声を潜めて、ジッと様子を窺う。呼吸音すら今は煩わしい。 耳を澄ますと、足音が複数聞こえてくる。 誰かがいる? ここを探り当てた? 探り当てれるとしたら…あいつらしかいない。 だとしても、こんだけ建物が揺れるって事は……誰かと争ってる? 誰か?と考えるまでもない。 透馬達が争うとしたら佳織さん以外いない。 佳織さんを狙う理由は一つ―――姫さんの奪還、だ。 姫さんとやっとここまで来たんだ。 やっと姫さんを助ける道が見えて来た所なんや。邪魔されて堪るかっ。 姫さんは俺と一緒に生きたいと言ってくれたんや。 佳織さんには悪いが、頑張って貰わなあかん…。 あいつらかて、佳織さんの命までは奪わんやろうし…。 俺は争い音が止むまで、姫さんを抱えジッと息を潜めていた。 暫くして、争いの音は消えた。 佳織さんがあいつらに負ける筈はない。 ならもう少ししたら、外に出るか。 念の為に姫さんと会話をして置こう。 「姫さん」 (奏輔、お兄ちゃん……) 「姫さん?どうした?」 (ママ、が、いるの…) 「え?」 (目の前に、ママが、いるの…。ごめんなさい、って、ごめんねって、謝ってるの…) 「姫さん?意味が解らん。ちょっと落ち着け」 (どう言う事?どうしてママが謝るの?どうして?守れなかったって、どう言う意味?ママ?何処に行くの?どうして、私をそっちに引っ張るの?止めてっ) 「姫さんっ!?」 思わず出た声に、外の足音が反応した。 こちらへ足音が近づいてくる。 失敗した。声なんて出したら気付いてくれと言っている様なもんだ。 とは言え、姫さんと会話するには声を出すしかない。 ガチャッとドアノブが動き、ドアが開いた。 そこに立っていたのは俺の予想通りの人間で。 「やっと見つけたぞ、奏輔」 「佳織さんが匿ってるって解ってたけど、佳織さんがほんっと強くてさー。手こずっちゃったー」 手こずる…? 「ちょい待ちぃや…?透馬、大地。佳織さんをどうしたんや?」 二人は静かに俺から視線を逸らした。 言われずともそれが答えだった。 「……殺したんか?」 やはり二人は答えない。無言こそ答えだと言うのに…。 「お前ら、何考えてるんやっ!?」 つい声を荒げてしまう。二人がそんな事するとは思いたくない。だが俺の声に反応した二人の言葉は俺が望
Last Updated : 2026-05-14 Read more