All Chapters of フィギュアオタクで手に触れた物をなんでもすぐ壊す僕が異世界全民ロードサバイバルで人類の分断を修繕する: Chapter 31 - Chapter 40

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第031話 新たな宝箱②

「うッ……! ぐへッ! ゲホッ!」 黄色のスライムのスライム水を飲んだ戦友は、激しく咳込んだが、黄色のスライムのスライム水の刺激で正気を取り戻した。「あ、あれ……? なんだ? どうしたんだ? 俺は何をしていたんだ……?」 状況の理解が追いつかず、混乱していたが、もう大丈夫そうだった。  僕も黄色のスライムのスライム水が上手く効果を発揮してくれて、ほっと胸を撫で下ろす。「そうか。黄色のスライムのスライム水は、こうした錯乱状態を治す効果があるんだ」 僕は今回の発見を嬉しく思う。「あ、ありがとう。助かったよ」 「あなた、凄いのね。そんな薬を持っているなんて」 「なあ、良かったら、俺たちの持っているアイテムと交換してくれないか?」 戦友たちが喜び、僕を褒めてくれることで、僕も嬉しくなる。  彼らはとても友好的だったので、僕も喜んで彼らとの取引に応じた。 取引を終え、彼らと別れた後、僕は改めて食虫植物のモンスターを観察する。「見た目は本当に普通の植物だね……」 しかし、僕が近づくとザワザワと蔓を動かし、花弁からボワンボワンと煙のように花粉を噴出した。「危ない危ない。この花粉の煙を吸うわけにはいかないぞ」 僕は急いで花粉の煙が届かない距離まで食虫植物のモンスターから離れる。  僕が距離を置くと、食虫植物のモンスターは大人しくなり、また元の植物の状態に戻った。「自分からは襲ってこないみたいだ。だったらこのまま近づかず、無視して通り過ぎてもいいんだけど……」 僕はそう思ったが、そうしない理由があった。「でも、食虫植物モンスターの足元に宝箱があるんだよな……」 しかもその宝箱は「黒鉄宝箱」「黄銅宝箱」「白銀宝箱」「黄金宝箱」「白金宝箱」「ダイヤ宝箱」と宝箱の等級がある中で、下から三番目の「白銀宝箱」だった。「今までに「黒鉄宝箱」しか開けたことがない。「黄銅宝箱」の中身も気になるけど、今、食虫植物のモンスターの足元にあるのは、さらにその上の「白銀宝箱」……。なんとかして開けてみたいな……」 僕はどうにかならないかと思案する。「そうえいば、さっきの戦友は、食虫植物のモンスターの花粉にやられたけど、黄色のスライムのスライム水で治すこ
last updateLast Updated : 2026-08-18
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第032話 新たな宝箱③

「やった! 成功だ!」 僕が尚も黄色のスライムのスライム水を散布すると、ついに食虫植物のモンスターは萎れるように倒れ、動かなくなった。「黄色のスライムのスライム水に、こんな効果があるなんて……」 僕は残り少なくなった黄色のスライムのスライム水を大切にしまいつつ、また黄色のスライムを見つけたら、スライム水を獲得しようと心に決めた。「それにすごいぞ。ついに「白銀宝箱」を獲得したぞ……」 僕は宝箱に駆け寄る。そして喜びと緊張に震えながら宝箱を開けた。 すると───。「……やった。ついにやったぞ……」 僕は歓喜に身体が震える。  白銀宝箱は開けた瞬間、中身が空っぽなのかと思ってしまう程、中に入っている物は少なかったが、唯一入っていたその小さなアイテムはとても貴重な物だった。「ま、魔力石だ……!」 僕は青緑色の光を淡く滲ませる魔力石を取り出し、太陽に透かすように掲げ、獲得できた喜びをあらわにする。「これで車のエネルギー問題も解決だ!」 ───と、僕は声を上げたが、今、新たに獲得した魔力石のエネルギーを合わせても、《天使》が示すゴールまでの距離を考えると、まだまだ魔力石は不足していた。「でも、こうやって「白銀宝箱」を開けられれば、また魔力石を獲得できるぞ」 僕はゴールに辿り着ける希望を見出し、喜びで全身が沸き立った。「近くに黄色のスライムがいないかな……」 そう言って周囲を見渡した僕は、近くにゴブリンがいて、そのゴブリンの近くに「黄銅宝箱」がある事に気が付く。「黄銅宝箱か……。白銀宝箱より等級は下だけど、でも黒鉄宝箱よりは等級が上の宝箱だし、開けてみたいな……」 しかし、その為には宝箱の周囲にいるゴブリンをなんとかしないといけない。  僕は、また草原という地形の特製を活かした罠を設置しようかと思ったが───。「そういえば───」 僕は、今しがた倒した食虫植物のモンスターのことを思い出す。「このモンスターの花粉って、ゴブリンに効かないかな……?」 僕は食虫植物のモンスターに駆け寄ると、花粉が飛び散らないように花びらを採取し、ガラクタの中から麻袋を取り出すと、慎重に袋詰めにした。「あれ? この食虫植物は実が
last updateLast Updated : 2026-08-19
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第033話 さらなる宝箱の獲得

