INICIAR SESIÓN現代日本風乙女ゲーム『輝け青春☆エイト学園高等部』通称『エイト学園』の世界に転生してしまった佐藤美鈴。男性恐怖症を持ちながらも何とか家族や友達、先生や後輩達に支えて貰いながら成長し高校もいざ卒業となり、乙女ゲームの時間が終わると思った、その時母親からある真実を知らされる。 美鈴は一つの道を選択した。けれど、もしその時の選択肢が違ったならば…。 この外伝は、美鈴が選ばなかったIF(もしも)のストーリーと結末である。 ※この物語は本編の最終章第三十話の続きから、他の攻略対象キャラクターを美鈴が選択した場合のifストーリーとなっております。
Ver más「………はぁ~…」ヤバい。「………はぁ~ん…」ヤバ過ぎる。可愛い。 どのアングルから見ても。 どんな事をしていても。 「僕の奥さんが可愛くて死ねるっ!!」 「社長。仕事しろや」 秘書に言われて、眺めていたスマホの待ち受けを片手に、僕はノートパソコンを開いた。 だけどさ。 開いては見たけどさ。 やる気は全くおきない。 だって、今は出張中の車の中で、僕は奥さんと会えない。 一秒だって離れていたくないのに、そんな奥さんと離されてしかも仕事? 「いや、無理です」 「無理じゃねーです。やれ。でないと」 言いながら秘書が取りだしたのがスマホ。 しかも、しかも。ディスプレイに出てるのは僕の愛おしい恋しい奥さんの名前。 「仕事しなくて困ってるので離婚して下さいと奥様に伝えるぞ」 「ヒィィィィッ!?何て恐ろしい事をっ!!わ、分かったっ!!やるっ!!やるからっ!!」 宣言して、僕はキーボードの上で指を高速タイプした。 「…もしも、私が持ってるこの決済待ちデータUSB10本分を午前中に終わらせる事が出来たらご褒美をやろう」 「ご褒美?」 「あぁ。私が社長の半休をどうにか調節して作ってやろうじゃないか」 「えっ!?えっ!?じゃあ、もしかしてっ」 「奥様に会いに行かれるのも、遊びに行かれるのも、どうぞご自由に」 「や、やるっ!!絶対に仕上げるっ!!」 集中すれば決済の山の一つや二つっ!! 鬼秘書である従兄弟に言われ、僕は死ぬ気で仕事をした。そして僕は当然、休みをっ!!―――とれなかった。いや、だから無理なんだって。 あの量をこなせるのは優秀な、それこそ僕の奥さんだったりその身内だったり樹先輩みたいな色んな意味でおかしな脳みそを持っている人達だからであって。 凡人には無理なんだって。 仕事は終わらず、僕は盛大に落ち込みつつ仕事に臨んだ。 うぅ…会いたい…。 出張先のホテルに辿り着いて、チェックインを済ませて僕はまた直ぐに車に乗りこむ。 余所の社長との会食を終わらせて、車に乗りこんでまた仕事をこなして。 一先ず秘書が言った分を終わらせたのが夕方で。 これじゃあ今から帰っても奥さんと過ごすなんて夢のまた夢。泣きたい。 「で?どうする?飯食うなら予約するが?」 「いい。ホテルの部屋で美鈴さんに電話する。せめて顔を見
「と言う訳で、ぜーんぜん乙女ゲームらしき所はなかったんだよね」 出掛ける準備をしていた私をとっ捕まえたママに、「何事もなく出掛ける前に、どうして『そう』なったのか、きちんと説明なさいっ」と怒られたので、自室で今までの流れを説明していた私なのです。 「乙女ゲームっぽい所って言うと、滅茶苦茶やらされた立体パズルゲームくらいで」 「…正直、…美鈴達があんな目に合わされた場所でなければ。私もやりたかったわ」 「うんうん。だよね。命の危険とか危なさがないのなら私ももう一度やりたいわ」 二人向かい合って腕を組んで頷く。 「じゃあやっぱり私の予想通り、猪塚くんが一番美鈴を安全にラストまで導いてくれたのね」 「安全、とは言い難い気もするけど。でもそうかもしれないね」 「美鈴の命の危険は限りなく低かったと思うわ」 「鰐に食べられそうになっても?」 「鰐は両生類だから大丈夫よ」 「…確かに」 再び頷き合う。突っ込みは現在不在です。 「それで?」 「ふみ?」 「一番重要なのはここよ。猪塚くんのこと好きなの?」 「………好き、は好きなんだけど…」 ううーん…? 「そう言う意味で好きか、と聞かれると、首を360度捻りたくなるなぁ」 「一回転する位なら捻らないでよろしい。