Semua Bab 宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――: Bab 21 - Bab 30

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第21話……アルデンヌ星系攻略戦

「……アルデンヌ方面攻略作戦は以上となります!」 ビデオチャットの会議にて、シェリオ伯爵の副官シオン少佐の説明を受けた。 蛮王様も参加しているので、私が二次元萌えだのヘガクサイだの言われることは無い。今の私はエールパ星系の主、蛮王ブルーと実質的に傭兵契約もしていたからだ。【アルデンヌ方面攻略艦隊】〇攻略部隊……マールボロ星系艦隊司令官・シェリオ伯爵戦力スコア:11200BP<内訳>・星間航行戦闘艦10隻・地上軍強襲揚陸艦8隻〇兵站部隊……エールパ星系艦隊司令官・蛮王ブルー(現場指揮はヘッツアー軍務卿)戦力スコア:1800BP<内訳>・星間航行戦闘艦3隻・大型輸送船6隻……そう、我々は前線配置では無かった。☆★☆★☆ アルデンヌ星系。 それはかなりの辺境地帯だった。 我がリーリヤ星系もかなりのド田舎だが、さらに輪をかけて辺境な独立星系である。 この星系に棲んでいるのは水棲魚人たち。ちなみにみな鰓呼吸である。 本来は中立星系なのだが、共和国軍がこの水棲魚人たちの自治政府に先月宣戦布告した。 これに伴い、我が帝国は自治政府の独立を守るための出兵となった。 ……何のことは無い、ただの大国の勢力争いなだけである。 共和国軍は星間航行戦闘艦8隻。 対する我が帝国軍は13隻であり、戦いは優勢に運ぶと思われた。☆★☆★☆ 帝国暦849年11月。 両軍はアルデンヌ星系外縁の小惑星帯にて遭遇。 なし崩し的に砲撃戦となった。 この戦いに際し、シェリオ伯爵は大包囲作戦を立てていた。 その作戦はある意味、壮大な芸術作品だった。 しかし、あまりの緻密な指示に、味方は大混乱する。「前衛はなにしているのだ?」「右翼は何をボサっとしている!?」「あ~つかえない奴らだな!!」 シェリオ伯爵は指令室で酷く苛立つ。 彼の立てた作戦は細かいガラス細工のように繊細だった。 よって、各艦長が生き物として当たり前に犯す小さなミスによって、戦線は連鎖的に崩壊していった。 緻密に組み立てられていた回線網は、味方の艦船同士の罵声がよく響く。 誰しも相手が全て悪いといった口調だった。 責任をなすり付け合う通信がとても酷い。 まさに真の敵は味方といった具合の内容だった。 開戦2時間後には、帝国軍は味方艦を盾にするように後退し始める。
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第22話……設計とスパルタ基礎練習

 先日の撤退戦の殿(しんがり)の功績で、私は少佐に昇進した。 捕虜になったシェリオ伯爵には、少し悪い気がするが。 実は昇進のメリットはあまりない。 帝国から支給される給料がわずかに増えたくらいだろうか。 もちろん、将官にまで昇進すれば話が違ってくるのだが。 なぜなら、この世界は宇宙船をもっていると階級関係なく社会的地位が高い。 それらを持つ勢力の貴重な戦力になるからだ。 しかもそれが、核融合炉エンジンの通常宇宙船ではなく、エルゴエンジン装備の星間航行宇宙船だと余計に社会的地位が高くなった。 新宇宙暦172年のグングニル共和国で起こった熱核戦争の結果、星間航行宇宙船とその技術の殆どが失われた。 よって、現在に一から建造できるのは、核融合炉型の通常宇宙船だけなのだ。 私の保有するハンニバルは、エルゴエンジンD-Ⅳ型を積載している立派な星間航行宇宙船だった。☆★☆★☆ 私は近所のコンビニで買ってきた缶コーヒーを飲んでいた。 今は現実世界の狭いアパートの自室だ。 ……落ち着く。 実はハンニバルの広い艦長室は落ち着かない。 自分には根っからの庶民のDNAが息づいていると自嘲する。 PCを開く。 先ほど、昇進にあまり益がないと考えたが、一つだけ違う部分がある。 佐官である少佐になったことで、乗れる艦の規制が一つ解除されていた。 尉官までだと、艦長になれる宇宙船の大きさは全長300mまで。 現在のハンニバルの全長は288m。 これが昇進により、全長が1000m未満にまで緩和されたのだ。 自室のPCで設計図を引く。 ……そう、ハンニバルを改装するのだ。 珍しく今回は資金もいくらか余裕があり、造船ドックの拡張工事をクリームヒルトさんに頼んであった。 兵器開発施設の建造もタヌキ軍曹に頼んである。 あとはハンニバルの設計だ。 ……悩む。 前回足りないと思ったのは、火力だった。 いくら防御力があっても、火力がないと押し切られる。 もし接弦されて、白兵戦になったとしたら、きっと負けるに違いない。 しかしながら、ハンニバルの売りである正面装甲は維持したい。 よって、正面装甲を弱める艦首内蔵型の長砲身主砲の搭載は、止めておくべきだろう。 そうすると、やはり主兵装は威力の抑え目な砲塔型になる。 ん、まてよ……。 側面はそこま
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第23話……衛星ガイアの開発

