颯真は親子鑑定書を莉緒に手渡した。莉緒は目を見開き、信じられないという顔で叫んだ。「ありえない。こんなの絶対に偽物よ。お金を使って細工したに決まってる!」颯真は、目の前で取り乱す莉緒を見つめ、そっと近づいて抱きしめた。「莉緒、人を使って調べた。この鑑定書に偽造の痕跡はなかった。お前はたぶん、当時のことを誤解していたんだと思う」「誤解なわけないでしょう!」莉緒は目を血走らせ、泣いているのか笑っているのかわからない顔で怒鳴った。「母は小さいころからずっとそう言っていたのよ!私たちを路頭に迷わせ、何年も苦しめたのは青木家のあの老いぼれだって!間違っているはずがない!」颯真は複雑な表情で、たった今、紗季から送られてきた録音を再生した。そこには、紗季と遠志のやり取りが入っていた。過去のいきさつが、はっきり語られている。「莉緒……」颯真は莉緒がここまで崩れていくのを見るに忍びず、やさしく慰めた。「どのみち、紗季はもう兄貴と結婚した。これからは俺たち二人でちゃんと暮らしていこう。都合のいい日を選んでくれ。両親に会わせに行くから……」それを聞いた莉緒は、愕然として颯真を見た。「え?紗季が誰と結婚したって?」その話になると、颯真の顔色も悪くなった。「俺の兄貴の怜司だ。今日の結婚式があの二人のものだったなんて、俺もさっき知った」莉緒は数秒、黙り込んだ。やがて、喉の奥でくつくつと壊れたように笑い出した。「紗季って女、本当に抜け目ないわね。母親譲りで、どこまでも計算高い。ついこの間まであなたに夢中で、命まで差し出しそうな勢いだったくせに、あっという間にお兄さんに乗り換えるなんて」颯真はもともと胸の内に重苦しいものを抱えていた。莉緒にそう言われて、怒りで動悸がするほどだった。だからこそ、颯真はなおさら急いで莉緒を両親に会わせたくなった。紗季があんなやり方で自分を弄ぶというのなら、こちらももう何も隠す必要はない。けれど、さっきまであれほど強気だった莉緒は、今は言葉を濁し、小さな声で言った。「ちゃんと日を選ばせて」「うん」颯真は怜司の無表情な顔を思い出し、不安になってさらに言い添えた。「莉緒、紗季の父が元凶じゃなかった以上、お前も少しずつ恨みを手放したほうがいい。もう紗季に手を出すな。俺の兄貴
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