 結論から言うと、食虫植物の花粉はゴブリンに大いに効果を発揮した。「まさかこんなに効果があるなんて……」 ゴブリンたちは食虫植物の花粉を嗅ぐと、すぐに目を回し、酔っぱらったみたいにフラフラとよろめくと、ついにはその場にバタンと倒れ込んだ。  僕が倒れたゴブリンを覗き込むと、どのゴブリンも目をうっとりとさせ、だらしない笑みで顔を歪めつつ、口から涎を垂らして恍惚としていた。「こんな状態なら襲われることはなさそうだ」 僕は安心しつつも油断せず、慎重に「黄銅宝箱」を抱えると、急いでトラックに戻った。「戦友はかなり長い間、食虫植物の花粉にやられていたみたいだけど、ゴブリンはそこまで長い間、効果が続くわけじゃなさそうだね」 僕がその場で宝箱を開けず、持ち帰ったのは、何匹かのゴブリンは食虫植物の花粉の効果が切れ、正気を取り戻しつつあったからだ。「戦友ほど長い時間、効果は続かないけど、宝箱を奪い取る時間は十分に稼げる。この方法でゴブリンからも宝箱を易々と獲得できそうだ」 また一つ、宝箱の獲得方法を見出し、僕は喜びをあらわにする。「さて、それじゃあ「黄銅宝箱」の中身を確認しよう」 僕は期待に胸を膨らませて宝箱を開けた。「まずは、圧縮ビスケットにペットボトル入りの飲料水だ。角ウサギの肉やスライム水で食べ物と飲み物には困らなくなったけど、それでもやっぱり水と食料はありがたいね」 僕は圧縮ビスケットとペットボトル入りの飲料水を大切に仕舞い込む。「あ! 魔力石だ! そうか。黄銅宝箱の中にも魔力石が入っているのか」 僕は魔力石を摘まみ上げるが、この魔力石は、前回、白銀宝箱から獲得した魔力石に比べると少し小さく、輝きも鈍かった。「魔力石には大きさや輝きに差があるんだね。エネルギーの量も大きさや輝きに比例して違いがあるみたいだ」 僕は今回、獲得した魔力石をトラックにセットしてみるが、前回、白銀宝箱から獲得した魔力石ほどエネルギーの上昇は見られなかった。「それでも魔力石はとても貴重だ。これはありがたいな」 僕は魔力石も大切に仕舞いつつ、さらに宝箱の中身を確認する。「あ! これは!」 次に見つけたのは僕にとってとても嬉しいアイテムだった。「ドライバーセットだ!」 それは小型だが、数本のプラスドライバーとマイナスドライバーがセットになっ
last updateLast Updated : 2026-08-20
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第034話 ゴールを目指して①