――帝国暦849年11月。 岩肌がむき出しの衛星アトラスに大気はないので、いつも空は星空だ。 最近はスモッグも問題だけど……。 クリームヒルトさんを残し、羊族の戦闘班長であるバフォメットさんとタヌキ軍曹と共に惑星リーリヤに向かう。 大気圏への降下中も、落下している感じを受けさせない重力発生システムは凄いといつも思う。 私はジェットコースターが大嫌いだからだ。 ちなみにこの小型宇宙船は、我がハンニバル開発公社が運営する、惑星リーリヤと衛星アトラスを結ぶ定期航路だ。 こう聞けばカッコイイが、絶賛赤字経営中である。 リアル社会のバス事業者さんとか本当に凄いと思う。「宇宙船の建造プラントが欲しいな……」 そのような蛮王様のご要請を受けて、惑星リーリヤに建造中の核融合宇宙船造船プラント。 帝国領内は概ね宇宙港が整備されているが、宇宙船の建造ドッグが備わっている惑星は少なかった。 よって慢性的に宇宙船が足りていない。 ちなみに惑星リーリヤは、自然エネルギーを愛する住民が多いため、核融合技術は低い。 しかも、この計画はあまり歓迎されていないようだった。 今回の造船プラント合弁会社は、ハンニバル開発公社は出資率を49%以下に抑えていた。 もとより、よそ者の新技術工場の進出は、なかなか感情的に受け入れてもらえない。 便利だからと押し付けると、たいてい政治的に失敗するだろう。 建造プラント自体よりも、住民への説明に多くの労力と時間を費やしたのだった。 港から響く槌の音が頼もしい。 人手も予算も潤沢にあるから、意外と早く完成するかもしれない……。 こののち惑星リーリヤは、ちょっとした造船景気に沸くことになる。☆★☆★☆ お昼になったので、タヌキ軍曹と羊戦闘班長を連れて、人気レストランを訪れる。 タヌキ軍曹にハンバーグパスタを食べさせる約束があったからだ。 食べ物の恨みで、戦場で部下に背後から襲われるわけにはいかない……。 運ばれてきたメニューは……。 タヌキ軍曹が、ハンバーグスパゲティー大盛り。 私が、エビフライ定食。――そして、羊戦闘班長は……、「天然ステーキ6人前、ご飯少なめはコチラでよろしいでしょうか?」 ウエートレスの女性が運んできたものは、高級ステーキ6人前。しかも天然の高級肘川牛の北部産と来た。さらにサラダ抜き…
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第24話……造船景気

