モレッティの名は燃え落ちた のすべてのチャプター: チャプター 11

11 チャプター

第11話

ロレンツォは、まるで私が結局は折れるとでも思っているみたいな顔で、黙ってこちらを見ていた。でも、そんなことはなかった。「ロレンツォ」私は静かに言う。「それを愛だなんて呼ばないで」彼の表情がわずかに動く。「あなたは、自分の所有物を失うのが嫌なだけ。自分の思い通りにならなくなるのが耐えられないだけよ」ロレンツォの顎がぴくりと強張った。「謝れば許されると思ってた? 追いかければ、また昔みたいに私が待ってるって?」私は小さく首を振る。「もう、あの頃には戻れない」声は驚くほど落ち着いていた。「戻る気もないし、気持ちが変わることもないわ」ロレンツォは何かを堪えるみたいに息を吐いた。「そんな簡単に俺から離れられると思うな」その言い方が、少し可笑しかった。「じゃあ見てて」そう返した頃には、クラブの支配人が警備を連れてこちらへ向かってきていた。私はロレンツォから目を逸らさないまま言う。「ここで終わりにして。じゃないと警察を呼ぶわ」彼は動かなかった。だから私は支配人へ向き直る。「お願いします」ここはナポリじゃない。ロレンツォが一言で全部揉み消せる場所ではなかった。警察が来て、防犯カメラの映像を確認して、そこでようやく騒ぎは収まった。拘束された時間は長くなかったけれど、口元に血を滲ませたまま連れて行かれる姿は十分みじめだった。去り際、ロレンツォが振り返る。その目に浮かんでいたのは、後悔なのか焦りなのか、自分でも分からないような色だった。「ソフィア」掠れた声だった。「言い方を間違えたのかもしれない。全部俺のせいだ。でも、お前を愛してたのは本当なんだ。ビアンカが好きだったわけじゃない、あれはただの過ちだった。お前を失うつもりなんてなかった」私はただ静かに彼を見た。昔なら、その言葉だけで胸が潰れていたと思う。だが今、私の心には彼に差し出すべき感情が、ただの欠片も残っていなかった。遅すぎたのだ。「もう終わったことよ」私はまっすぐ彼を見る。「感情で決めたわけじゃない。ちゃんと考えて、それで離れるって決めたの」少しだけ間を置く。「だから、あなたも受け入れて」そう言って背を向けた。後ろで最後に一度だけ名前を呼ばれたけれど、私は振り返
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