 僕は拳銃を収めるホルダーを「改装」で作製した。  《天使》の《審判》で異世界に転移することが決まった際、訓練の一環で銃火器の射撃訓練を何度も行ったが、それでも殺傷能力の高い拳銃を手にすることに、緊張せずにはいられなかった。「そう言えば異世界に来る前、母が準備してくれた銃器は全部、失われてしまったな……」 僕は、母が僕に持たせる為、ミリタリーのボストンバックに詰めていた拳銃や手榴弾、さらにはロケットランチャーなどのことを思い出す。「もちろん現実世界からそうした「装備品」を異世界に持ち込めるとは思っていなかったけど、それと同じ「拳銃」が、今こうして異世界で手に入るなんて……」 僕はホルダーに吊るした拳銃を撫でる。  凶器にも成り得る拳銃は、剥き出しの刃物を持つような怖さもあったが、護身用として携帯するには、とても安心感を得られるアイテムだった。「特に戦闘が得意じゃない僕にとっては、相手を怯ませる「抑止力」になるかもしれない」 できれば人に対して銃を向けたくはなかったが、それでも取引などで相手が力づくで僕から物品を奪おうとした際、拳銃で自分の身や、貴重な物資を護れるかもしれないと僕は考えた。「でも、弾は三発。一発も無駄にできないね」 僕はその事を強く認識し、貴重な弾丸を無駄にしないように自分に言い聞かせる。「でも、また宝箱を開ければ、弾丸が手に入るかもしれない」 そうした希望も僕は抱いてもいた。  * * * 宝箱の中身を収納し終わった僕は、またトラックを走らせる。「ゴールを目指しつつ、黄色のスライムがいれば倒して黄色のスライム水を獲得したいな」 そう思って周囲を確認しつつ走行していた僕は、望みの黄色のスライムを発見した。「しかも黄色のスライムが三匹もいる。これは大量の黄色のスライム水を獲得するチャンスだぞ」 僕はトラックを停め、大急ぎで荷台からスライムを捕獲するドラム缶の罠を降ろすが───。「おらぁッ! くらえぇーッ!」 僕が準備を整える前に、怒声を上げて黄色のスライムに斬りかかる戦友が現れた。 それは軍毅だった。 軍毅は何処で手に入れたのか日本刀を装備していて、その刃を一閃すると黄色のスライム
last updateLast Updated : 2026-08-21
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第035話 ゴールを目指して②

「なんだ、お前か。こんなところで何をしているんだ?」 軍毅が僕に気付き、声を掛ける。「傑くん……」 詩華は僕の姿を見て、一瞬だけ嬉しそうにしてくれたが、そうした表情は本当に一瞬だった。  彼女は僕が態度を翻した事に、裏切られたとショックを受けているのだ。「ぼ、僕もゴールを目指して車を走らせていたんだよ。そしたら黄色のスライムがいたから倒そうと思ったんだ」「はッ! 笑わせるぜッ! お前が黄色のスライムを倒す? 出来もしないことを言うなッ! 異世界のスライムは強いんだッ! 戦闘に特化したスキルを持つ者でないと、まともに戦えもしないんだッ!」 軍機は僕を嘲笑う。「確かに、僕は戦闘でスライムを倒せない。でも他の方法で倒すことができるんだ。何も戦うだけが正解じゃないんだ」 そう思ったが僕は口には出さなかった。  手の内を明かさないよう咄嗟の判断で隠したのだ。  僕は軍毅に笑われるまま、じっと耐えたが、悔しさで強く拳を握っていた。「おっと。それより宝箱だ。俺たちも黄色のスライムなんて、なんの稼ぎにもならないモンスターと、わざわざ戦闘なんてしたくなかったが、宝箱があれば別だ。こいつらが「黄銅宝箱」を守っていたから。だから戦っていたんだよ」 そう言いつつ、軍毅は宝箱を蹴り空ける。「お。やっぱり魔力石だ。黄銅宝箱には高い確率で入っているな」 軍毅は宝箱から魔力石を取り上げると、僕に見せつける。「どうだ。欲しいか? 欲しいだろう? 魔力石は車を走らせるのに必要だからな。だがお前にはやらない。お前とは取引しない。この魔力石は俺たちの物だ」 軍毅は執拗に僕に魔力石を見せびらかすが、僕も「黄銅宝箱」を獲得できる攻略法を見出しているので、そこまで欲しいとは思わなかった。  でも、その事を相手に悟られてはいけないと思い、少し悔しそうな風を装った。「他には水と食料……。と言っても、なんだ、また圧縮ビスケットか。いい加減に喰い飽きたぜ」 軍毅は次に取り出した圧縮ビスケットとペットボトル入りの飲料水を乱暴に扱う。  確かに宝箱から獲得できる水と食料は、こればかりだったが、それでもそうした水と食料さえ獲得できず、飢えと渇きに喘ぐ戦友が大勢いる。  そうした戦友の事を思え
last updateLast Updated : 2026-08-22
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第036話 ゴールを目指して③

