All Chapters of 共テ当日に殺される?死に戻って復讐モード: Chapter 1 - Chapter 9

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第1話

大学入学共通テスト一日目。僕は同じ会場のクラスメイトたちと学校で落ち合い、一緒に出発することになっていた。しかし、恋人の二宮朝香(にのみや あさか)は、なかなか現れない幼馴染の藤村駿(ふじむら しゅん)を待つために、出発時間を遅らせていた。しかし、試験開始まで残り1時間もなかった。このままでは確実に間に合わない。前世で学級委員だった僕・神崎嶺(かんざき れい)は、みんなに先に試験会場へ向かうよう忠告した。だが、返ってきたのは感謝ではなく、みんなからの冷たい視線と不満の声だった。「駿と朝香の仲が良いから嫉妬してるんだろ?駿が受験に間に合ってほしくないって思ってるでしょ!」土砂降りの中、僕が必死に頼み込んで、ようやくみんなは重い腰を上げた。試験開始5分前、僕たちはなんとか会場へ滑り込んだ。しかし、試験後に駿に会場の窓から突き落とされ、僕は無残な姿で死んだ。それなのに朝香は、クラスメイト全員を引き連れて警察に嘘の証言をした。「駿が共通テストを受けられなくなったのは嶺のせいです!嶺はその罪悪感で飛び降りたのですよ!」駿はその一件で世間の同情を買い、ネットで人気者になった。母は僕の潔白を訴え続けたけれど、真相を知らない世間は彼女にまで容赦なく誹謗中傷を浴びせた。心をすり減らした母はある日運転中に事故を起こし、そのまま崖下へ転落して亡くなった。命を落として初めて、すべてが駿の仕組んだ罠だったのだと知った。僕が受験会場の窓から突き落とされた時、耳元で駿が得意げに笑う声が聞こえた。「神崎、教えてやる。俺は自分の学力じゃあ大学に行けないことを知ってて、わざと遅刻したんだ。お前が罪悪感で『自殺』してくれれば、俺は被害者ぶってネットのファンを増やせるからさ」……突然、頬を打つ雨の冷たさで、混濁していた意識が一気に覚醒した。目を開けると、 僕は共通テストの会場ではなく、なぜか高校の校門前に立っていた。目の前にはクラスメイトたちが送迎用にレンタルした貸切バス。そしてその運転手と言い争っている二宮朝香(にのみや あさか)。あの日と寸分違わぬ光景に、僕は動悸を抑えられなかった。死に戻った――その事実に混乱していた僕だったが、次の瞬間、朝香が怒りに燃えた目でこちらを睨みつけていることに気づいた。「嶺、なんて自分勝手なの
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第2話

前世では、あの道が水没することを知っていたから、僕は必死になってみんなに早く出発するよう頼んでいた。それほど急いだにもかかわらず、みんなは危うく試験を受け損ねるところだった。そして今、僕の忠告がなかったせいで、みんなは前世より20分も遅れて出発した。この状況からまだ共通テストに間に合うなんて、奇跡でも起きない限りあり得ない。車に乗った後,駿は申し訳なさそうな顔で、飴を取り出して僕に差し出した。「ごめん、神崎。俺のせいだよ!みんながテストで緊張しないようにと思って、出発前に飴を買おうと思ってさ」僕が言い返すより早く、朝香がその飴を奪うと、駿を抱き寄せてなだめた。「駿は何も悪くないわ。どうして謝るの?利己的な人間に、駿が買ってくれたものなんて食べる資格ないわ!」ほかのクラスメートたちも口々に駿を慰めた。「そうだよ駿、自分を責めないで。俺たちはみんな、自分から残って待ってたんだから」「ほんのちょっと遅れるくらい、何の問題もないよ。お前がいつも俺たちのことを思ってくれるから、俺たちがこんな時に見捨てるわけないだろ!待たずに出発しようだなんて言い出すやつとは考え方が違うんだよ!」彼らの冷ややかな言葉に、僕は皮肉な笑みを浮かべた。せいぜい笑っていればいい。この先に待っていることを知った時、まだそんな呑気なことを言っていられるか、楽しみでしようがない。たった一個の飴が、彼らの人生でもっとも貴重な瞬間を奪うことになるのだ。今口の中でする甘さが、何百倍もの苦みになって返ってくるに違いない。彼らは飴をなめながら歌を口ずさみ、共通テストを遠足かなにかと勘違いしているようだ。しかしすぐに、何人かが事態のおかしさに気づいた。周囲の車が増え、バスが全く進まなくなったからだ。「道が水没してるみたいですね。渋滞もかなりひどいので、迂回しないと間に合わないかもしれません」バスの運転手が深刻な顔で言うと、騒がしかった車内は一瞬で静まり返った。朝香は信じられない様子で叫んだ。「そんな……絶対に嘘でしょ!どうしてこの道で渋滞なんて起きるのですか?」皆は一気にパニックになった。「どうしよう!共通テストを受けられなかったら、私の人生はどうなるの?」「運転手さん!早くなんとかしてくださいよ!遅刻なんかできません!
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第3話

