私――井伊こよりは強く思う。 真面目な人間が損をする。 正直者が馬鹿を見る。 そんな世の中、私は大嫌いだ――と。「う、く……」 「ほらほら、『いいこちゃん』! 何か言ってごらんよ。いつもみたいに、さ!」 「あぅっ!」 思いっきり頬を叩かれ、私は唇から血を流した。 全身ぼろぼろだ。殴られ、蹴られ、水をかけられ……眼鏡もフレームから折れてしまった。 そんなに、あなたは私のことが気に入らないのか。私のことを認められないのか。 私はまだ高校1年生だけど、生徒会副会長としてやれることをやってきた。 決して日の当たる役割じゃなくても、それでも皆のために頑張ってきたつもりだ。 なのに今、先輩の金髪女子を中心にした集団に、寄ってたかって暴行を受けている。 理由は――何となくわかっている。副会長として、彼女を何度か注意したのだ。 年上だからって関係ない。不良には、それ相応の態度で臨まなければいけないと私は考えていた。 私のこのスタイルを、仲間たちは「真面目だね」「さすが井伊さんだ」と評価してくれていた。 その結果が、今だ。なんだこれ。「なぁ、綺羅良。こいつ金持ってねえの?」 「ああ、ダメダメ。いいこちゃんの家、詐欺られてマジヤバなんだって。親が馬鹿だと子も馬鹿になるんだねぇ」 「……っ!」 両親を悪く言うな。 あの人たちは、ちょっと生きるのが不器用なだけなんだ。 殴られて朦朧とする中、私はリーダー格の金髪女を睨んだ。彼女はにやりと笑う。「そうそう、いいこちゃん。あんた今日で退学なんだって?」 「……それは」 「噂になってるよ。身内のじーさんに、借金のカタに売られるんだって? 今どきそんなのある? マジヤバいんだけど」 がっ、と髪をつかまれた。「つーわけで、あんたとも今日でお別れ。あたしらが企画したお別れ会、楽しかった? いいこちゃん、友達いなくてかわいそうだからね。今まで世話になったお礼よ」 「先生は……楓先生は、何て」 「あのオバサン? 何かいろいろ抗議してたみたいだけど、後の祭りよ。めっちゃ悔しそうな顔がウケたわ。規則なんて無視すりゃいいのに、真面目な奴らってホント馬鹿よね」 「先生……」 「世の中ね、馬鹿正直でクソ真面目な奴ほど損をするようにできてんの。その証拠にほら、誰もあ
Zuletzt aktualisiert : 2026-04-25 Mehr lesen