「なんだ。お前。どこで手に入れたのか知らんが、拳銃を持っているのか」 軍毅が僕の拳銃を舐めるように見つめる。「おい。取引だ。魔力石を一個やる。代わりにその拳銃をよこせ。どうせ弾なんて入っていないんだろ? お前が持っていても宝の持ち腐れだ。俺がその拳銃を有効に使ってやる」 軍毅は今しがた、自分達が獲得した魔力石を僕に突き出し、代わりに拳銃を渡すよう要求してきた。  しかし、僕はその取引に応じるつもりはなかった。  まず、黄銅宝箱から出てきた魔力石は小さく、輝きも薄かったので、恐らく、車を走らせるエネルギーとしてはブロック一つ分程、良くても二つあるかないかだった。  そんな量のエネルギーしか得られない魔力石と交換するつもりはなかったし、何より、この拳銃は異世界ではとても貴重な武器かもしれない。  もう二度と入手できない火器かもしれないので、取引するつもりはなかった。  さらにもう一つ。僕も「黄銅宝箱」を開ける攻略法を見つけている。  貴重な拳銃を差し出してまで、魔力石を取引してもらう必要はなかったのだ。 それらの理由から僕は軍毅との取引を拒絶する。「魔力石は欲しいけど、この拳銃は渡せない。取引は断るよ」 僕が拒否すると、軍毅は舌打ちをして忌々しそうに僕を見下ろす。「力づくで奪ってもいいんだぞ」 軍毅は日本刀の束に手をかける。  僕に緊張が走る。  思わず一歩退いた僕だったが、僕も拳銃のグリップに手をかけた。「軍毅、やめてッ! 戦友同士、無益な戦いはしては駄目よッ!」 そんな僕と軍毅の間に割って入ったのは詩華だった。「さっきも言ったでしょ? 《天使》の《審判》で《至宝》を見つけるのに、戦友同士の協力が必要かもしれない。私たちは敵対せずに、協力し合うべきなのよ」 詩華は必死に訴える。 《天使》の《審判》で《至宝》を見つけるのに、戦友同士の協力が必要かどうかはわからない。  僕の父と母は、最初の《天使》の《審判》で異世界から現実世界に帰ってきた数少ない「生還者」だったが、《至宝》は見つけられず、また《至宝》が何であるのかもわからず、《至宝》を見つける方法も、獲
last updateLast Updated : 2026-08-23
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第037話 アイテムボックス①

「見て、傑くん。私も自分に合う武器を手に入れたの」 そう言って詩華は杖を取り出す。  その杖は、ファンタジー小説の魔法使いが使う杖と言うよりは、アニメで魔法少女が振るう杖のように煌びやかだった。「どうやら私は魔法のスキルが得意みたいなんだけど、この杖を使うと、私の魔法攻撃の効果が何倍にも増幅するの」 詩華は杖を振って見せる。  国民的アイドルグループの不動のセンターである詩華がそうして杖を振ると、本当に魔法少女のように輝いて見えた。「軍毅も自分に合う武器を手に入れたの。傑くんも見たと思うけど、日本刀なんだけど、おかげで私たちの四人チームは戦闘力が格段にアップしたわ。黄銅宝箱を護るモンスターなら、楽々倒せるようになったの」 詩華は嬉しそうに自分達の状況を報告してくれる。  その報告には、自分達の成功を自慢する意図はなく、どうやら「だから私は心配ないからね」と僕に語り掛けているような気がしてならなかった。「それにもう一つ。私は凄いスキルを獲得したの。それが「アイテムボックス」よ」 詩華がステータスウィンドウを開くと、僕のステータスウィンドウにはない「アイテムボックス」の項目が表示されていた。「とても便利で、どんなアイテムでも収納できて、好きな時に出し入れができるの」 詩華は嬉々として僕にアイテムボックスを説明する。 しかし、その瞬間───。 僕は胸をハンマーで殴られたみたいに心臓が大きくドクンと脈打つ。「ア、アイテムボックス……ッ!」 僕は心臓が破裂するかと思うほど高鳴る。  耳の奥でキーンという不快な金属音が鳴り響き、頭が割れるように痛みだした。「ま、傑くんッ……!? ど、どうしたの……ッ!?」 詩華が僕の異変に気付き、心配して声をかけてくれるが、その声は両手で耳を塞いでいるかのように小さく、不鮮明に聞こえた。 そして僕に前世───。 あるいは別世界の僕の記憶が流れ込む───。  ※ ※ ※『すごいな、アイテムボックスのスキルは』 『どんなアイテムも収納することができて、いつでも、どこででも取り出せる』 『しかも収納したアイテムは時間が止まる』 『熱々の料理も冷めず、また腐らず、冒険先
last updateLast Updated : 2026-08-24
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第038話 アイテムボックス②

