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第5話

Author: 花畑のベイビー
結衣が自ら謝罪に来るなど、裏がないはずがなかった。

案の定、彼女の後ろには景が控えていた。

「結衣がこうして謝っているんだ。いい加減、許してやれ」

その催促するような口調は、まるで私が我儘を言っているかのように聞こえた。

私は何も答えず、手を振り払って立ち去ろうとした。

だが、結衣は私の手を離そうとはしなかった。

「お姉ちゃん、許してくれなくても構わないわ。どうせこれから3年間は西園寺家に住むんだもの。

時間はたっぷりあるわ。お姉ちゃんが許してくれるまでね」

その言葉に、私は耳を疑って景を振り返った。

彼は動きを固くし、後ろめたそうに視線を逸らした。

私の驚いた顔を見て、結衣が気味の悪い笑い声を上げた。

「あら、お姉ちゃんまだ知らなかったの?

景はね、お姉ちゃんを自由にする代わりに、あと3年間は私と子供のそばにいるって約束したのよ。

何年経っても、お姉ちゃんへの想いだけは変わらないわね」

彼の約束。彼にさせられた待ちぼうけの日々。

3年待たされ、さらに1年。そしてまた3年。

結衣と子供のそばを離れる気がないのなら、なぜ私を欺き続けるの?

彼が何かを説明しようとした時、スマホが鳴った。彼は電話に出るため、部屋を出て行った。

その瞬間、結衣の顔から笑みが消え、私の髪を掴んで外へと引きずり出した。

「どうしてまだ生きてるの?そんな惨めな姿で生きてて、疲れないわけ?」

家には誰もいない。背中の傷が癒えていない私には、結衣に抗う術はなかった。

彼女は一切の容赦なく、私を階段から突き落とした。

階段を転がり落ちながら、背中の傷口から再び血が滲むのを感じた。

「もう去ると決めたわ。今日中にここを出る。景なんていらない。二度とあなたたちの前には現れないから……」

言い切る前に、また髪を掴み上げられた。

「ダメよお姉ちゃん、勝手に行かせないわ。今あんたにいなくなられたら、景を完全に諦めさせることができないじゃない?

あんたが死ななきゃ……あの西園寺のジジイが、いずれ私の正体に気づくかもしれないもの。

あんたもあのジジイも死んでしまえば、あんたが拗ねて地下室に隠れてたんだって言ってやるわ。みんなの気を引きたくてね」

祖父が結衣の素性を調べていることに、彼女はすでに気づいていたのだ。

だから私を殺し、祖父までも手にかけようとしている。

「どうせ私の言うことなら、みんな信じるわ。この光も届かない地下室で、じわじわと死を待つことね」

そして、地下室の重い扉が閉ざされた。

再び暗闇に飲み込まれ、恐怖が全身を駆け巡る。

いくら叫んでも、返ってくるのは虚しい反響だけだった。

私がここにいることを知る者はいない。結衣の望み通りになるしかないのか。

ここで、ゆっくりと死を迎えるのを……

その頃、景と両親は西園寺家の本邸に到着したばかりだった。

ふと、何かが胸に刺さり、景は心がざわつくのを感じた。

「澪はまだ怪我をしている。一人で家に置いてきて、誰か面倒を見る者はいるのか?」

結衣は甘えるように彼の腕に縋りついた。

「もう家族じゃないもの。おじいちゃんだって顔を見たくないはずよ。家政婦に頼んであるから、安心して」

その時、結衣を除く、景と両親のスマホが一斉にメッセージが届いた。

親子鑑定の報告書だった。

そして、短い添え書きも届いた。

【救いようのない馬鹿どもめ。澪を連れて海外で療養する。二度とあの子に会わせることはない】

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