だけど、美鈴?」 「んー?」 「その割には、猪塚くんと結婚関係を続けているし、猪塚くんに抱き付いたり出来る様になっているし、男性恐怖症、だいぶ克服してるんじゃない?」 「それがねー」 男性恐怖症。 私も猪塚先輩に震えなくなったからもしかしてと思って、仕事中に男性だけの部署に足を向けてみたんだけど、入れなかったんだよね。足が震えて。 だから男性恐怖症を克服した訳じゃないみたい。 「猪塚先輩に『慣れた』が正しいのかも」 「慣れた、ねぇ。本当にそれ、惚れた、じゃないの?」 「うーん…解んない。カッコいいって思った事が無い訳じゃないんだけど、猪塚先輩に関しては何でだろう?カッコいいより面白いなぁって」 「面白い?」 「うん。面白い。だってさ。出会った当初はすっごい押せ押せで流石に怖くて怖くて堪らなかったんだけど。段々、だんだん…」 「だんだん?」 あれ?ママがとても期待に満ちた目を向けてきた。 これは、応えなければっ! 「ギャグキャラに見えてきたのっ!」 「そ
皆無事で本当に良かった。 棗お兄ちゃんの話を聞くとますますそう思う。 ハイジャックに遭ったのに棗お兄ちゃんがケロッとしてるのをみると本当心底そう思う。色んな意味で皆無事で良かった。うん。 …ぎゅー。 所で、聞いて下さい。 私さっきから猪塚先輩に抱き付いているのですが。 私、猪塚先輩に触れても震えなくなりました。あれー? あの場所を脱出するまでは震えてた…?うん?ちょっと待ってね?記憶を辿るに…その前にもう震えなくなってた? 最後のパズル解いている辺りかもしれない。震えなくなったの。 …何でだろ?慣れたのかな? ぎゅー。 「……鈴。そろそろ猪塚に同情したくなるから止めてあげて」 「ふみ?」 …猪塚先輩の顔が真っ赤っ赤。 そんなに力を込め過ぎただろうか? 緩めたらいい? 腕から力を抜いて…あれ? ひょいっと棗お兄ちゃんに持ちあげられてしまった。 「ほら。猪塚。ご褒美貰ったんだから、そろそろ動きなよ」 「……はっ!?」 棗お兄ちゃんの肩に担がれてたから良く見えないんだけど、猪塚先輩が我に返ったらしい。 もぞもぞと動いて振り返ると、慌てて動き爺に詰め寄る猪塚先輩の姿があった。 あ、そうだ。忘れない内に。 「棗お兄ちゃん。電話貸してー」 「良いけど、どうしたの?」 「華菜ちゃんにお姉様方の身内を助ける為の人員を割いて貰わないと」 「?、良く解らないけど花崎さんに連絡するんだね」 スマホを素早く操作して電話を繋いでくれた。 感謝して華菜ちゃんにお姉様方の現状を説明すると直ぐに人を回すと言ってくれた。 金山さん辺りに連絡をして直ぐに動いてくれるだろう。 これでこっちは安心。 さてさて。猪塚先輩の方は、と。 『要っ、無事で良かったっ』 『それはこっちのセリフだよ、お祖父ちゃんっ』 『なんじゃと?』 『どうして、白鳥さんにあんなことしたのさっ!』 ダンッ! 盛大に机を叩くが、流石猪塚先輩の祖父ちゃん。動じない。 『可愛い孫が魔性の女に騙されているのを黙って見ていられるかっ!』 『騙されってっ、確かに白鳥さんの可愛さと綺麗さと美しさに常に心奪われて騙されても本望だと思ってはいるけどっ!でもそれとこれとは話が別だよっ!』 …猪塚先輩。私、素直に恥ずかしいんだけど…。 『一つ言っておくけどっ。白鳥さんは白鳥
「それはそれとして、棗お兄ちゃんっ!会いたかった!」 「鈴っ」 ポイッ! 「ふごっ!?」 あっさり棗先輩に捨てられた。 いや、まぁ、白鳥さんの方が大事なのは当然だけども。 「棗お兄ちゃんだぁー…癒しぃ…」 それは、それとしてっ!額をぐりぐりと棗先輩の胸に押し付けてる白鳥さん可愛いっ! 可愛い白鳥さんをずっと見ていたいけど、ずっとずーっと見てたいけど。 今はそれよりもやる事がある。 むくりと体を起こして、実は痛む体に鞭を打って立ち上がる。 投げられて痛い訳じゃないからね? 鰐に食われたから痛いんです。 「……?」 あれ? 急に体が重く…? しかもお腹の辺りが暖かい? 「……無事で、良かったっ」 「………え?」 ………え? 脳内と思わず出た言葉が同じになった。 ちょっと脳内の理解が追い付かない。 え?待って? もしかして、もしかすると…僕、白鳥さんに抱き付かれてる?