 戦友たちの関心が、僕の改装した「冷蔵車」からアイテムボックスのスキルに移ってしまった事は疑いようもない事実だった。『アイテムボックスはどんなアイテムでも収納すれば一瞬でその場から消えて、好きな時に取り出せる。重いアイテムも楽々運べるのがいいよな』 『そうそう。これまで使っていた「冷蔵車」は、なにせ大きいからな……。異世界を旅するには目立ちすぎる。おかげでモンスターにもよく襲われる』 『そうそう。それに貴重な魔力石も消費するし……』 これまでとても感謝されていた僕の「冷蔵車」は、欠点だけを指摘されるようになってしまった。『そういえば傑が「改装」で作ってくれた懐中電灯も、《光玉》の魔法があればいらないし……』 『火を起こす「ライター」も《炎の玉》の魔法の方が便利だし……』 『……そう言えば、傑って、いつまでたっても戦闘に役立つスキルは獲得できないんだよな……』 『そうだな。俺たちが必死で戦っている間も、少し離れた物陰に隠れて見ている事しかできないし……』 『せめて回復魔法でも使えたら……』 『そうだな。そういう仲間がいてくれたら……』 僕は戦友が僕を見る目が変わった事を痛感する。  まるで邪魔者でも見るかの様な冷たい目だ。「痛い……。皆の視線が痛い……。やめて……。そんな目で僕を見ないでくれ……。これまでずっと、僕の「改装」で作った品を「すごい」とか「役立つ」「便利」と喜んで感謝してくれていたじゃないか」 僕は戦友の冷たい視線を遮断するように両目をギュッと閉じる。  僕は戦友の冷たい言葉を遮断するように両耳を両手で抑える。  僕は戦友の冷たい態度を遮断するようにその場にうずくまる。  そして張り裂けそうな胸の痛みを抑えようと、痛む胸を掴んだ。「やめてくれ……。嫌だ……。僕を見捨てないで。僕を蔑まないで。僕は役に立つ……。僕の「改装」のスキルは役に立つんだ……」 自分に言い聞かせるように、僕は何度も何度もそう繰り返した。  ※ ※ ※「しっかりして、傑くんッ! どうしたのッ!?」 僕は不意に身体を揺すられ、ハッとして顔を上げる。 僕の顔の目の前には詩華の顔があった。 彼女のとても綺麗な顔───。 国民的アイドルグループの不動のセンターで、僕の最推しのアイドルの憧
last updateLast Updated : 2026-08-25
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第039話 アイテムボックス③