 みゃあみゃあとカモメが鳴き、槌の音も勇ましい。 ここ惑星リーリヤの海岸水上型宇宙港は活況を呈していた。 カモメが狙う漁船が入港する海上船の港はとても大きく、実はそれに小さく間借りする形で宇宙港は存在している。 惑星リーリヤの漁業は一大産業だったからだ。 この世界の構造は、今の我々が考えるよりもずっと食料は貴重である。 干物や缶詰めなどの水産加工業も盛んだった。 のんびりと海を進むタグボートの後ろで、宇宙船建造ドックのいくつかは完成にこぎつけ、順次宇宙船の建造に着手していた。 カリバーン帝国政府は、先の敗戦の汚名をそそぐべく、宇宙船の増産体制を発していた。 しかし、折からの資源高騰で、造船計画は遅々として進まない。 更には軍の民間船徴用によって、民間産業の停滞を招き、より一層の宇宙船不足に悩まされていた。 これは多少の差こそあれ、グングニル共和国も同様である。 長く続く戦争により、文明のある全宇宙において、宇宙船はいくらあっても足らない状況だったのである。 半面、惑星リーリヤは近場の衛星アトラスより、ミスリル鋼などの資源を安価に手に入れていた。 それを伝え聞いた商人たちは、次々に惑星リーリヤへビジネスの為のオフィスを立ち上げていた。 造船産業が沢山の人に職を与え、その余波は他の産業にも波及し、惑星リーリヤは好景気を迎えていた。 惑星リーリヤの現状を見た帝国政府は、蛮王ブルーに侯爵の地位を授ける。 そして、エールパ星系の支配権も正式に与え、彼の感心を帝国に繋ぎとめようとした。 それに従い、惑星リーリヤの宇宙防衛艦隊の実質的な提督である私も中佐に昇進した。造船産業様さまである。戦働きだけが提督の仕事ではないのかもしれない……。 産業の躍進は、同時に犯罪も連れてきた。 ……大規模な宇宙海賊の出現だった。☆★☆★☆「ヴェロヴェマの旦那ぁ~」 惑星リーリヤの街中でラーメンを啜っていたら、星間ギルドの職員さんであるウォルフさんに話しかけられた。 最近は惑星リーリヤの星間ギルドの出張所が大きくなって、職員さんも100名以上いる。「なんでしょ? 急ぎの小惑星案件です?」 私は拉麺の器を両手で持ったまま、ナルトをくわえながら答えた。 実は私は【小惑星キラー】の二つ名を頂くほど、小惑星破壊の仕事に打ち込んでいた。きっと小さな小惑星だ
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第25話……宇宙海賊

「エネルギー中和粒子は観測されるのか?」「はい、僅かですが……」「ばかもんが! そんな不自然な小惑星があるわけないだろ!? 迎撃用意だ!」「り……、了解!」「各員戦闘配置!」「至急!第六・第七装甲パワードスーツ隊出動準備!」「順次妨害電波の放射急げ!」 ジャミングが徹底された中。全長3mほどの装甲パワードスーツを来た海賊たちが次々と宇宙空間に飛び出す。 遮蔽物のない宇宙空間では、対空砲や艦載機に弱い彼らだが、ここは小惑星地帯である。 艦砲の射線や艦載機の直進性は妨げられる。さらにここは彼らの庭のようなものだった。 討伐されないには理由があったのだ。 彼等の武装は肩に担いだロケットランチャー、又はチャージ・レーザーマシンガンであり、近接戦闘にとても優れていた。 小惑星帯の中に隠れながら、大きな岩のような怪しげな物体を密かに取り囲んだ。「いつものように、3機一体で敵の装甲の薄い部分を狙え!」「了解!」 巣穴に近づいた得物に、今まさに腹をすかせた兵隊アリの群れが襲わんとしていた。☆★☆★☆――二時間前。「総員警戒ポコ!」 タヌキ軍曹が警戒を発令する。 改装され大型化したハンニバルは、初めての任務に就いていた。 宇宙海賊の巣に近づくにあたって、ハンニバルは小惑星をくり抜いたものに身を隠して進んでいた。 小惑星の外殻自体にさほど防御力は期待できないが、隠蔽性を上げるには優れていたのだ。 敵索敵網に金属反応を与えず、目標の小惑星帯に侵入すること目指していた。――ズウシィィィイイ 雲霞の如く現れた敵の砲火を浴びて、大きな衝撃がハンニバルを襲う。「左舷後方に爆発!」「続いて右舷前方にも被弾!」「後部艦橋上方に被弾!」「接近を許すな! 反撃開始!!」「左舷ハッチ開放ポコ! 右舷ハッチも開放ポコ!」 タヌキ軍曹の指示に従い、ハンニバル側面の開閉式ハッチから、次々に大型ガトリンク・ビーム砲塔が顔を出す。 そして近接する敵に大量の重粒子弾をばら撒いた。――ドドド…… 低い射撃音が響く。 吐き出された重粒子弾は、装甲パワードスーツ装着者たちを次々に切り裂いていった。「近接用シャッターを開くポコ!!」 更にハンニバル側面に埋設されていた小型シャッターが次々に開く。そこからブタ族の砲手たちが操る小型のビーム・バルカン砲が
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第26話……エネルギー開発進捗セリ!?

