All Chapters of 身代わりの私?真実を知った彼は元カノを破滅へ: Chapter 21 - Chapter 22

22 Chapters

第21話

「今すぐ探し出せ!汐梨がどこに行ったか調べろ!警察には裏で手を回しておけ。絶対に騒ぎになる前に捕まえるんだ!!」電話を乱暴に切ると、雅臣は手にしていたスマホを力任せに壁へ投げつけた。昨夜はどうしてあんなに油断してしまったんだ。あの女を逃がすなんて。雅臣は書斎で絶え間なくタバコを吸い続けた。灰皿にはまたたく間に、吸い殻の山ができた。苛立ちながら報告を待つ雅臣の耳に、突然、圭太からの着信音が響いた。「社長、動きがありました!海上警察が他国との境界に近い海域で、血痕の付着した上着を回収しました。椎名さんが逃げるときに着ていたものです!椎名さんはパスポートを持っていませんので、密航を試みたのでしょう。社長、ご安心ください。ああいう身元不明同然の人間なら、消えたところで誰も気にしません」冷酷な報告を聞いた雅臣は、汐梨が傷だらけの体を引きずって逃げていく防犯カメラの映像を、無表情のまま消去した。自分の力だけで逃げ切れたのなら、過去は水に流して生き残る機会を与えてやろうと考えたのだ。汐梨がいなくなってからというもの、雅臣の私生活は破滅に向かった。心は乾ききり、ただ苦しみを紛らわせるためだけに毎日バーに通い詰めた。出会う女性たちを文字通り日替わりで取っ替え引っ替えし、一番高いシャンパンタワーを気前よく注文しては、大勢の女性たちからお気に入りの人を見繕った。「御堂社長、ご希望通りの子を集めました」雅臣の前に若くて麗しい女性たちが一列に並んだ。スタッフはあらかじめ預かっていた写真を基準に、店内から寧々に顔立ちが似ている女性を集めていた。すっかり泥酔していた雅臣は、朦朧とした目で一番似ている少女を一人残すと、残りはすべて追い払った。選ばれた女は狂喜乱舞した。御堂グループの社長には、長年付き添った固定のパートナーがいると言われていたからだ。今まで誰も近づくチャンスなどなかったのだ。しかし、その恋人が不慮の事情で姿を消したことで、多くの女性がいつ雅臣に見初められるかと血眼になってチャンスをうかがっていたのだ。彼女は猫のように雅臣の隣に座り、意識の混濁する彼をかいがいしく世話した。「御堂社長、私もお隣でお酌しますね」「寧々……やっぱりお前なのか……本当に、許してくれたのか?」隣の女を見て、雅臣は感極まったように抱き
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第22話

奏多のコンクールの日が、だんだんと近づいてきた。どういうわけか、寧々の方が奏多よりハラハラしていた。彼女はアトリエにこもり、鉛筆をせわしなく動かして、紙にスケッチを描きなぐっていた。奏多の晴れ舞台のために、世界に一着だけの特別な衣装を作ろうと決心していたのだ。衣装全体のデザインはほぼ仕上がっていた。けれど寧々は、さらにもう一つ、遊び心のある工夫をプラスして、誰の目にもとまる特別な一着にしたいと考えていた。「そうだ、ここの銀色の刺繍に、メッセージを縫い込むのはどう?」寧々は独り言をつぶやきながら、図面の襟元を指先でなぞった。背後から静かに誰かが近づいていることには、まったく気づいていない。「何を描いているんだい?」奏多がかがみ込み、その吐息が寧々の耳元をかすめた。寧々はびくっとして、慌てて図面を隠した。「ひ、秘密よ!見ちゃダメ!」うさぎのように慌てる寧々がおかしくて、奏多はふっと吹き出した。すると、彼は寧々のおでこに優しくキスをした。「分かったよ、見ない。夜食を届けに来たんだ。こんな遅くまで残っているから、体が心配だよ。これを食べたら、早く一緒に帰ろう。いいね?」その優しい言葉に、寧々は頷いた。さっそく包みを開けて、奏多と一緒に夜食を楽しんだ。食べ終わって寧々が片付けをしている時、奏多はデスクの隅にあるデザイン画を見つけた。そして、寧々が油断した隙にサッと奪い取った。「ずるい!」見られまいと手を伸ばす寧々だったが、デザイン画は奏多に高く掲げられて届かなかった。奏多はそのまま寧々を自分の胸に抱き寄せ、いたずらっぽく楽しそうに笑った。「どれどれ……おや?これは……」彼の声がぴたっと止まった。図面には、美しい仕立てのタキシードが描かれていた。袖口には、さりげなく小さな音符が刺繍されている。そして裏地にはF国語の文字が隠れるように刺繍されており、それは【私の大好きなピアニスト】という意味だった。隠しておいたメッセージを見つけられ、寧々は真っ赤になって俯いた。「だから見ないでって言ったのに……」彼女は素早くそのデザイン画を奪い返し、赤くなった耳を隠そうとした。だが次の瞬間、寧々は奏多の胸へ引き寄せられ、後頭部に手を当てられて、深く口づけを交わした。コンクール当日、F国にあ
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