結婚式の1週間前、妊娠が発覚した私・黒崎栞(くろさき しおり)のもとに、見知らぬアカウントからメッセージが届いた。差出人は、自分が7年後の私の子供だと言う。【ママ、僕をおろして】【僕は生まれつき両足が不自由で、ママとパパはいつも僕のことで喧嘩していた。結局ママは心の病気にかかって、薬を飲んで自殺しちゃったんだ】【ママにそんな苦しい思いをしてほしくない】私はすぐに病院へ行き、中絶手術を受けた。藤原蒼佑(ふじわら そうすけ)は怒り狂い、病院に駆けつけて私と大喧嘩したあと、ドアを乱暴に閉めて立ち去った。退院して家の前に着いた途端、中から蒼佑が執着している女、桐生遥(きりゅう はるか)の得意げな声が聞こえてくる。「未来からのメッセージ?そんな馬鹿げた話を信じる人が本当にいるとはね。ふふっ。たかがデタラメなメッセージ一通で、自分の子供まであっさり捨てるなんて」蒼佑は淡々とした表情で警告した。「今回は大目に見てやる。次にまたこうして栞をいじめたら、ただじゃおかないぞ」ドアの外にいる私は、異常なほど冷静だ。もう二度と「次」はない。あのメッセージが嘘だということは知っている。けれど私自身は、嘘偽りなく、絶望に打ちひしがれた7年後からこの「過去」に戻ってきたのだ。……リビングから、遥の笑い声が絶え間なく聞こえてくる。「そう?蒼佑、本当にそんなことできるの?」彼女は身を乗り出し、その真っ赤な唇を蒼佑の頬にそっと押し当てて、挑発的に眉を上げる。「私を家に住まわせておいて、これ以上どうやって私をお仕置きするつもり?」蒼佑の喉仏が何度も上下するのがはっきりと見える。ついに耐えきれなくなったのか、彼はいきなり手を伸ばして彼女の腰を抱き寄せ、自分の胸に押し付ける。二人はそのままソファの上で熱いキスを交わし始める。唇を離した時、遥の顔は艶めかしい赤みを帯びている。私は目を伏せた。心臓が無理やりえぐり取られたかのようで、胸の奥を冷たい風が吹き抜けていく。蒼佑は冷ややかな態度で、二人の唇の間に繋がった糸を拭い去る。「手元に置いた方が、躾けるのに都合がいいからな。お前が俺の母親を死に追いやり、栞の母親まで怒らせて、今もベッドから起き上がれないほど病状を悪化させた。その上、俺から子供まで奪ったんだな
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