登入現代日本風乙女ゲーム『輝け青春☆エイト学園高等部』通称『エイト学園』の世界に転生してしまった佐藤美鈴。男性恐怖症を持ちながらも何とか家族や友達、先生や後輩達に支えて貰いながら成長し高校もいざ卒業となり、乙女ゲームの時間が終わると思った、その時母親からある真実を知らされる。 美鈴は一つの道を選択した。けれど、もしその時の選択肢が違ったならば…。 この外伝は、美鈴が選ばなかったIF(もしも)のストーリーと結末である。 ※この物語は本編の最終章第三十話の続きから、他の攻略対象キャラクターを美鈴が選択した場合のifストーリーとなっております。
查看更多戻るよりは進む。 私達は前へと進んでいたけれど、それらしい部屋やパズルが出来そうな行き止まりはなかった。 ちょっと広めのスペースに出たので、私達は一旦足を止めた。休憩も大事だからね。 皆で床に座る。 『パズル部屋ないですね』 『それっぽいのは無かったねー』 『じゃあ、やっぱり聞いた通り、前のパズル部屋なのかしら?』 『…それはありえないと思うんだけど…』 さっきも説明した通りあの場でやれることって限りがあると思うの。 だけどねー。こうも見つからないとそう考えてしまうのも解る。 …が、戻るって選択肢の可能性はゼロに等しい。と言うか戻ったらそれこそパズル部屋に閉じ込められてさよならだと思うの。 あの球体の部屋なんてあの装置を止めない限り、水で満杯だと思うし。 …そう言えば、あの部屋って上の階にあるんだよね? 水で一杯になったら当然下の方に流れて……あー…気にしないでおこう。 例え人がいたとしても逃げてるよ、うん。 『でも白鳥さん。これから先に進んでも上に行くだけですよ?もし逃げるのだとしたら、最悪どこかで下に降りる必要がある』 そりゃそうだ。 上に逃げたって逃げ道はない。 逃げるなら何処かで絶対に地上に出なければいけない。 それは解ってるんだけど…。 『…もう少し進んでみようよ。そこで何もなければ、パズル部屋を通らずに下に行く方法を探してみよう』 私が言うと皆は頷いてくれた。 それにホッとしつつ、暫しの休憩を入れて私達はまた歩き出した。 一本道の廊下をただ黙々と進む。 段々と廊下は狭くなり、螺旋状になっている坂道と階段を登りだす。 何となくだけど、ここの道の最後にパズルがある気がする。 そんな私の勘は当たった。 恐らくこの建物の最上階。 密室の空間に辿り着いた。 周囲は案の定何もなく、天井には穴が開いている。きっと今までの流れと同じであればあそこから何かが落ちてくる。 落ちてくる…んだろうけど今回の天井は割と近いな。今までは結構高い位置にあったのに。 今度はなんだろ。ブロック、球体と来たら次は? この部屋を形成している壁には防水性は感じられない。普通の石の壁だ。 って事は水関係ではないってこと。かと言って天井のこの近さだとブロックでもなさそう。 …想像がつかない。 結構数多くパズルはやってきたと思う
どうにかこうにか。 『んーっ!』 最後アウローラさんを引っ張り上げて、私達はどうにか観戦室に戻ってくる事が出来た。 水も恐らく調度いい高さで止まってる。 後は、猪塚先輩だっ。 私は急いで猪塚先輩のいる叩き割った窓の方へと駆け寄る。 すると、猪塚先輩も流石でちょうどこっちに飛び移ろうとしている瞬間だった。 「猪塚先輩っ」 私が名を呼ぶと猪塚先輩は直ぐに気付いてくれて観戦室に跳んできた。 『猪塚先輩っ。良かった、無事でっ』 『それはこっちのセリフですっ。白鳥さんこそ無事で良かった…』 手を伸ばそうとしたけど、流石の身体能力できっちり着地してくれる。 『どこも怪我はありませんか?』 『それはこっちのセリフだよ。何処も怪我してない?かぶれたりは?』 緑色の球体が色んな意味で危険そうだったから問うと、大丈夫だとハッキリ答えてくれた。 ホッと一安心。 さて、色々事情を知るにもまずはここから出ないと。 『マリアさん。ここから出るにはどうすればいいか解りますか?』 『この部屋からと言う意味なら、そちらから』 言って指さしたのは奥のドア。 『だけど』 『だけど?』 『この建物から出ると言う意味ならば、反対です』 言いながら指さしたのは、恐らく私を攫って来た時に入って来たドア。 『でもそっちは』 『白鳥総帥が以前やったブロックが落ちてくる場所、ありますよね?』 『うん』 『そちらの部屋をステージ10までクリアしたら脱出経路が現れます』 『それって…』 本当なの? と出かかった言葉を飲みこんだ。 マリアさんの目は真剣で嘘を言っている様には見えないからだ。 となると、騙されている可能性がある。 だって、あそこ手動でやってたんだよ? それをステージ10までって、下でゲームしてる人間も上でブロックを落としている人間も疲労困憊で死んでしまう。 『白鳥さん。彼女は何て?』 『あ、あぁ、そうか。あのね?』 マリアさんの言葉を私は猪塚先輩にイタリア語で通訳する。 良く考えたら他の三人も解らないか。 三人にも通訳するように声を少し大きめにして通訳すると、三人が首を傾げた。 『私が聞いたのと違うわ』 『私も』 『私も違う』 『…どゆこと?』 もっと情報を交換する必要がありそうだ。 『……女性が五人か。守り切れるか?