棗先輩から離れて?白鳥さんが?え?嘘? 「ごめんね、猪塚先輩。助けるって言ったのに、全然動けなくて」 『い、いや、そそそそんなことないですっ!』 ぎゅっと白鳥さんの手が僕のお腹をきつく握った。 背後から抱きしめられてるんだけど、ふわっと白鳥さんの良い香りが…。 「……猪塚?」 棗先輩の殺気が合わさって、嬉しいと怖いが仲良く僕の脳内で殴り合っている…。 「でも、どうして?私、かなり最短ルートでここに来たつもりだったんだけど。先輩には悪いんだけど、あの爺全く動かないし。孫が可愛いとか嘘でしょ?としか思えなかったし」 「それは僕から説明しようか?鈴」 「棗お兄ちゃん?」 背中に感じた温もりが消えて、何故か僕は棗先輩にまた放り捨てられた。 「まずは僕がイタリアに飛んだ所から話は始まるんだけど」 「うん」 棗先輩は白鳥さんに説明を始めた。 僕もその概要は鰐の口の中で聞いた。 何でそんな所でって? だってそこで棗先輩と合ったから。あの後。 僕は石を二つ持ち、鰐の口の中に突入して、石を発動させた。 正直その後の事は何も考えていなかった。 ただ、白鳥さんを助ける事が出来ればそれでと。 口の中は真っ暗で何か見える訳でもなく。 とは言え、僕が座っている所がぬるぬるとしているから舌の上にいるんだろうなって事は解る。 そもそもこんな大きい鰐
それから、襲撃のある8日まで。私は、一日一回はあえて外出し、買い物をするようにした。と言うのも、お兄ちゃん達が、遭遇すると言う形を作りたいと言ったからだ。ゲームにより近づける為なんだって。私としてはお兄ちゃん達だけ危険な目に合わせるつもりは毛頭なかったから、即頷いた。むしろ一日一回で良いのかと聞き返してしまった位だ。けど余計なことをしてもまたお兄ちゃん達の計画を崩すだけだよねとちゃんと思い止まった。買い物をして、華菜ちゃんの家に帰って、華菜ちゃんのご家族の代わりにご飯を作って、パソコンを借りて一日分の仕事をして。これを数日繰り返した。…私、本当にこれでいいのかなぁ…?ちょっと不安に
「…美鈴?」声が聞こえて目を開くと、ママのドアップ。「美鈴。何をぼんやりしているの?早くその本を持って廊下に出てみなさい」そしてまたこのセリフ。私の手にはセーブの本。流石に二度も同じ事があれば、夢でも幻でもないって理解出来る。いや、元々夢の可能性は大分低かったんだけどね。そしてもう一つ、夢を否定するに思い至る理由がある。ここに、いつもママのドアップがあるこの時に戻る理由。こんな事現実的じゃないと思って、つい思考から排除してたんだけど…。でも…もう、そうとしか考えられない。私はやはり『手に持っていた』本を開いた。そこに書いてある文字は、私の文字。『ハートの意味が解らない。
私の視界は真っ暗闇の中。 ふっ。私を舐めないで貰いたいわねっ。 毎度毎度この真っ暗闇を見ていたら、もう分かるもんねっ! ズバリ、私は気を失っているっ!どやぁっ! ……。 ………。 ……………しくしくしく。全くもって威張れたことじゃないのよぅ…しくしくしく。 何で私はまた意識を失ってるのー…。 えっと…、私は何でこうなってるんだっけ?気を失う前は確か…。 確か私は旭と一緒に買い物した帰りに、旭に扮した表門の人に刺されてー…はて? そこから記憶がないと言う事は、私はあそこで気を失ったって事だよね? んで、今現在意識がない、と。そう言う事だよね? でも
※ このお話は本編である『乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも私、男性恐怖症なんですけど…』の三十話から続くお話です。まだ本編をお読みで無い方はまずは本編からお楽しみください。「姫。この鎖主体のデザインと、薔薇主体のデザイン、どっちが可愛いと思う?」「んー…、私としては薔薇の方が可愛いと思うんだけどー…、遠目から見てどっちが可愛いと思う?大地お兄ちゃん」「鎖デザインのネックレスと、薔薇デザインのブレスレットー。成程。姫ちゃんが一番可愛いー」「俺もそう思う。姫さんが一番可愛い」「確かに。姫が一番可愛いな」「ちょ、ちょっと三人共っ、デザインの話でしょーっ。私は関係ないでしょーっ。