――12月24日 これは現実の方の日付だ。 黄色い電飾と鈴の音が世間を賑わわす夜……。 ……虚しい。 これが何が虚しいかというと、お一人様であることがバレるのを恐れ、VRゲームの世界に飛び立てない自分が存在していた。 ……コンビニまで出かけると、寒そうな格好をした若い女性がケーキを売っていた。 なんだか買うと余計にみじめになりそうで、足早に帰途に就いた。☆★☆★☆「旦那様は最後ですからね!」 副官であるクリームヒルトさんにメッされる。 近所のスーパーで買ってきたイチゴを、私が3等分に分けたが、タヌキ軍曹殿と副官殿が選んでから私が選ぶのだ。 なにしろ、おいしいリンゴもおいしいイチゴも見分けがつく【羅針眼】の能力は凄い。 現実でも欲しい能力だ……。 ……きっと新鮮な魚の選別とかできそうだよね。 結局12月24日の夜は電脳世界の中で、3人で過ごした。 意外と虚しさを感じないのは、なんでなんだろうな。 むしろゲームの方が楽しい……。 コチラでは、既に年が明けていたが、わがままを言ってシャンペンも開けた。 記念のコルクはどこかへ飛んでいった。 ケーキも食べたし、悪いことは何一つなかった。☆★☆★☆「オムライスよりエネルギー注入開始!」「……0.1」「…………0.2」「エンジン内圧0.3%突破しました!」「シリンダーにアダマンタイト注入!」「注入しました! 内圧正常です!」「エンジン始動!!」「エンジン始動します!!」――ゴゴゴォォォ……。「エンジンかかったポコ~♪」「よかったですわ~♪」「ふぅ~」 実は、超巨大化したハンニバルは自分でエンジンがスタートできない。 外部のエネルギーが要るのだ。 巡行速度での燃費を節約して設計したら、始動時のトルクが足らない仕様になってしまった。 もし単艦でエンストでもしたら、宇宙のゴミとなって彷徨う運命だった……。「いつもメンドクサイにゃ~」 発進する用事があるときは、こうやってオムライスを呼ばないと駄目なのだ。 誘導する宇宙船が必要だったりと大仕事だ。「今度のボーナス弾んどくよ!」「いつでも任せるにゃ~♪」「寸志だけど……」「……にゃ?」 一旦動き出すと、艦の両側にある巨大なインテークに宇宙空間のダークエネルギーを取り込み、エンジンシリンダー内で燃料であ
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第27話……巨大アメーバ

「ゴホンゴホン……」 頭が重く、胸が苦しい。 どうやら風邪をひいてしまったようだ。『……おかゆができましたよ~♪』 ……嬉しい。「……」 ……。 ……どうやら熱でうなされ為の空耳だったようだ。 私はアパートで独り暮らしだった。 コンビニでおかゆを買い、家で温めて食べた。 そして、ゲームの世界へ戻った。 ……もどった!?☆★☆★☆「エンジン増速!」「エルゴエンジン第二戦速から、速度一杯へ!」「エンジン内圧臨界点突破!」「ワームホールへ進入せよ!」――ワームホール。 エネルギーの根源にて、時空の地平線への到達点。 ここを抜けるとはるか遠くへ行くことができる。 しかし、現実的な速度では異次元に吸い込まれたまま、抜け出せなくなる。 古代アヴァロン超文明遺産、インフレーション機関をもつエルゴエンジンの保有者だけが、このワームホールを抜けて遥か彼方の世界を旅することができた……。☆★☆★☆ ハンニバルはワームホール通過で距離と時間を短縮し、未開地域であるC-136方面に来ていた。 窓の外には神秘的な赤紫色をしたガス雲が漂っており、ハンニバルはエンジンパワーを絞って航行する。「奇麗ポコ~♪」「引火したら大爆発しちゃうけどね……」「危ないですわね」 世界には奇麗なものは多数あるが、それは猛毒を持ったクラゲだったりもする。 奇麗がイコール人間に優しいとは限らなかった。 ……ガス雲がかなり薄くなった頃合い。「左舷前方にエネルギー反応!」「警戒態勢!」「な……なんだあれは!?」「こ……怖いポコ??」 我々の前方に現れたのは直径8kmほどのアメーバ状の巨大生物だった。 透明な体の中に、各種器官や核も見える。「近づいてきますわ!」「迎撃ポコ!?」「いや、ガス雲が爆発すると危ないから逃げよう」「了解ポコ!」「短距離戦術跳躍準備ですわ!」「了解ポコ!」 しかし、ハンニバルが短距離跳躍に入るより先に、巨大アメーバが触手を伸ばして攻撃してきた。 鋭利な先端が、重力シールドを押しのけて突き刺さる。「左舷前方破損! 複合装甲3層まで貫通!」「第64ブロックを放棄しろ! 液体窒素注入急げ!」「再び触手来ます!!」「やむを得ん! 砲撃開始!」 ハンニバルの主砲塔が左に旋回、次々に高出力レーザービームを発射。
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第28話……別動隊現れる!