穴を華麗に落ちて、ほい着地っ。 さて、お姉様方はっと。 視線を巡らせて、あ、いた。 私はゆっくりと歩いて座りこんで泣いているお姉様方に近寄った。 『やっぱり無理なのよ』 『私達にはこんなこと』 『お姉さん達。落ち込んでいる所悪いんだけど、ここにいると危ないよ?』 と注意しつつ私は唯一言葉が通じていないスペイン人のお姉さんの手を取ってその場を離れた。 多分意味は理解していないけど、残り三人のお姉さんも私と同じ方向に逃げて来た。 途端に天井から黄色と赤の球体がくっ付いて落ちてくる。 ずもんっ。 …ゲームの時の音はもう少し軽い音だった気がするんだけどなぁ。 やっぱり質量の都合上こうなるのかー。 『な、なんでっ…』 『なんでって、何が?』 『私達がこんな目に…』 『……うん。今そんな事言ってる余裕はないんじゃない?』 私はお姉様達を自分の背に庇い、次に落ちて来た緑と黄色の球体を蹴り飛ばし、黄色の球体と黄色の球体をくっつけた。 これは、もしかしなくても結構きつい奴だぞー? でも猪塚先輩だって頑張ってるんだから。 私が音を上げる訳にはいかないよね。 次に落ちて来たのは黄色と赤の球体。 黄色を少し角度を変えて蹴り飛ばして、最初に落ちて来た黄色と赤の球体が同時にくっつくようにする。 すると黄色の球体が消えて、赤と赤の球体がくっつく。 そして、私達がいる所の反対から。 『うわぁっ!?』 猪塚先輩の驚く声が聞こえた。 やっぱりね。対戦モードになってるんだ。 一体どんな変化が出たんだろう? 通常あの有名パズルゲームならば、お邪魔なぷよっとした物が落ちてくるんだけど。 もしそれが落ちて来たならば、上手い事回避してそれを踏み台にして、あの観戦場所まで退避出来るかなって思ってたんだけど。 …違う可能性もある。 ……猪塚先輩が一つ消すのを待ってみるか。 私は落ちてくる球体を2つまでくっつけて3つにならないように調整しつつ、猪塚先輩が球体を消すのを待った。 数分その状態で待機を続けていると、唐突に落ちてくる球体が四角いブロック状態に変化して落下して来た。 ズドンッ。 床凹むんじゃない?とまじまじと見たくなるくらいの音だった。 近寄って触って見る。固い。完全に石だ、これ。触っても熱くも冷たくもない。 叩くとコンコンと音もす
「お茶、のみ、まスか?」 『いえ、結構ですよ。それに無理に日本語で話さなくても私イタリア語話せますよ』 「……?」 あれ?私を担いでここに駆け込んだお姉さんが首を傾げてるよ? 私イタリア語使い方間違ってたかな?それとももしかしてお姉さんイタリア語話せない? 『イタリア語で大丈夫、だそうよ?』 もう一人のお姉さんが通訳してくれた。通訳してくれた言葉はスペイン語? 成程。お姉さんはスペインの人なんだね。 『スペイン語の方が良いですか?』 にっこり笑って言うと、 『『えっ!?』』 二人のお姉さんが振り返った。 『それからお茶は今はいりません。お水を飲んだので。そんな事よりも、何故私はここに連れて来られたのでしょう?』 にっこり再び。 笑顔で圧。 『えっと…?』 おう、スペイン語だけだと周りに伝わらないね。 私は座らされた椅子で姿勢を正して、周囲をぐるっと見回した。 全員で四人。一人リーダーっぽいブラウンのウェーブ髪を一纏めにしたボンキュッボンのお姉さん。 一人は私を担いだ黒髪ショートのスペイン語を話すお姉さん。 もう一人は、金色ストレート髪の細身のお姉さん。 そして最後に赤茶の腰まである髪を一本の三つ編みにしてる身長がちょっと低めのお姉さん。 以上の四人。皆共通して黒スーツに黒ネクタイ、黒手袋とSPを彷彿とさせる恰好をしている。黒のパンプスで走れる技術、凄いよね。 でもね。 