マネージャーと名乗った彼女に追い出されて、私は雨の中、行く宛ても無く彷徨っていた。 もうこの世界で蓮しか居場所がなかった私は、捨てられた子猫のように震えながら歩くことしか出来ない。 これからどうしようか? ぼーっとした頭で考えながら、歩く。 蓮に助けられた時のように、体が芯から凍え、髪からはぽたぽたと雫が落ちる。 頬から伝っているのが涙なのか、雨の雫なのか。 それすらも分からなくなっていた。 あれからどのくらい歩いているのだろうか。 足に力も入りずらくなり、私はとうとう道端に座り込んでしまった。 人形でもいいから蓮の元へ帰りたい。 でも。 マネージャーから言われた言葉が頭の中で反響する。 私がいたら、蓮は夢であった人気俳優という仕事を捨ててしまうかもしれない。 図書室で話していた日々が思い浮かぶ。 『いつかまた、俳優として陽の目を浴びたいんだ』 寂しそうに語っていた幼さを残す蓮の姿が脳裏にこびり付く。 あの頃の蓮が、私はとにかく好きだった。 夢を追いかけ、悩み、努力していた蓮が、本当に大好きだった。 今の蓮には、その頃の面影は何一つとして残ってはいない。 輝いていて、誰もが羨む人気俳優。 でも、あの頃と違って瞳の中には闇しか見えなくなっていた。 そんな事を思いながら、私は小さく蹲る。 道行く人々は、私を見てヒソヒソと話しながら見なかったものとして通り過ぎていく。 このまま誰も知らずに私は消えていくのだろうか。 何もかも諦めた時だった。 「紬?」 蓮よりも低く、少しかすれたハスキーな声が私の名を呼んだ。 顔を上げると、そこにはとても驚いた表情をしたガタイのいい、褐色肌の男性が立っていた。 私はその人物を深く知っている。 「……陽」 幼い頃からずっと一緒に育ってきた、私の初恋の男の子。 「おまっ、大丈夫か!? ︎︎立てる? ︎︎とりあえず、俺の背中に乗れ!」 傘を放り出し、陽は慌てて私を背負う。 自分も雨に濡れてしまうというのに、そんな事お構いなしで陽は走り出す。 蓮よりも大きく逞しい背中に身を預けながら、太陽のような暖かい匂いに、私は激しく安堵した。 心地よい揺れと暖かさに、私はそのまま瞳を閉じる。 そして、そのまま
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