一方、私が視線を上げた先に拓野がいるのに気が付くと、思わず眉をひそめた。拓野は側面の入口側に立って自分を見つめ、完全に固まっていたのだった。そして、後ろから押されて、ようやく我に返ったように歩き出した。しかもなぜか階段を上がる時に足がもつれ、転びそうになっていた。それを、隣の健二に支えられて、ようやく体勢を立て直した後も再び視線を向けてきたのだった。そう感じて、視線を逸らそうとした時、目の前がふっと暗くなった。側から伸びてきた温かい手が、長い指で私の両目を優しく覆った。その掌からはかすかに木の香りがして、拓野の視線に向けていた私の注意力をすぐに引き戻した。「いつまで見てるつもり?」上から、陽翔の低くて落ち着いた声が聞こえてきた。「静葉、そろそろ証拠資料を確認しておかないと」そう言って、陽翔は手を離そうとせず、そのまま私のこめかみを軽く押した。すると隣から漏れた夏帆のクスクスとした笑い声が聞こえてきた。私は舌を出しておちゃらけてみせると、資料を真剣に見る陽翔に視線を向けた。彼は顔を上げなかったが、その口元が微かに動いたのが見えた。それからいよいよ、裁判が始まった。この裁判を、私はずっと待ちわびていた。安人が自分から外に出たはずがない。莉香が故意に連れ出したと、私は確信していた。だから、離婚後の数年間、海外にいても私は証拠を探すために時々帰国していた。そして、莉香が幼い頃から、親の権力を盾に同級生を虐めてきた証拠を少しずつ集めていた。そのどれもが被害者の生徒が退学させられるという、理不尽な光景ばかりだった。そんな資料を目の当たりにして、胸の中に抱えていた真相への疑惑も次第に明らかになってきた。それから、私は更に必死になって証拠を探し回った。陽翔は、私が何度も国内に戻ることに文句一つ言わず、それどころか航空券を予約し、常に隣で支えてくれた。その内、チケットを取るのさえ面倒に感じ、思い切ってプライベートジェットを買った彼は、私と一緒に現場へ駆けつけ、わずかな可能性を求めて、ありとあらゆる証拠を探しに付き合ってくれた。こうして、私たちはようやく真相にたどり着いたのだった。一般人が撮った動画の中に、粗い画質ながらも莉香と安人が映っていた。その画像の中で莉香は、安人が水に落ちるのを見ていながら
اقرأ المزيد