全ては僕の予想通りだった。駿が教えてくれた近道は、何の役にも立たなかった。車内からは元の騒がしさが消え、みんなの顔には不安が滲んでいた。スマホで時間を確認するたび、クラスメイトたちが青ざめていく。「ねえ、本当に間に合わないの?」図書委員の吉川拓海(よしかわ たくみ)が絶望的な表情で運転手に尋ねると、運転手に冷たくあしらわれた。そもそも、こいつらの勝手な都合で出発が遅れなければ、こんなことにはならなかったのだ。バスが試験会場に着いた頃には、門はすでに閉ざされていた。朝香は血の気を失った顔で車を降り、信じられない思いでつぶやいた。「そんな、嘘でしょ?」拓海が無理やり門をくぐって入ろうとしたが、警備員に阻止される。「共通テストはもう始まっています。どんな理由があろうと、入場は許可できません」バスから降りてきた他のクラスメートたちは、腰を抜かしていた。朝香が言うように、一教科でも受け損ねれば人生が台無しになる共通テストに、ここにいる全員が間に合わなかったのだ。僕は彼らを冷めた目で見つめ、気分は最高だった。駿に付き合って、自分たちの未来を台無しにする道を自ら選んだじゃないの?どうして今更になって泣き喚いているの?その時、朝香が口を開いた。「みんな、焦らないで。遅刻には理由があるんだから、先生に事情を話せば試験を受けさせてもらえるはずよ」皆の表情がパッと明るくなり、藁にも縋る思いで、一斉に学校の教師たちを探そうとした。だが動き出す前に、怒りに震えた担任が何人かの教師と一緒に現れた。校長の表情を見て、朝香の心の中で悪い予感がした。「こんな時間に到着して、何がしたいんだ?今更会場に入るなんて無理に決まってる」「故意に試験を放棄したと判断しなかっただけでも、感謝するんだ」担任が激怒して言い放つと、雨の中で待っていた保護者たちが呆れたように口を開いた。「こんな重要な日に遅刻するなんて、自分たちの人生に対して無責任すぎるわよ」「もしうちの子がこの中にいたら、説教だけじゃ済まないわ!」その罵声に、クラスメートたちの顔から血の気が失せた。拓海は朝香の襟元を掴み、怒鳴り声を上げた。「二宮、間に合わないなんて神崎が嫉妬でついている嘘だから、藤村を信じて待ってほしいって言っただろ!
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第4話

あまりの馬鹿馬鹿しさに、僕は言葉を失った。駿をかばうため、朝香はそんな苦しい言い訳まで作り上げるのか?「僕じゃない」弁解しようとした矢先、駿が僕の髪を掴み、バスの方へ引きずっていった。担任が止めようとするが、朝香は目を赤くして大声で叫んだ。「見ていたんです。嶺が母親と連絡しているところを。クラス全員の人生を台無しにしたんです。こんな生徒を、先生は守るつもりですか?」周囲の者たちが無言のまま僕を囲い込み、冷ややかな目つきで教師たちを睨みつけた。朝香の話を信じたに違いない。駿は僕を見て、わざとらしく苦痛な表情を作った。「神崎、俺に不満があるのはわかるけど、腹いせにクラスのみんなまで巻き込むなんて酷すぎないか?」朝香は鬼気迫る形相で、駿と共に僕の頭をバスに叩きつけようとした。ドンッ!僕の頭がバスにぶつかり、血が流れ出した。そして耳元で朝香の怒鳴り声が聞こえた。「嶺、今日間に合わなかったのはお前のせいだ。たとえ恋人でも、許さないから!」朝香は執拗に僕の頭を車体に打ち付けた。激しい痛みの中、僕は意識を手放しそうになった。だが、今ここで屈するわけにはいかない。朝香が僕を陥れようとするのは、すべて駿の罪を隠蔽するためだ。そもそも、みんながテストに間に合わなかったのは駿を待っていたせいなのだから。僕は必死に叫んだ。「出発時間を引き延ばしたのはそっちだ!僕には関係ない!」朝香は歯を食いしばって言った。「また嘘をつくの?」その隙に、駿がいきなりスマホのカメラを僕に向けた。「みんな、こいつが俺に嫉妬して、わざと受験会場に間に合わないよう仕向けたんだ!」顔を上げると、駿の目が得意げに輝いたのが見えた。こいつ、もう嘘泣きをやめたのか。共通テストが話題になっていただけに、駿の配信には既に何万人もの視聴者が集まり、チャット欄は罵詈雑言で溢れ返った。【ライバーさんかわいそう!フォローしちゃお!何があっても応援してるよ!】【自分の都合のためにみんなの未来を潰すなんて、ガキなのに根性が腐ってるな】【どこの学校だ?誰の息子?住所教えろ、今すぐ乗り込んでボコボコにしてやる】拓海が突然駆け寄ってきて僕に詰め寄った。「これは共通テストなんだぞ!人の心がないみたいだな!」他のクラスメー
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第5話