「お願い……。お願いよ、傑くん。どうか……どうか理由を教えてちょうだい。どうして……? どうしてなの……?」 詩華が僕に懇願する。  彼女は今にも泣き出しそうだった。「そうだ……。彼女は別世界で僕を裏切り、または役立たずと切り捨て、僕から命を奪った詩華じゃない。今の詩華は───この世界の詩華は、別の詩華なんだ」 その事を再認識した僕は、何も見えない暗闇の中で、一点の明かりを見出したようだった。「前世や別世界なんて関係ない。この世界には同時多発的に、幾つもの次元宇宙が並行して存在しているけど、だからといって今の僕に、そうした別世界が関係するわけじゃないんだ」 僕は黒い沼から這い出し、固い地面にしっかりと片足をかけたような心強さを覚える。「この世界、この次元、そして今の僕、今の詩華と現在を切り拓き、未来を歩めばいいんだ。過去や前世、それに別世界の嫌な記憶や、忌まわしい出来事に振り回される必要はない」 ついに僕は自分を取り戻したが、それでも早鐘を打つ心臓と、荒く繰り返される呼吸、そして眩暈と頭痛、吹き出る冷や汗を落ち着かせるには、少し時間が必要だった。「おいッ! 詩華ッ! 何をしているッ!」 軍毅が詩華に怒鳴る。「そんな奴に構っていないで早く来いッ! ぐずぐずするなッ! 出発するぞッ!」 車の前で軍毅はイライラした態度を露わにして詩華を促す。「う、うん。わかった。ごめんなさい。すぐに行くわ」 詩華は後ろ髪惹かれる思いだったようだが、立ち上がると軍毅の元に走り出す。「きゃあぁッ!」 しかし、その瞬間、詩華は何かに躓いて転びそうになる。「何をしているんだッ! 早く来いッ!」 危うく転びそうになった詩華を気遣いもせず、軍毅が急かす。  詩華は自分の不甲斐なさを軍毅に謝りつつ、最後にもう一度だけ僕を振り返ると「傑くん……。傑くんも無事にゴールまで辿り着いてね」と声をかけてくれる。「詩華……」 僕は心から感動する。「やっぱり詩華はすごい。こんな僕を……異世界でも絶対に詩華と一緒にいて、詩華を守ると誓ったのに、その約束を破った僕にこんなにも親切にできるなんて……」 僕は立ち上がると、詩華が躓いて、転びそうになった辺りにヨロヨロとやってくる。「ありがとう。詩華。先にゴールに行っていて。僕もすぐに追いつ
last updateLast Updated : 2026-08-26
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第040話 ゴールまでの道のり

 ようやく落ち着きを取り戻した僕は、先を行く詩華を追いかける。  しかし、僕のトラックは荷台にガラクタが一杯で、異世界には道路があるとはいっても舗装状態はあまり良くなく、スピードを上げるとトラックが飛び上がるように跳ねてガラクタが落ちそうになるので、スピードを抑え、慎重に走行しないといけなかった。  さらに荷台にはスポーツカーも乗っているので重量が重く、思うように走れない状態でもあった。  その為、僕は詩華はもちろん、他の戦友からも、どうしても遅れがちになった。「でも、その分、僕は着実に異世界でサバイバルできる手段を獲得しているし、このペースでも期日までにゴールに辿り着けるはずだから」 僕は気持ちが焦ったが、懸命に自分に言い聞かせ、落ち着くよう努めた。「それに可能なら黄色のスライムを倒して黄色のスライム水も獲得しておきたいな」 僕は黄色のスライムから黄色のスライム水を獲得する事を忘れておらず、周囲を見渡しながらトラックを走行させていた。 すると僕は、今までに見た事がない驚くべきものを発見する。「な、なんだあれは……」 僕は息を呑み、目を丸くする。  そしてゆっくりとトラックを走らせ、その「驚くべきもの」に近づいた。「ド、ドラゴンだ……」 僕の見つめる先に、小山程ある大きなモンスターがうずくまり、そして眠っていた。  それは紛れもなくドラゴンだった。「す、凄い。でもさすがと言うべきか、やっぱり異世界にはドラゴンがいるんだね」 ドラゴンはゲームや漫画、アニメ、それに物語によく登場するが、僕は初めて「本物のドラゴン」を目の当たりにして感動を覚えた。  しかし、同時に、僕は恐ろしさも感じていた。  ドラゴンはとにかく大きく、全身を覆う鱗はその一枚一枚がぶ厚い鉄板のように重厚で、爪は鋭く、口元から覗く牙も大きかった。「君子危うきに近寄らずというからね」 僕は、ドラゴンを刺激せず、そのままこの場を去ろうと思ったが───。「あ、あれ? あれはなんだ……?」 僕はうずくまるドラゴンが抱きかかえるように守る宝箱に気付く。  しかも、それは「普通の宝箱」ではなかった。「す、凄いッ……! あれが「ダイヤ宝箱」なんだッ……!」 僕はまるでそれ自体が財宝であるかのようなダイヤ宝箱の姿に
last updateLast Updated : 2026-08-28
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