「はぁ、どーすっかな……」 テラス席の件から、はやくも1ヶ月経過した。朱音との連絡は未だに取れない。探すにしても、朱音の家も、普段どこにいるのかも分からない。 知っていることと言えば、小説家であること、チョコが好きなこと、28歳で、好奇心で自分のアナルを開発するようなド変態であること。そして、パンセクシャルということくらい。 本名も住んでる場所も知らないのだ。「俺、マジでアイツのこと知らねーのな……」 朱音の情報を何度も書き出してみるが、彼がいそうな場所は思いつかない。強いて言うなら、一緒にエリュシオンに来た男くらいだが、残念ながらあの男は常連というわけではない。月に1回か2回来る程度で、いつ頃来るのか予測がつかない。 前回のようにサイン会で会えないかと調べたが、今のところサイン会が開催される予定はない。「どーすっかな……」 何度目か分からないため息をついていると、通知音が鳴った。朱音かもしれないと思い、急いで確認したが、セフレのひとりで肩を落とす。「いや、待てよ……」 思い直してラインを開く。先程連絡をくれたのは、エリという女性だ。 エリは小さいながらも会社を経営する女社長で、時折息抜きとして修也を呼ぶ。社長をしているだけあって肝が座っており、セフレの中で1番落ち着いている人物だ。 彼女は他のセフレと違って彼女面もしないし、しっかりボーダーを引いてくれる。年齢は30代後半とかなり上だが、落ち着いた部分と美貌に惹かれ、セフレリストの上にいる。 修也はさっそくエリに、相談事がある旨を伝える。『修也くんが相談なんて珍しいね。いいよ、いつもの場所で迎えに行く』 返事はすぐに来た。修也は財布とスマホをポケットにねじ込むと、駅のロータリーに向かった。都会は車を停められる場所が少ない。なので、車持ちの彼女との待ち合わせは、いつもロータリーだった。 待ち合わせ場所に行くと、真っ青なオープンカーを見つける。それがエリの愛車だ。海が好きなエリは、よくあの真っ青なオープンカーで海に行き、海が見える別荘で過ごすのだ。 修也が駆け寄ると、エリはサングラスを外して微笑みかける。「浮かない顔ね」「ラインでも言ったけど、ちょっと、相談したいことがあって……」「いいわよ、乗って」 助手席に乗ると、エリは静かに車を発進させた。排気ガスにまみれた風が、ふたり
Magbasa pa