神原俊行(かんばら としゆき)の誕生日パーティーで、私・蘇我思乃(そが しの)は彼に隣の人気のない個室へ連れて行かれた。焼けつくような吐息とともに、貪るようなキスが降ってくる。ドアの外からは、かすかに見知らぬ人たちの話し声が聞こえていた。私は恥ずかしさで顔を真っ赤にし、覆いかぶさってくる彼を押し返そうとした。だが、彼に両手首を掴まれ、頭上に押さえつけられて動けなくなった。「思乃、拒まないで。頼むから」いつも冷静な彼の声に、少し甘えるような響きが混じっていて、それだけで私は心が揺らいでしまった。私はおとなしく彼の首元に腕を回した。けれど、熱い掌がスカートの裾から少しずつ上へ這い上がってきて、身体が震えた瞬間、私は我に返った。息を乱しながら、さらに先へ進もうとする俊行の手を掴む。「こんなところじゃ……だ、だめ」俊行はかすれた声で誘惑するように囁いた。「誰も入ってこないよ」私は彼の、人を惑わすような瞳を見る勇気がなくて顔を背けた。見つめたら、きっと断れなくなってしまうから。「だめ。お母さんが帰りを待ってるの」俊行の身体が一瞬固まり、それから丁寧に、外されたボタンを一つずつ留め直してくれた。「こっちはまだ終わりそうにないから、先に運転手に送らせる。家に着いたら連絡して」彼の失望した様子に気づき、私は唇を噛みしめながら、蚊の鳴くような声で呟いた。「よ、夜……帰ってくるの待ってる。今日急いで出てきたから、プレゼントを寝室に置き忘れちゃって……」俊行の動きがぴたりと止まり、目にからかうような笑みが浮かんだ。「思乃が用意したプレゼント、当ててみようか。まさか……お前自身?」付き合ってもう5年になるというのに、彼のこんな大胆な言葉には、私は今でも顔が真っ赤になるほど恥ずかしくなってしまう。私は慌てて乱れたスカートを整え、「帰ってきたらわかるよ」とだけ言い残して、逃げるように個室を飛び出した。背後から俊行の低い笑い声が聞こえた。私は思わず足を速めた。初春の夜はまだ少し肌寒く、クラブの外で冷たい風に吹かれてようやく激しく高鳴っていた心臓が落ち着いていった。あのプレゼントを思い出すと、胸に甘い気持ちが込み上げた。俊行が今夜それを見た時、どんな顔をするだろうと期待していた。車に乗り込み
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