成人式の日、私はSNSにこう投稿した。【ペロペロキャンディーが食べたい】遠く海外にいた幼馴染は、目前だった学位を放り出して帰国した。あろうことか、帰国してシャワーを浴びただけの、ろくに身支度もしていない状態で真っ先に我が家へ押し寄せてきたのだ。その時、私は誓った。これからはペロペロキャンディーを大事に食べようと。だって、あまりにも甘くて美味しかったから。それ以来、たとえ私が後々「偽の令嬢」と分かったとしても、九条景(くじょう けい)が私を妻に迎えようとしているのは、この界隈で周知の事実だった。西園寺家から折檻を受け、私に振り下ろされた竹刀による100回の打ち据えのうち、彼は自らの体を盾にして99回分を庇ってくれたのだ。西園寺家によって地下室に監禁された私にとって、暗闇の中で響く、毎日私を呼び続ける彼の必死な声だけが、唯一の光だった。「澪、怖がらないで。俺が絶対に助け出してやるから」彼はその言葉通り、本当に私を救い出してくれた。そして、彼と本物の令嬢との盛大な結婚式を、私の目で見届けることになったのだ。かつてはペロペロキャンディー一つ待たせることすら惜しんだ男が、私を救うためだと言って、三度も私に「待ってくれ」と告げた。一度目は、結婚式の当日。彼は苦しげな顔で言った。「澪、俺が結衣と結婚しなければ、奴らはお前を許さない。3年待ってくれ。3年後、俺は必ずお前を妻にするから」二度目は、その3年後。彼は九条結衣(くじょう ゆい)の大きく膨らんだお腹を見て、迷いの表情を浮かべた。「澪、結衣は俺の子を身ごもっているんだ。もう少しだけ、待ってくれないか?」三度目は、昨日。彼は子供に触れそうになった私を突き飛ばし、警戒に満ちた目で言った。「澪、大人しく待ってくれないか?なぜ子供を傷つけようとするんだ?」かつて私を愛してくれた彼の顔に陽光が降り注いだが、そこにあの頃の輝きはもう微塵もなかった。それならば、私ももうここを去るべきなのだろう。……「おじいちゃん。私、決めたの。景のもとを離れる」電話の向こうで、祖父西園寺竜一郎(さいおんじ りゅういちろう)はただ深く溜息をついた。「分かった。それがいい。すべてこちらで手配しておく」通話を終えてふらつく足取りで一階に下りると、何か食べられるものはないかとキ
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