 装甲戦艦ハンニバルが未開宙域を彷徨っていた頃。 グングニル共和国艦隊が突如、カリバーン帝国との戦線のはるか後方のトブルク星域に現れた。 後方でのんびりとしていた帝国トブルク警備隊は、共和国の艦隊が現れるとトブルク星系を見捨てて逃走した。 背後から現れた敵艦隊に、帝国軍総司令部は大慌てになったのは言うまでもない。☆★☆★☆ 時間を遡ること5か月前。 未だハンニバルが宇宙海賊討伐に向かっていた頃。 共和国軍のバリバストル少将は、帝国との主戦線迂回作戦の任を受けていた。 主戦線迂回航路は、未開宙域であり危険であった。 ……にもかかわらず、少将に任されたのは二線級の旧型戦闘艦艇10隻と老朽輸送艦6隻という編成だった。 少将は上層部に不満を持ったが、無事に航路を開拓し、無事に会敵できた場合は援軍を貰えることを条件に進軍した。 少将は未知の危険宙域を急いだ。その予定航路はとても長大で、ハンニバルが後に請け負った予定航路の20倍の長さだった。 途中、ブラックホールや宇宙海獣に襲われ、戦闘艦は6隻に減じるものの見事に危険宙域を突破し、帝国領奥深くに出現した。 帝国軍の戦線は大崩壊の危機に見舞われていた……。【宙域予想図・カリバーン帝国総司令部作戦第二課作成】☆★☆★☆「星系警備隊は逃走した。抵抗せず降伏するなら攻撃はしない」「8時間以内に回答せよ! 回答時間を過ぎれば無差別爆撃も辞さない」 バリバストル少将はトブルク星系に侵入した後、星系政府に交戦規則に則り降伏を勧告した。 もはや、帝国軍警備隊もおらず、後方星系には防衛設備も備えてはいなかった。 少将の艦隊はとても疲弊しており、帝国の警備隊が一目散に逃亡してくれたことに助けられていた。 度重なる長距離跳躍の影響で、エネルギー残量はほぼ0といって過言では無かった。 ……あとはこの星系を前線基地にして、本国からの援軍を待つだけだった。――通告から6時間30分後。「……我々は降伏しない。最後の一兵まで戦う!」「馬鹿な!?」「気が狂ったか!?」 トブルク星系主星アーバン政府からの返信に、少将とその幕僚は驚いた。 帝国警備隊に見捨てられた星系が、共和国に降伏せず、徹底抗戦の姿勢を見せたのだ。 それは衛星軌道からの無差別爆撃にも屈しないという意思表示
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第29話……降伏と裏切り

