路地裏で助けた青年と少女に案内されて、エステルたちは騎士団詰め所に向かっていた。なお、退治したゴロツキたちは、彼ら自身の服で縛り上げて放置している。騎士団詰め所に着いたら騎士たちに引き取ってもらう予定だ。そして……青年はアラン、少女はマリアと名乗った。二人はやはり兄妹だという。(……おそらくは偽名だろうが。まぁ、俺たちには関係ないか)二人の立ち居振る舞いから、おそらくはお忍びの貴族子女だろうとクレイは当たりをつけていたが、特にそれをわざわざ指摘するつもりは無い。「お前たちは恋「違います」……そうか」アランがエステルとクレイを恋人同士なのか?と聞こうとしたが、クレイは食い気味に否定した。「こいつは幼馴染のくされ縁ってやつですよ。恋人なんて勘弁してください」エステルからすれば甚だ失礼な男であるが……幸いにも彼女は、マリアと楽しそうにお喋りをしていて気が付かなかった。「それにしても、エステルちゃんもクレイくんも、凄く強くてびっくりしたわ」彼女はエステル達と同じ15歳ということで、口調もかなり親しげなものになっていた。「いや〜、大した事ないよ〜。相手も弱すぎたし」「確かに雑魚だったがな、お前たちが相当な手練なのはよく分かったぞ。あの実力なら、騎士登用試験も問題ないだろう」「……あれ?私達、騎士登用試験を受けるなんて言いましたっけ?」アランの言葉にエステルは疑問を抱き確認する。「ふ……自分で名乗ってたじゃないか。それに、この時期にお前たちのような実力ある若者が詰所に行く用事などそれくらいだろう。違ったか?」「うわぁ、凄いよお兄さん!!合ってるよ!!」ぴたりと言い当てられて、エステルは尊敬の眼差しでアランを見た。(いや、誰でも分かるって……)と、クレイは思ったが、水を差すような真似はしない。彼はなんだかんだでエステルの笑顔が嫌いではないのだ。(それにしてもこいつ……妙にエステルの事見てやがるな。まさか惚れたか?)先程からマリアと楽しげに話すエステルのころころと表情が変わる横顔を、ずっと見ていることにクレイは気付いていた。中身はアレでも見た目は美少女なので、そういうこともあるか……と彼は思う。初対面では大雑把で面倒くさがりで適当な中身など分かりはしないだろうし……とも。そして、彼自身はアランなどよりも……妹のマリアの方が気になってい
Last Updated : 2026-06-11 Read more