クラスメートたちはしばらく黙り込み、それから眉をひそめて駿の顔を見た。駿は一瞬たじろいだが、すぐに泣きそうな顔で訴えた。「みんな、信じちゃだめだよ。この人は神崎の母親なんだ。この映像だってきっと捏造だよ。神崎をかばうための偽証だ」周りの態度が少し和らいだのを感じ、駿は間髪入れずに朝香に向かってこう言った。「朝香、信じてくれるよね?俺がそんなひどいことをするわけないだろ?」朝香は深く頷いた。「駿は本当に心の優しい人だよ。昼休みの時間を使って野良猫にエサをあげているような人が、みんなを傷つけるはずがないわ」周りのクラスメートたちも同意し始め、いかに駿が良い奴か、いかに素晴らしい人間かを次々と並べ立てた。僕は皮肉な笑みを浮かべ、駿の演技を見守った。このタイミングで配信をして被害者を演じれば、クラス全員が自分に味方してくれると踏んでいるのだろう。これだけの証言者がいれば、たとえ僕や母が事実を示したところで、嘘つきの金持ちだと批判されるだけだ。そうなれば、母もまた前世と同じように誹謗中傷の渦に飲み込まれてしまう。「大丈夫よ。お母さんがちゃんと仇を取ってあげる。もう二度と……」母が僕の肩を叩き、心配しなくていいと穏やかな瞳で伝えてくれた。だが、母のその言葉の続きがどうしても気になった。もしかして、母も同じ……駿は、わざと鼻声で配信カメラに向かってこう伝えた。「みんなは知らないだろうけど、神崎は家がお金持ちなのをいいことに、学校で俺たちをいじめていたんだ。たった少し出発が遅れただけで、クラス全員を雨の中に立たせるんですよ」そう言って駿は、撮っておいた写真を画面に表示させた。そこには、雨の中で立っているクラスメートたちの姿と、バスの中に座っている僕の姿があった。この写真を見ると、画面の向こうの視聴者は瞬く間に憤慨した。【こんなクズがクラスの委員長だと?共通テストを受ける資格もない】【外で立たされている子供の親たちはどんな気持ちだろう?胸が張り裂けそうだわ】【これは明らかないじめだよ。一人でクラス全体を虐待してるのと同じじゃないか?はやく警察に捕まるべき!】怒りに任せて僕を呪う視聴者は、ついに母の個人情報を特定し始め、神崎グループの不買運動を呼びかけ始めた。この数分でフォロワーが数
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第6話