「ふん、小賢しいわ! 対艦ミサイル発射、追い打ちを掛けろ!!」「了解!」「長射程ミサイル発射せよ!」 齢96を数えるシャルンホルスト中将率いる帝国地上軍の攻撃に、共和国艦隊は次第に敗色濃厚となっていた。 なにしろ、バリバストル少将の艦隊は物資が底をついていたのだ。エネルギー残量はもってあと4日というところだった。 あと4日で、この老将を倒さねばならなかった。 ……しかし、彼らは数奇な運命を辿ることになる。☆★☆★☆ 惑星アーバン帝国軍指令室。「なんだと? 総司令部はなんと言ってきただと!?」「いたずらに帝国人民を危険にさらしてはならない、降伏せよ。とのことです」 シャルンホルスト中将とその幕僚たちは苛立ちを隠さない。「馬鹿な!? 奴らのエネルギーは底を尽き掛けておるのだぞ!?」「……しかし、総司令部の命令に相違ありません!」 通信オペレータの言葉は残酷だった。――結局、その二時間後。 シャルンホルスト中将率いる帝国地上軍は、共和国軍バリバストル少将の艦隊に降伏を願い出た。 老将は名将である前に、命令に忠実な軍人であらねばならなかったのだ。 こうして、帝国奥地後方の星系トブルクは共和国の手に落ちた。 帝国軍は後背に敵を宿す形になってしまった。☆★☆★☆ 丁度そのころ、帝国皇帝アウグスト2世は宰相ホーウッド公爵の勧めで、前線視察に訪れていた。 表向きは前線の将兵を鼓舞するためだった。 しかし、皇帝座乗艦ヴォルフガングの内実は、巨大ダンスホールやオペラ劇場を内蔵する遊覧船だった。 皇帝アウグスト2世は妃に内緒で、最愛の愛人と共にこの船で行幸という名の旅行に来ていたのだ。 その後、皇帝座乗艦ヴォルフガングは忍び寄ってきた共和国軍の駆逐艦に、対艦ミサイル二発を受けて皇帝もろともあえなく爆沈してしまった。 帝国軍の前線主力が厚く布陣する後方での出来事に、内応者が疑われる案件だった。 背後関係はともあれ、共和国相手の戦いに苦戦中のときに、皇帝が敗死してしまったことは、帝国に大きな影を投げかけた。 この知らせを聞いた、共和国に隣接する帝国の地方有力貴族は、共和国に次々に降ってしまったのだ。 中には地方勢力とは言えない、帝国中枢に列する貴族の名前も含まれていた。 その名はホーウッド公爵。 帝国宰相である。「帝国と皇帝に
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第30話……女王アメーリア

「ヨウコソ、レオナルド神聖王国ヘ! ワタシハ女王アメ-リアデアル」 タコ星人の女王様から歓迎の言葉を受ける。 雰囲気から察するに、どうやら彼女は女王様というより、神に仕える巫女という存在に近いらしい。「……アナタニ頼ミガアル」「なんでしょう?」「我ガ国ハイズレ未知ナル強国ニ併呑サレル恐レガアル小国ジャ。ヨッテ富国ノ為、周辺諸国ヲ見テ回リタイノジャ」「はぁ……」「アナタノ船ニ乗セヨトイウコトジャ!」「ぇ!?」「嫌カノ? 褒美ハトラスゾ!」 この女王さまを載せると、この地に伝わる古代アヴァロンの遺産を頂けるとのことだった。 それが何かは判らなかったが、少しでもハンニバルを強化したい私には魅力的な条件に映った。「はぁ……、むさ苦しいところでよろしければ、あと安全は保障できませんよ?」「ウム、ヨキニハカラエ」 安全が保障できない点に、タコ星人たちは怪訝な顔をしたが、女王様は構わないといった感じだった。 結局、女王様を載せ、帝国領に帰還することとなった。 偵察任務により、新しい勢力を発見できたことは、帝国にとって重要な情報だったのだ。 帝国総司令部に簡易メッセージを送り、ハンニバルは出港準備を整える。 巨大なガス惑星を飛び立ち、ハンニバルは帝国に向けて、最初の長距離跳躍を開始した。 再び危険宙域に飛び込んだのだった。☆★☆★☆ カリバーン歴850年6月。 ハンニバルは通信環境が悪かった危険宙域から抜け出すと、皇帝の敗死やら宰相の裏切りについての情報が入ってきた。「……」「……」「ぽこぉ~」 戦略マップを見て唖然とした……。 帝国主星系アルバトロスでさえ、いまやホーウッド公爵自治領の中に組み込まれていたのだ。 カリバーン帝国政府は主星系アルバトロスを捨て、共和国から離れた地方星系24個の支持のもと、再起を図ることになった。 ちなみにこの中には、蛮王さまが治めるエールパ星系も入っていた。 アウグスト2世には、わずか4歳の娘しかおらず、その娘を皆で皇帝に即位させた。 しかし、それまでの帝国の支配体制とは違い、実際には24個の地方勢力の合意のもとに成り立つ連邦制国家の様相も示していた。 なにしろ、皇帝の下に24名の地方の有力者から成る帝国議会が制定されたのである。 純粋な帝政とは程遠くなった。 私が所属する帝国の軍
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