俊行が結婚式場から逃げ出したと聞いた時、私はすでにイタリアへ来て3日目だった。時差ボケがようやく落ち着いた頃、母から電話がかかってきて、一連の騒動を延々と聞かされた。継父も小林家も激怒したそうだ。若葉は泣き崩れて失神し、そのまま病院へ運ばれたらしい。それでも俊行は、自分が何をしに行ったのか、最後まで口を割らなかった。そして最後に、母はおそるおそる尋ねてきた。「思乃……あなたが海外へ行った途端、俊行が結婚式から逃げたでしょう?もしかして、あなたのこと……」私は一瞬だけ固まったが、すぐに笑って否定した。「きっと別の事情があったのでしょう。俊行が、私のために逃婚するなんてあり得ないわ」母は安心したように息をつき、その後は別の話題へ移っていった。電話を終える頃には、もう深夜になっていた。そろそろ寝ようとした時、続けて一本の電話が鳴った。俊行だ。出るべきか迷った。あの手紙の中に、伝えたいことは全部書き残してきた。それでも、母がまだ神原家にいることを思うと、私は最終的に通話ボタンを押した。「思乃、誰の許可を得て勝手に海外なんかに行きやがった!? 家で大人しく待ってろって、そう言っただろ!」俊行の声は非常にかすれていて、まるで二日酔いからようやく目覚めたばかりのようだった。私はスマホを握る手に力を込めながら、静かに答えた。「これは元々、私の夢だったの。あなたは若葉と結婚する。私は愛人にはならない。海外へ行くことは、私たち三人にとって一番いい選択よ」電話の向こうで、何かが激しく倒れる音がした。続いて、俊行が歯を食いしばるように言った。「全部、嘘だって言ってるだろ!俺の恋人はお前なんだ!」私は思わずふっと吹き出した。こんな時になっても、俊行がまだ三文芝居を続けるつもりらしい。仮面を長く被りすぎると、自分の本当の顔まで忘れてしまったのかもしれない。もし真実を知らなかったなら、彼の言葉を聞いて、本当に深く愛されていると勘違いしただろう。「あなたが私と付き合ったのは、最初から私のお母さんに復讐するためだった。そうでしょう?」長い沈黙が流れた。そしてようやく、俊行の苦しげな声が聞こえた。「し……知ってたのか」もしかしたら、21日間で習慣が変わるという言葉は本当なのかもし
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