画面に映し出された最初の動画には、みんなが雨の中で出発を待っている様子が映っていた。駿が提示した写真と違う点は、ただ一つ。僕は、バスの中ではなくみんなと一緒に雨の中に立っていて、必死に出発するように説得しようとした。「僕が家から出たとき、会場までの道がすでに水没し始めていたんだよ。急いで出発しないと、大渋滞に巻き込まれて間に合わなくなる。藤村くんが遅れてしまっても心配いらない。その時は先生たちに連絡して、車で試験会場へ直行できる。共通テストに遅れることもない」その動画が流れた瞬間、配信で僕と母を罵っていた視聴者たちは静まり返った。コメントが一瞬止まり、しばらくしてから再び流れ始めた。【この動画は本当?もしそうなら、俺たちはこの子を完全に誤解していたことになるな】【そうだな。むしろ全員のことを思って行動していたのか!しかも最善策も考えた】【もしかして、俺たち……この藤村ってやつに騙されていた?】風向きが完全に変わった様子を見て、駿は慌てふためき、モニターを指さして叫んだ。「嘘だ!これは絶対、神崎の母親が業者に頼んで作った合成映像だ!」朝香とクラスメートたちは俯いた。彼らはこれが合成なんかじゃないと分かっている。出発する前、僕が必死に彼らを説得していたからだ。しかし僕の言葉は、彼らによって悪意ある企みだと誤解されていた。「これはバスのドライブレコーダーの映像です。皆さんが疑うならすぐにでも確認できます」母は冷ややかに駿を見つめた。警察の対応も迅速だった。動画の真偽が明らかになっただけでなく、バスの運転手にも事情聴取をした。数十万人の視聴者と、会場前にいる保護者たちを前に、運転手は溜息交じりに証言した。「動画は本当ですよ。藤村くんが来る前、確かに神崎くんはこの子たちに今すぐ出発したほうがいいと言っていました。でもこの子たちが、藤村くんが来るまで絶対に動かないと……藤村くんを置いていくなんて無理だと言って、結局絶対に間に合わない時間になってから出発したんです」運転手の説明が終わった途端、現場では怒号が飛び交い、配信のコメント欄も混乱に包まれた。担任の表情はみるみるうちに険しくなった。「君たちは共通テストを何だと思っているんだ?特に藤村!皆を試験に遅れさせただけでも許しがたいのに、いい提案をし
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第7話

画面には、駿が店の中でのんびりと買い物をしている様子が映っていた。そして店の店長は訝しげに彼に尋ねた。「君、高校3年生だろ?今日は共通テストだっていうのに、そんなにのんきに買い物なんかしてていいのか?そんなことで間に合わなくなったらどうするんだ」しかし、駿は悪びれもせず言い返した。「へへっ、いいよ。どうせ合格する気なんてないから、共通テストなんて行かなくてもいいんです」最後には店長の呆れた視線を背に、駿は飴を何袋も購入し、まるで散歩しているかのような足取りで店を出た。店の入り口付近。防犯カメラに映り込んだ場所で、駿は雨宿りをしていた野良猫を力任せに草むらへと蹴り飛ばした。猫の姿こそ隠れたものの、凄まじい猫の悲鳴が動画から響き渡った。それを目にした瞬間、駿の顔から血の気が引いた。この瞬間、すべての真相が白日の下に晒された。僕は冷ややかな笑みを浮かべ、クラスメートたちを見渡した。駿を待つためにわざとバスの発車時間を遅らせた彼らも、信じられないものを見る目で駿を見ていた。「お前……わざと遅刻してたのか?」駿が必死に弁解しようとするが、もうそんな猶予はなかった。事実は目の前にある。駿を待って一緒に出発したかったのに、まんまと彼に利用されていたのだ。それだけでなく、自分たちの将来まで駿に捧げてしまったのだ。自分たちが利用されたのだと悟った瞬間、クラスメートたちは人の目を気にせず、一斉に駿に殴りかかった。駿の苦悶の叫び声が響く。駆けつけた警察が皆を引き離した時には、すでに体中が痣だらけになっていた。着ていた服はズタズタに引き裂かれ、腕や体には至るところに生々しい噛み跡が残っていた。腕力の弱い生徒までもが、怒って駿に噛み付いたのだ。「ああ……最悪だ!本当に最悪。駿みたいなクズ男の言うことなんか聞くべきじゃなかったんだ!」その場で顔を覆って泣き崩れ、自ら頬を叩いたり、地面に頭を打ち付けたりする者もいれば、ただ呆然と立ち尽くしている者もいた。僕は悲惨な姿の駿と、クラスメートたちの涙を見つめた。心の中には、爽快な気持ちが広がった。前世で母と僕が味わった絶望に比べれば、大したことじゃないだろう。この連中は、自業自得に過ぎない。ついさっきまでコメントで僕を罵倒していた視聴者たちも沈黙し、コメ
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第8話

