間の食文化にこそ興味はあれど、まつりごとに関心のないヴェルガーにとっては、退屈な話だった。それでも、ロキが若くして偉大なことをしようとしていることはなんとなく分かった。「悪魔がいなくなったら、一時的にお祭り騒ぎになって、ほんの少しだけ、平和な日々は続くだろう。けど、大きな国が『悪魔から守ってやってただろ』なんて言って、世話をしていた弱小国から搾取するのは目に見えてる。それに、天使達はすべての国や街にいるけど、それだって力の差
last update最終更新日 : 2026-04-27
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20話

 数日後、ふたりは王都を歩いていた。ヴェルガーは羽根と尻尾を消し、人間のふりをする。「なぁ、見ろよ。アイツまだ生きてんのかよ」「あのクソ野郎殺してくれるなら、悪魔でも感謝するわ」「よくもまぁ、いけしゃあしゃあと歩けるよな。どういう神経してるんだよ」 人々はロキへの陰口を叩く。それだけでも居心地が悪いというのに、彼らはロキに向かって石やゴミを投げつける。中にはヴェルガーに向かって投げる者もいた。だが、ロキが防御魔法で自分とヴェルガーを覆っているため、数センチ前ですべて落ちる。人々はロキが大人しく投げられていると勘違いし、調子に乗って更に投げつけてくる。「いつもみたいに言わねーのかよ? お前が一言言えば、こいつら手出ししてこなくなるんじゃねーの?」 ここ数日、ヴェルガーはロキと共に行動をしていた。ロキに連れられ、ゴミ拾いや草むしりなどの奉仕活動をしていたのだ。ヴェルガーが反省したと思わせるパフォーマンスとして。 その間も、ロキに陰口を言う者がいたが、ロキがお得意の「祓っちゃうぞ♡」で黙らせてきた。「うーん、ここじゃ、ちょっとね。僕のせいで故郷を無くした人が大勢暮らしてるから。さっき石を投げてきた奴は、隣の家に住んでたんだ」 困ったように笑うロキを見て、ヴェルガーは思い出す。当時、仲間から聞いたアルマディナの惨劇について。 最も神に近い大天使フィニトスを殺した少年は、フィニトスの代わりに教会に身を置き、街や人々に加護を与えていた。だが、住人達は、少年に感謝することはなく、毎日虐げていた。 まだ幼いため、世話係がいたのだが、その世話係ですら、食事を与えなかったり、冷水をかけたりして、少年をいじめていたという。 外に出れば今のように石などを投げつけられ、悪夢を見た者が現れれば、お前のせいだと殴られていた。 ただ、すべて噂だ。ヴェルガーがその目で見たわけではない。本当はなにもなかったのかもしれないし、もっと酷いことをされていたのかもしれない。現在の様子からして、なにもなかったという可能性は、ほぼゼロではあるが。 虐げられていた少年は、耐えきれずにアルマディナがら出たという。当然、引き継ぎもなにもない状態で。加護を失ったアルマディナは、別の天使が派遣される前に大嵐が直撃し、壊滅した。 元々観光地でもあったアルマディナは、美しい海と色とりどりの花々が
last update最終更新日 : 2026-04-27
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