私もね。こう…総帥生活も結構長い事してきて、しかも前世からこっち襲われる回数の方が普通に過ごす日数より多いんじゃないか?と言う生活を送ってきた身としてはね? 『…もう一度問いましょうか。何故、私はここに連れて来られたのでしょう?』 イタリア語でハッキリと。 にっこりと微笑みながら問う。 笑顔で圧っ! 棗お兄ちゃんの得意技っ!どやっ!! …鴇お兄ちゃんもやってるか。葵お兄ちゃんもしてる?…棗お兄ちゃんの得意技改め白鳥家の秘奥義っ!!どやっ!! 『……お答えしかねます』 おや?リーダーなお姉さんが、圧返ししてきたぞ? ふふふ…でも弱い弱い。私に圧返ししたいのであればママ位の迫力を持ってこないと。 『お答しかねます、かぁ…。私にはそれを知る権利もない、と?』 『……』 『……舐められたものだわ。私を白鳥の総帥と知った上で、貴女方の上司
それから、襲撃のある8日まで。私は、一日一回はあえて外出し、買い物をするようにした。と言うのも、お兄ちゃん達が、遭遇すると言う形を作りたいと言ったからだ。ゲームにより近づける為なんだって。私としてはお兄ちゃん達だけ危険な目に合わせるつもりは毛頭なかったから、即頷いた。むしろ一日一回で良いのかと聞き返してしまった位だ。けど余計なことをしてもまたお兄ちゃん達の計画を崩すだけだよねとちゃんと思い止まった。買い物をして、華菜ちゃんの家に帰って、華菜ちゃんのご家族の代わりにご飯を作って、パソコンを借りて一日分の仕事をして。これを数日繰り返した。…私、本当にこれでいいのかなぁ…?ちょっと不安に
「…美鈴?」声が聞こえて目を開くと、ママのドアップ。「美鈴。何をぼんやりしているの?早くその本を持って廊下に出てみなさい」そしてまたこのセリフ。私の手にはセーブの本。流石に二度も同じ事があれば、夢でも幻でもないって理解出来る。いや、元々夢の可能性は大分低かったんだけどね。そしてもう一つ、夢を否定するに思い至る理由がある。ここに、いつもママのドアップがあるこの時に戻る理由。こんな事現実的じゃないと思って、つい思考から排除してたんだけど…。でも…もう、そうとしか考えられない。私はやはり『手に持っていた』本を開いた。そこに書いてある文字は、私の文字。『ハートの意味が解らない。
私の視界は真っ暗闇の中。 ふっ。私を舐めないで貰いたいわねっ。 毎度毎度この真っ暗闇を見ていたら、もう分かるもんねっ! ズバリ、私は気を失っているっ!どやぁっ! ……。 ………。 ……………しくしくしく。全くもって威張れたことじゃないのよぅ…しくしくしく。 何で私はまた意識を失ってるのー…。 えっと…、私は何でこうなってるんだっけ?気を失う前は確か…。 確か私は旭と一緒に買い物した帰りに、旭に扮した表門の人に刺されてー…はて? そこから記憶がないと言う事は、私はあそこで気を失ったって事だよね? んで、今現在意識がない、と。そう言う事だよね? でも
※ このお話は本編である『乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも私、男性恐怖症なんですけど…』の三十話から続くお話です。まだ本編をお読みで無い方はまずは本編からお楽しみください。「姫。この鎖主体のデザインと、薔薇主体のデザイン、どっちが可愛いと思う?」「んー…、私としては薔薇の方が可愛いと思うんだけどー…、遠目から見てどっちが可愛いと思う?大地お兄ちゃん」「鎖デザインのネックレスと、薔薇デザインのブレスレットー。成程。姫ちゃんが一番可愛いー」「俺もそう思う。姫さんが一番可愛い」「確かに。姫が一番可愛いな」「ちょ、ちょっと三人共っ、デザインの話でしょーっ。私は関係ないでしょーっ。