駿が警察に連行された。パトカーに乗り込む直前、駿は鼻で笑って僕を見つめた。「俺はネットで稼げなくなったけど、お前も俺と同じ、共通テストを受け損ねたんだ!金持ちの家に生まれたからっていい気になるなよ。この一件は、お前の人生にずっと残るからな」その言葉を聞いて、僕は思わず笑ってしまった。僕を陥れることに失敗し、結局そんな理由で自分を慰めることしかできないようだ。だが、僕はもう前世の単純な自分ではない。前世で、駿は僕の家族を破滅させ、計り知れない汚名を着せたのだ。今世では、駿の策略をただ阻止した程度で、復讐を済ませるつもりはない。駿を少しでも不幸にできることは、何でもするつもりだ。僕は駿に向かってニヤリと笑った。「ひとつ言い忘れていたことがあったな!」僕はあえて声を張り上げ、その場にいる全員に聞こえるように言った。「僕は2ヶ月前に、東都中央大学の推薦枠を獲得しているんだ。だから、共通テストを受けようが受けまいが……僕には何の関係もないことなんだよ!」その知らせを聞いて、駿はその場で崩れ落ち、声を荒らげた。「そんなはずはない……嘘だろ?どうせ家の力で推薦枠を買ったんだろ?結局、お前は家の金を頼ることしかできないってわけだ!」僕は何も答えず、ただ静かに笑った。すると母が冷ややかな声を上げた。「うちの息子の推薦枠は、本人の努力によるものよ。家庭の力なんて関係ないわ。嶺が高校の3年間、全国模試でずっと県内トップだったことは知ってる?あなたたちが泥のように眠っている夜中も、ずっと勉強していたのよ?」結局、駿は絶望した目でパトカーに乗せられていった。彼にとって一番受け入れがたいのは、人生の全てを懸けても僕に何の打撃も与えられなかったという事実だったのだろう。「神崎くん、ごめん!酷いことをした。本当に悪いと思ってる」駿が連行された後、クラスメイトたちが申し訳なさそうな表情で僕を見ていた。僕は首を横に振って言った。「謝罪なんて必要ない。これからは関わらないことにしよう」運転手が提出したドライブレコーダーの映像は、この人たちがわざと出発を遅らせたことをすでに証明していた。そのような行動をとれば、誰にどんなに謝ってももう遅い。一科目でも欠席すれば、難関大学への道はほぼ絶たれたの
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第9話

「甘いけど、そのあとには死ぬほど苦い味が待ってるのさ」朝香は顔を歪め、苦しそうな表情を浮かべた。僕は希望を失ったクラスメートたちを振り返ることなく、母と共に試験会場を後にした。帰宅してから、ふと気になったことを母に尋ねた。「母さん、どうして藤村くんは僕に執着するんだ?あの最後の捨て台詞を聞くと、単にうちがお金持ちなのを妬んでいただけじゃない気がするんだよね」そう、ずっと疑問に思っていたことだった。すると母が何枚かの資料が入ったファイルを僕に手渡し、その中身を確認した時、全てを察した。「なるほど。藤村くんがいきなりうちのクラスに転校してきたのも、最初から僕が目当てだったのか」昔は、てっきり奴は朝香が好きだから、彼女を奪うために僕を排除しようとしているのだと思っていた。だが本当の理由は、駿の母親にあると知って驚いた。駿の母親は、もともと神崎グループの財務部長を務めていたが、その立場を利用して何億円もの資金を横領していたらしい。それを僕の母に見抜かれ、警察に突き出されて逮捕されたのだ。駿の母親が捕まると知るや、駿の父親は速攻で離婚。駿は贅沢三昧の御曹司生活を失った。その一件から2週間も経たないうちに、駿は元いた進学校を辞めてうちの高校に来たというわけだ。他にもっと良い選択肢があったはずなのに、わざわざうちの学校を選んだ理由もこれで明白だった。完全に、僕を狙っていたんだ。事情が分かってからは、もう駿のことを考えるのはやめた。家で心ゆくまでゲームをして、そのあとは親友と旅行に出かけた。共通テストの点数が出る日になってから、僕は遊び足りないまま帰路についた。ところが、帰ってみると自宅の玄関先には、朝香と拓海を含むクラスメートたちがそこに立っていた。「嶺……」顔を真っ赤にしてしばらく黙り込んでいた朝香が、やっとの思いで口を開いた。「この前のことは、本当にごめんなさい」拓海たちも、力なくうつむいたまま口を開いた。「俺たちのせいだ。藤村の言葉を信じて、お前を苦しめるようなことをして」彼らの入試の結果は、前世のような良いものにはならなかっただろう。試験科目を一つ受けなかった影響は大きく、上位の大学を目指していた人は、第一希望を変更するしかないはずだ。ほとんどのクラスメートたちにとって
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