空港?もう二度と戻らない?律はすぐに秘書へ飛行機の運航情報の確認を命じた。そして、役所に離婚記録の照会をかける。秘書からの返事はすぐに来た。紗雪が乗った国際線は、数時間前には離陸しているらしい。そして、役所の返事も早かった。離婚届は数日前に受理されていて、紗雪は、どうやら律が署名して渡した法的効力を持つ白紙の同意書を使っていたらしい。律はその場に立ち尽くし、全身から血の気が引いていくのを感じた。あの白紙の紙は、律が紗雪を愛し抜いていた頃に、限りない信頼と愛情を込めた贈り物だった。紗雪はそれをずっと大切に持っていて、決して使おうとはしなかったのに。まさか最初で最後の使い道が、二人の関係を終わらせるためだなんて。知らないうちに切り捨てられ、一方的に関係を断ち切られた怒りが、毒蛇のように律の心を蝕んだ。どうしてこんな真似ができるんだ?どうしてこれほど冷酷になれるんだよ?!心の内が混乱と怒りで埋め尽くされていたその時、病院の志保を担当している看護師から電話が入った。「神谷様、小池様の精神状態が非常に不安定で、お腹の子供にも影響が出ていますので、すぐに来ていただくことは可能でしょうか?」律は苛立ちを隠せないまま、眉間を揉んだ。こみ上げる感情を無理やり押し殺し、病院へと急ぐ。病室でニュースを見たのだろう。そこには、青ざめた顔の今にも泣きそうな志保がいた。志保がそっと律の胸に寄り添い、おずおずと口をひらく。「律くん……ニュース見たよ……律くんたち……本当に離婚したの?」律は志保の少し膨らんだお腹と、消え入りそうなその表情を見つめた。湧き上がる得体の知れない虚しさと苛立ちを消し去り、志保を抱き寄せると、淡々と答えた。「ああ、離婚した」志保の瞳にわずかな喜びがよぎったが、すぐに律を慮る表情を作った。「そう……なら、これで私と赤ちゃんも堂々と一緒にいられるね。それに、律くんにもこれ以上迷惑かけなくて済む……」そう言いながら、志保は自身の腹部を優しくなでる。「でも……紗雪さんに悪い気がして……」「紗雪」という名前を聞き、律の胸に棘が刺さったような痛みが走った。しかし、律は志保の話を遮り、自分でも驚くほど冷たい声で言い放つ。「あいつのことなんか気にするな。もう気持ちがなかったんだから、離婚するのが当然の結果だろ?志保さんと俺た
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