高木克哉(たかぎ かつや)と結婚した時から、彼に重度のうつ病を患う厄介な妹がいることは知っていた。結婚したその夜、その妹・高木美羽(たかぎ みう)は突然部屋に飛び込んできて、「暗いのが怖いから、一緒に寝てほしい」と克哉にすがった。私が病気で入院し、付き添いが必要だった時でさえ、美羽は、克哉が帰ってきて一緒に食事をしてくれないなら何も食べない、と言い張ったため、克哉は私よりも彼女のもとへ帰ることを優先した。二人でデートしている最中も、美羽からうつ病の発作を起こしたという電話がかかってくると、「今すぐ帰らないと飛び降りる」と言い、克哉は戻らざるを得なかった。我慢の限界を超え、その場で私は美羽に激昂してしまった。しかし、克哉は美羽を庇い、冷ややかな目で見つめて言い放った。「妹は代えがきかない。でもお前の代わりなんていくらでもいる。美羽を許せないなら離婚だ」私は夜も眠れず、意を決して克哉と美羽に謝ろうと部屋を出た。寝室の前を通りかかった時、中にいた女が甘ったるい声でこう言ったのが聞こえた。「ねえ、さっき加奈子(かなこ)さんがあんなに怒ったのって、まさか……私が妹じゃなくて、あなたの元妻だって気づいたんじゃない?」克哉が少し間を置き、宥めるような声で言った。「知ったとしても問題ない。今は加奈子が好きだけど、お前と結婚した時に『一生添い遂げる』と誓ったんだ。だから、たとえ形式上は離婚しても、この約束を守り続ける。お前を一人にはしない」その瞬間、すべてを悟ってしまった。妹というのも嘘で、うつ病も真っ赤な嘘だったのだ。この茶番の最初から最後まで、何も知らずに騙されていたのは私だけだった。もう、我慢する理由もない。……私が離婚を切り出した時、克哉は洗いたてのチェリーを載せた皿を手に、こちらへ歩いてくるところだった。彼は表情を一変させ、手に持った皿が小さく揺れた。「離婚?何を突然言い出すんだ?加奈子、昨日のことは俺も気が動転してついカッとなって言っただけだ。美羽にあんな言い方をしたからだろう?」私は3年間、連れ添った夫を見つめる。正直に言えば、美羽のことが絡まなければ、克哉は非常に優しい夫だった。私の好みも熟知しており、家事もすべて引き受けてくれる。チェリーが高い時期にも迷わず大きなパッ
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